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    ariakenri

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    ariakenri

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    7/24の再録中心新刊の書き下ろしぶんの冒頭とちょっとすけべ。できればもうちょっと校正したい。倫理観薄めで性に奔放すぎる以蔵さんにこのあと怒られが発生するやつだと思っていたけど怒るというよりごねられる感じかもしれない。目指したのはオカダのメス落ちです。

    #龍以
    dragonTo
    #帝都騎殺

    ミルキーウェイで星の瞬く夜について

     以蔵が見おろすケージのなかには小さな生き物がみっついた。
     白い帽子に白い軍服、ケージの高さいっぱいまで伸びてゆらゆらと揺れているセーラー服、そして黒のインバネスコートに橙の襟巻きというそれらの姿は、多少の誤差はあるものの、いずれも大変よく覚えのあるものである。
     それぞれが見た目の通り、龍馬とお竜、以蔵の霊基の一部からうまれた雛形のような存在で、ある日突然カルデアに現れて以降、特に害はないだろうと判断されてからは、基本的に三匹まとめて龍馬の部屋で世話をされている。
     けれどもこの日、それらのいるケージが置かれているのは龍馬の部屋ではなかった。
     ミニチュアの家具で小部屋の体裁が整えられたケージのなかは、二時間ドラマのクライマックスもかくやという悲壮感でいっぱいだ。
     くったりとベッドに横たわってろくに動けない様子の小さな以蔵。
     そのそばにオロオロと寄り添い、やあ、やあ、懸命に声をかけ続けている小さな龍馬。
     ……計画通りである。
     ぴゃあとか細く鳴いた小さな以蔵の声は、うろたえる龍馬の嘆きとあいまってさも悲劇的なシーンを醸し出しているが、実のところそれがただの魔力不足であることを以蔵は知っている。
     何故なら、これこそ、他ならぬ以蔵の所業だったからだ。
     時をさかのぼること少し前、以蔵の身体にはひとつの革命的事件があった。
     人間の身体にはさまざまな穴があるが、それが出る穴か入るか穴は、個々の機能によりおおむねどちらかに定まっている。
     一部それを無視しているのは以蔵の場合、尻の穴であったが、ここに来て思いがけない穴の機能が新たに発掘されてしまったのだ。――尿道である。
     尻と同じく、本来なら排泄なり射精なりただ出すだけの器官であるその奥には、以蔵がこれまでに体験したことのない、それはそれはすさまじい快感があったのだ。
     生涯で意識することすらなかった未知の場所。
     その存在を突然、雷のごとく以蔵の身体に知らしめ、以降すっかり忘れられなくさせたものこそ、この小さな龍馬であり、正確にはその手だった。
     理屈はまったく不明だが、龍馬のあの奇妙な手はどこまでも自在に伸びる。
     その龍馬が、番の以蔵の発情期――らしきもの――に際し、栄養分として同質の魔力を欲した結果、本体である以蔵の性器のなかへと手をもぐりこませ、その奥に秘められた豊かな魔力を摂取しようとした……というのが、あの怪事件が起こるに至った概要だった。
     龍馬としてはただせっせと自分の役割を果たし、番に対する健気な甲斐性をみせただけのようだったが、そのせいで目覚めなくてもいい性感に目覚めさせられてしまった以蔵の方はたまったものではない。
     ただでさえ尻が性器に成り果てているのである。それを突かれながら、反対側からも同じ快感のもとをこねまわされるなどという衝撃体験をそうそう忘れられるはずもなく、かといって陰茎の奥などという場所を自分でどうこうできるすべもなく。
