2、額をこつん ダイ×アバン「先生、弱くなったね」
「そう言うキミは丈夫ですね」
「そりゃ、竜魔人の血を引いてるから」
年の初め。年内中に終わらせなければならない仕事が立て続いたからか、年が明けた途端、アバンは風邪をひいて寝込んでしまった。
熱でぼうっとする視界の中、ダイは甲斐甲斐しくアバンの看病をする。少しでも食欲があるなら食べた方がいい、とお粥を作ってみたり、のどの痛みにいいという薬草を取りに行ったり、汗をかいたなら着替えをするといい、と言って、体を拭くのを手伝ってくれたり、それはもう至れり尽せりだった。
ふと、気が付けば窓の外は雨で、大粒の水滴がガラスを叩いていた。室内は乾燥しないようにと暖炉にはケトルが置かれ、ベッドサイドのテーブルにはアロマポットが、暖かな火の明かりと甘やかで清々しい花の香りを醸し出している。
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