君の名は 人影まばらな放課後の教室
先ほどまで廊下に響いていた笑い声もほとんど聞こえなくなった。
おそらくほとんどの生徒が下校してしまったのだろう。
「最近、あの子があいつとばっかり出掛けとるらしーわ、はぁ~凹むわ」
「なんだよ、らしくねーなー」
机に突っ伏してくだを巻くのは姫条まどか
その斜め前の席で、机に腰掛け足をぶらぶらさせながら片手でバスケットボールをもてあそんでいるのが鈴鹿和馬
定期試験前、放課後の部活動停止期間だからと言って、特段勉強をするわけなどない万年補習組の二人である。
教室の椅子は低く、そこに背の高い姫条が座ると、その長い手足を持て余しているようにも見える。
「せやかて、あない王子様オーラ出しまくり~の、キラキラ星人~みたいなヤツ相手に、オレがどない対抗できるっちゅうんや」
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