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    このは

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    終末カプリシオ短編、偽りの太陽神を観測したディアクラウ軍とツキカムリの話。

    ##このはのSS短編

    偽りの太陽アポロン編その① 力を奪われ、異形と化した神々によって度々襲撃されることがあるディアクラウ王国。他国よりも文明が発展し、この国の技術力は他国すら及ばないと言われるほど高度であり、異形の神からの攻撃にも対抗する術を持っている程だ。
     ディアクラウ王直属の軍は日々、異形の神々の襲撃や治安維持を務めている中で神々を倒す術を模索していた。堕ちた神とはいえ、強大な力をもつ彼等を撤退させるのがやっとだった。しかし、先日起きたディアクラウの王都を襲撃したアポロン神との戦闘において彼の神に対抗する軍に加勢した者が現れた。それは何処で製造されたか不明のホムンクルスの少女……ツキカムリだった。ツキカムリはアポロン神の苛烈な攻撃に対して実戦経験浅さ故に防戦一方となり、軍も彼の神を討ち損ねて逃げられしまう結果となった。しかし、神を倒せるという希望をツキカムリと言う存在に価値を見いだした軍の将校であるクロード・ハイランド公がアポロン神を追おうとする彼女を説得し、ツキカムリをディアクラウの軍に保護という名目で入隊させた。軍は入隊させる条件として月に一度ツキカムリの身体からデータを取る事をハイランド公に言い渡し、ツキカムリも了承した。
     世界で流通している娯楽や愛玩用の他のホムンクルス達と違い、純粋に神を殺すために作られた彼女には派生因子ではなく元の神因子が、そして混沌(カオス)因子と呼ばれる悪性因子が心核に使われていることを城に務める科学者達は突き止めた。
     大半のホムンクルス達が派生因子を心核に使用され、傭兵用にいたっては能力が人よりも大幅に優れているが神因子が使われているホムンクルスの個体には足下には及ばないとされている。
     更にツキカムリの心核は特殊なものらしく、喰い気味に科学者達に問われた彼女は生みの親であるルカ博士に自身の事をあまり聞かされていないため、答えられないと言うと彼等は落胆した。
     ツキカムリは協力できない事に申し訳なさそうにしたものの、科学者が言うには戦闘やバイタルのデータさえ採れれば新たな情報は得られるとの事で問題はないらしい。
     そして今日はその月に一度のデータ採取の日であり、データ採取用の魔力稼働式人形と戦闘して一日かけて科学者に調べられる事となった。
     研究室から出るツキカムリは疲れ切っていたが待っていましたと言わんばかりに軍服姿の金髪の少女が立っていた。
    「ツキカムリ隊員、お疲れさまのところ悪いけどハイランド公からの呼び出しよ」
    「えー……」
    「えーじゃない、気持ちは分かるけどこれはハイランド様からの命令」
     軍服姿の金髪少女……ロベリー・リジェット隊員は嫌そう顔を浮かべるツキカムリに呆れていた。
     ハイランド公……黒豹と呼ばれた男は堕ちた太陽アポロンに敗北し、街の人々がツキカムリに向けた心ない言葉を現実として今の実力と受け入れろと言って軍に入隊させた当人である。
     ツキカムリはハイランド公が正直苦手だ、出来れば顔なんてあまり合わせたくなかった。
    『今の君に堕ちた太陽も堕ちた月も倒せはしない、周りを見なさい。君は何一つ守れていない。』
     堕ちた太陽アポロンに叩きのめされ、初めての敗北して去って行く神を追おうとした自分の前に現れたハイランド公に言われた言葉をツキカムリは思い出す。
     周りを見れば交戦中に崩れたであろう瓦礫と人々の余計な事をしてくれたなと言う冷たい視線はツキカムリの心に深く突き刺っている。
    『君は経験が少ない、神を屠るという力を持っていても振り回されては元も子もない。どうかな?我が配下となれば、力を制御する事も可能になるだろう』
    『私はお姉ちゃんを探しているから此処に留まるなんて事、できない』
    『此処はあらゆる物が集うディアクラウ王国だ、君が無為に姉を探し回るよりも情報を得る事が確実だと思うがね』
     一度は首を横に振るもハイランド公の言葉にツキカムリは期待をして彼の言うとおりにディアクラウに留まる事にした。ハイランド公はツキカムリに衣食住を保証し、姉の情報をに提供する代わりに軍の仕事をこなす事を彼女に約束させた。
     それから半年の間というもの、今までリリーにある研究施設で外の世界をあまり知らずに生きてきたツキカムリにとって体験したことない日々の始まりだった。ハイランド公が呼び出す時は大抵、過酷な任務の始まりという事もツキカムリは経験していた。ロベリーの後ろをついて行くがツキカムリには研究室からハイランド公がいる執務室までの道のりがいつも以上に長く感じた。
    『ハイランド公、ツキカムリ隊員を連れてきました』
    『入りなさい』
     ロベリーが扉を軽くノックし、扉の向こうの人物に用件を伝えると返ってくる穏やかな低い声の主こそハイランド公その人だった。
     ロベリーが扉を開けると椅子に座って机の上の書類にサインをしている黒髪を後ろに纏めた軍服姿の男とその隣で姿勢良く立っている笑みを浮かべた軍服姿の茶髪の青年がいた。
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    TRAINING終末カプリシオ短編、偽りの太陽神を観測したディアクラウ軍とツキカムリの話。
    偽りの太陽アポロン編その① 力を奪われ、異形と化した神々によって度々襲撃されることがあるディアクラウ王国。他国よりも文明が発展し、この国の技術力は他国すら及ばないと言われるほど高度であり、異形の神からの攻撃にも対抗する術を持っている程だ。
     ディアクラウ王直属の軍は日々、異形の神々の襲撃や治安維持を務めている中で神々を倒す術を模索していた。堕ちた神とはいえ、強大な力をもつ彼等を撤退させるのがやっとだった。しかし、先日起きたディアクラウの王都を襲撃したアポロン神との戦闘において彼の神に対抗する軍に加勢した者が現れた。それは何処で製造されたか不明のホムンクルスの少女……ツキカムリだった。ツキカムリはアポロン神の苛烈な攻撃に対して実戦経験浅さ故に防戦一方となり、軍も彼の神を討ち損ねて逃げられしまう結果となった。しかし、神を倒せるという希望をツキカムリと言う存在に価値を見いだした軍の将校であるクロード・ハイランド公がアポロン神を追おうとする彼女を説得し、ツキカムリをディアクラウの軍に保護という名目で入隊させた。軍は入隊させる条件として月に一度ツキカムリの身体からデータを取る事をハイランド公に言い渡し、ツキカムリも了承した。
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