     悶々と暮らしていた以蔵のもとへ舞いこんできたのが、カルデアの魔力リソース不足解消のためのレイシフトで、龍馬が数日不在となるとの知らせだった。
     それを瞬間、以蔵はひらめいた。生前にもこれほどのことはなかったというくらいの、思考の冴え渡り具合であった。
     ――あの龍馬の行動の原因が魔力欲しさであったというなら、もう一度魔力を必要とさせればいいのではないか。
     以蔵は龍馬の不在の間、三匹を自分の部屋に連れ帰り、世話をすることを申し出た。
     そうして龍馬が出かけてからのこの数日、ありとあらゆる手段で小さな以蔵を煽り、怒らせ、天誅を誘うよう苦心したのだ。
     この生き物の生態についての詳細など以蔵にはわからないが、使ったぶんだけ魔力は減るに決まっている。そしてその以蔵の推察は正しかった。
     諦めない努力の甲斐あって、小さな以蔵は以蔵の思惑通りにとうとう倒れ伏した。龍馬の不在は今日いっぱいまでと聞いている。ギリギリではあるが、土壇場でどうにか間に合わせることができたのだ。
     魔力不足とはいっても、霊基に傷がついたわけではない。
     ただ思うように動けなくなるというだけのものであるが、かといって番がそんな状態であるなら、あの龍馬とてそのまま放っておけはしないだろう。
     通常の食事だけでは過剰に消費された魔力を補いきれない。状態を解消したいと思うなら、足りない分をひと息に補填できるような、濃厚な魔力を与えることが必要だ。そしてそれはすでに手を伸ばせば届くところにあるのだ。
     あとはこの小さな龍馬が、以蔵という豊潤な餌の存在に気がつけば、この以蔵の目論みは成功となるはずだった。
    「…………やあ」
     小さな龍馬がケージ越しに以蔵の顔を見あげる。
     縦長の四角い顔に点々と打たれた素朴な目が、確かに以蔵の姿をとらえていた。
     感情の読み取りにくいその面持ちにごくりと生唾を飲みこみながら、以蔵はケージの錠へと手をかける。
     それは事件以降、大きい方の龍馬によって新たにつけられたものだったが、鍵の方は当然いま、世話を買って出た以蔵に預けられていた。
     開けられたケージの入り口をついっとくぐり、龍馬が出てくるのを見据えながら、以蔵はゆっくりとベッドまで後ずさる。
     この瞬間を迎えるために、あらゆる準備は済ませておいた。今の以蔵は寝支度よろしく襦袢一枚だ。
     ベッドへとあがった以蔵は、龍馬とじっと顔を見合わせたままそろりとあぐらを組む。ケージのあったテーブルからベッドへと飛び移り、それはするすると以蔵の方へ近寄ってきた。
     以蔵の心境は、大穴に賭けた馬が最終コーナーを曲がり走りこんでくるのを待つがごとくだった。あと少し。来い、来い……ここまで来い。
     着物のはだけた足もとに龍馬がたどり着き、以蔵をみあげた。
     特殊な性質を持った両手がにゅるりと伸ばされ、ついに着物の裾から入りこむかと思われた、そのときだった。
    「――何やってるんだい、以蔵さん」
     腹に響く低い声とともに、その小さな身体をまるごとむんずと取り押さえる手があった。
     扉があいた音はしなかったはずだ。というか普段はあけっぱなしになっている扉には、わざわざロックをかけていたはずである。……いやむしろ、だからこそ、だったのだろうか。
     以蔵はぎょっとしたまま白手袋に覆われたその手の持ち主へと顔を向ける。
     同じ魔力の持ち主である小さな龍馬に気を取られすぎて気づけなかった。
     霊体化してまで部屋に入ってきたらしいその男――なおもめげず、懸命に以蔵の方へと伸びようとする両手をぐるぐるに巻き取って、身体ごと手のひらなかにぎゅっと納めた龍馬は、以蔵ですら見たこともないほどに渋く、苦々しい顔をしていた。


