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    yana0u0

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    yana0u0

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    ありそうで絶対にない日常。
    ちゃっかりしているアシュラマンと、ちゃっかりされたブロッケンJr.

    きっとJr.は、一人で取ってしまうと思う。

    ##キン肉マン
    ##ブロッケン
    ##アシュラ

    十センチが憎い(ブロ・アシュ)「届かねぇ……」
     誰だ。こんな高い棚に置いたヤツ。
     そう思いながら本に手を伸ばすのだが、全く届かない。
     そう言えば先日、バッファローマンが本を貸せと言ってきたのを思い出す。
    (あの野郎……)
     文句の一つでも言いたいところだが、居ない相手に愚痴を言っても仕方ない。
     ブロッケンJr.が諦めて踏み台を探しに行こうとしたところに、アシュラマンが部屋に入ってきた。
    「何をしている?」
    「あー、いや……」
     問われたので、視線を棚上にある本へと向ける。それである程度察したのか、アシュラは優雅な歩みでブロッケンへと近づいた。
    「……コレか?」
    「おう……」
     目当ての本は、ブロッケンより背の高いアシュラにとっても若干高い位置にあったらしい。彼が爪先立ちをして、ようやく届いた。

     その差、およそ十センチ。

    「ダンケシェ……」
     無言で差し出された目当ての本を受け取るが、アシュラの手は本から離れない。
    「……」
     しばらく無言で見つめ合い、折れたブロッケンが溜息混じりに告げた。
    「セラーにあるワイン一本、好きなの持って行けよ。アンタなら自分で見つけられるだろ」
     ブロッケン邸に置いてある物は、殆ど全て上物であるため何を渡しても問題はない。
     とは言え、ある程度の目利きしかないブロッケンが選び、下手な物を渡して機嫌を損ねさせるくらいならば、本人に自分で選ばせた方が良いだろう。どうせこの王子の事だ、セラーに置いてあるワインの中で一番良い物を掘り当ててくるに違いない。
    「カカカッ、ならば今夜の晩酌は上物だな。肴はニンジャにでも作らせるか……お前も来るか?」
    「ヴルストだったら考えるぜ」
    「ほう? ならば付き合え。礼はその時、お前から受け取るとしよう」
    「……おう」
     アシュラの手が本から離れ、ブロッケンは部屋を後にする。

     静かな廊下を歩きながら溜息が出た。
     届かなかった十センチの代償は、上物のワインが二本に、高級な牛肉が一キロ。ニンジャのことも考えれば、そこに日本酒一升瓶と鶏肉一キロといった具合か。自分の分まで考えれば更に追加される。
     最初に提示したお礼を素知らぬ顔して釣り上げる辺り、流石魔界の王子と感心すれば良いのか。してやられてるぞと自身に呆れればいいのか。果たしてどちらだろうか。
     とにも言えることは十センチが憎い。ただそれだけだ。
    「おう、ブロッケン! この間の本か? それ……」
     一人、落ち込むブロッケンに声をかけるのは何も知らないバッファローマン。
    「…………高級、牛肉……」
    「あ?」
     その後、ベルリンに雨は降ったのか。それは彼らのみぞ知る。
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