三尊の一日店長 ぴよぴよぴよぴよ……
ひよこの鳴き声がうるさい。ぽわぽわした黄色い柔毛や鳴き声に癒されるのは最初だけで、勝手なところで糞をしないか、商品をつつかないか、心配でたまらない。
「兄上、懐桑の鳥はせめて鳥籠に入れさせて――」
「……お前は応援団長だろう。しっかり応援するんだぞ」
いかめしい表情で弟の身だしなみを指差しチェックする兄上だが、どう見ても自分の一日店長としての仕事がなにかわかっているとは思えない。私たち三尊で一日店長を勤めるのは二回目だというのに。そもそも、この仮の職場へ懐桑を連れてくること自体も二回目で、兄上はいったいなにを考えていらっしゃるのか。
まあ、このふたりはこれがいつものことだから、なにも考えていないのだろう。
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