取り調べは終わらない「確かに。いつもながら見事な仕事ぶりですね」
「当然だろ」
ヨコハマ内のとある路地裏。ちらりとそちらを覗くものがあっても、決して近寄ろうなどという気は起きないだろう長身の男が二人。傍目には闇取引でもしていそうな雰囲気で佇んでいた。
暗がりゆえ調査報告書の必要な箇所にだけさらりと目を通した銃兎は、その間手持ち無沙汰にしていた一郎の顔をジッと見つめる。
「なんだよ」
「いえ、フードを被っているなと思って」
「…今更何言ってんだ? こういう時はだいたいそうだろ」
怪訝そうな顔をする一郎の表情も、フードを被っていては些か見づらい。
更には、敢えてそういう場所を選んでいるために光のあまり届かない路地裏だ。
こういう時。主に銃兎が依頼した仕事の報告の際に、一郎がフードを被っているのにはいくつかの理由がある。
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