    (中略)(ちょっとすけべ)


    「力は抜いて……動いちゃ駄目だよ」
    「ッ、わかっちゅ……ァ、あ」
     もう片方の手にそっと竿を支えられて、つい腰がわななく。
     動くなといわれた手前どうにかそれも堪えようとしているうちに、穴の入り口からちゅくりと、ぬかるんだ音がした。
    「――あ……ッ、ひ」
     ぬ、と、ありえない場所を押し開かれるおかしな感覚。
     龍馬の手もとで、以蔵の尿道のふちがゆっくりとまるく、あてがわれた棒の太さの分だけ広がっていくのが見えた。
     ぐぬりと内側にもぐりこんでくるものの固さに息を詰め、以蔵は生々しいその感触に以蔵は思わず肩を跳ねさせる。
    「ッあ、ア、あ……」
     腹のうえに見おろした、その光景の異様さから目を離せない。
     自分でも信じがたいことに、以蔵のそこはほんの少しずつ、けれど思ったほどの抵抗感もなく、龍馬の手で寄越される異物を素直にのみこんでいくようだった。
     確かに何かが入ってくる……身のうちの無防備な部分をナニモノかに直に侵されているというその感覚が、たまらない不安感と同時に淡い快感を煽る。
     小さな龍馬の手とは違う、存在感のある質量にぞくぞくと背中が震えて、カアッと頭の芯が熱くなるのを感じた。
    「……ッ、以蔵さん、うしろ、締まってる」
    「へ、あ……ッ 待っ……ア!」
     龍馬を咥えこんだままだったうしろを、下側から咎めるように軽く突きあげられる。
     肉の狭間をくちくちと押し分けながら、性器のなかばにまで埋められたものの感触にすっかりと感じ入っていた以蔵は、突然重ねられた思いがけない刺激にぎょっと目を見開いた。
    「な……ッひ、あ! アッ⁈」
     腹を揺さぶった龍馬に気をとられて喘いだ拍子、前に差しこまれていたプラグがずるりとすべるように奥まで入りこむ。
     その先端がとんっと底に触れたと思った瞬間に、以蔵の視界はぱちんと弾けた。
    「あ、は――ッアア! あ、ッア!」
     はくりと一瞬、声もなくくちびるが震える。
     がくんと背をそらし、宙を仰いで、それが快感だと気づいたのは、一瞬失っていた呼吸がふっと戻ってきたあとだった。
    「~~~ッ、あ、りょ、ま、ア、そこ、ッア、ひ、ああ」
     最奥までたどり着いたプラグの先がとちゅとちゅと小突くのは、以前に小さな龍馬の手が触れた、その場所に違いなかった。
     先ほどまで感じていた、悪寒ともつかないような曖昧な快感とはまるで違う。
     わずかな抜き差しを繰り返されているだけなのに、腹の底が痺れるような快感が湧きあがって以蔵はびくびくと腰を跳ねさせた。
    「う、ァ、あ、りょう……ッ、ま、ア、あ」
    「ッふ……ン、ここ、本当にすごいんだね……以蔵さんが感じてるの、僕にもわかるよ。こっちまで……ほら」
    「――ッ、 い……ッア、あああ!」
     はあ、と熱っぽい息を吐いた龍馬が、熱心に雄にからみつくそこをかきわけるようにして、ぐぷりと奥まで貫く。
     前のプラグをいいところに押し当てられたまま、じっとりと裏側からも以蔵の感じるところを探り、こねられるともう、たまらなかった。
    「ひ……ア、あ、りょうま、ア、えい、それ、気持ち、えい……ッ!」
     うわごとのような言葉が勝手に口をついて出る。
     頭がまっしろに塗りこめられるような強烈な快感は、まさしく以蔵が何度も思い描いていたものだった。

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    ariakenri

    MOURNING「きっと、ぜんぶ、夏のせい」「それも、だから、夏のせい」の二編を収録した『SUMMER HEART OVERDRIVE』という本につけていたおまけペーパーの再録です。刑部姫視点の話。リョイです。「それも、だから、夏のせい」(ルルハワの方の話)を読んでから見てもらえるとフフッとできるかも。発行から3年ほど経つのでさすがにいいかなと思い、載せておきます!
    なるほど、これが、夏のせい!


     思うに、同人誌作りにおいて、萌えの鮮度というやつはもっとも重要な要素のうちのひとつだ。
     自分の内側から燃えあがる情熱、どこかに吐き出さなければ溺れ死にかねないという強い幻覚。
     煮詰めた萌えの旨みもいいけれど、煮詰まりすぎては食卓にあがる前に腐ってしまう。
     萌えを萌えたままに昇華するにはタイミングを逃さないことが必要で、霞のように儚く消えてしまいそうな妄想のしっぽをいかにして捉えられるかに、全部がかかってると言っても過言じゃない。
     つい数時間前まで、話の辻褄を合わせようと何度もこねくりまわすうち、すっかりと萌えの鮮度を失って絶望感に浸っていたわたし――こと、刑部姫は、そういうわけで、唐突に降って湧いた新たな萌えの数々に頭を抱えながら、同時にめちゃくちゃに焦っている最中だった。
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