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    ヰノ

    @tion130 落書きと進捗

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    ヰノ

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    不思議なお店の話の冒頭の草案
    猫がいる本丸と南泉一文字

    ##刀剣

    その店は、万屋街の外に居を構えていた。
    小さな花屋の隣、ともすれば見落としてしまうほどのささやかな玄関。看板もないその店の存在に南泉一文字が気付いたのは、店先を掃除している一振りの短刀がいたからだ。
    「お困りですね」
    箒を持ったまま五虎退がいやに断定的な言葉を掛けてきた。
    南泉は何の事かと思ったが、すぐに自身が持つ『困りごと』の存在を思い出し、戸惑う。
    そんな様子を意に介さず、五虎退はアンティーク調のノブを引き、店内へ導いた。
    「どうぞ。お茶を用意します」
    誘われるままに踏み込んだ店は、洋風のアンティークなカフェを思わせる内装の、少し薄暗い雑貨屋だった。古臭くはあるが、煤けてはいない。手入れの行き届いた上品さがある。
    五虎退が勧めるソファに掛けると、その座面の柔らかさに驚いた。南泉がこれまでの刃生で座ったことのあるどのソファよりも(彼の本丸にソファはないので、彼は今まで政府施設の布張りのベンチをソファだと信じていた)柔らかいのだ。
    何故か連れ込まれた店内で持て余した時間を、ガラス瓶を逆さにしたようなランプが吊り下がっているのを眺めて潰していると、紅茶とクッキーをトレイに載せた愛染国俊が現れた。
    「熱いから気をつけてな」
    「別に俺は猫舌じゃない、にゃ」
    苦笑する愛染に勧められ、紅茶を一口啜る。芳醇な茶葉の香りが鼻腔に広がり、なるほどこれはいいものなのだろう、と貧乏舌の南泉にも理解できた。
    「もうちょっとで蜂須賀来るから、待っててくれな」
    そこで南泉は、なぜ自分がここにいるのかすら把握していないことを思い出した。
    「急に連れ込まれたが、ここは何なんだ?五虎退は?オレは金なんて持ってないぜ」
    「別にカネ目当てじゃねーって、何か困ってんだろ?だから五虎退が呼んだんだよ」
    はあ?と南泉が盛大に顔を顰めた丁度その時、奥の螺旋階段を降りてくる足音が聞こえた。
    「今日のお客さんはあなたかな」
    にこ、と優しく笑いかけるのは確かに蜂須賀虎徹その刀だったが、南泉の本丸の蜂須賀とは少し様子が違う。
    シニヨンに纏め上げた髪と、シンプルなシャツとスラックス。型は最新のものではなく、まさしくアンティークショップのスタッフに相応しい出で立ちだった。
    「お困りごと、話してもらえるかな」
    するりと向かいのチェアーに腰掛けた蜂須賀の物腰は柔らかい。真摯に見詰めてくる瞳から目を逸らすことはできなかった。
    「…ねこ、」
    「猫?」
    「猫が、本丸に…入り込んで」
    渋々、と言ったように言葉を絞り出す南泉に、蜂須賀と愛染は首を傾げる。
    本丸に野生動物が出ることはあることで、それがそんなにも困りごとになるのだろうか。蜂須賀の分の紅茶を運んできた五虎退を交え、3にんは南泉の言葉を待った。
    「いや、猫がいることはそんなに問題じゃねぇ、わかってる、にゃ」
    「あなたの主は、何と?」
    「猫くらい放っとけ、って。他の奴らも気にしてねえし、オレが気にし過ぎなのかもしれない」
    南泉の表情はどんどん曇ってゆく。
    しかし、その深刻さは3にんには伝わらず、何故猫がそんなに問題なのかとそれぞれに思案を巡らせる。
    「いたずらされて困るとか、ですか?」
    「まあ爪研ぎとか、そういうのはある」
    「糞の処理とか?」
    「室内でしてんのは見たことない、にゃ」
    質問を重ねても、いまいち芯に触れられない。
    「あなたの本丸で、猫がどうして問題なんだい?」
    蜂須賀がゆっくり、言い聞かせるように言葉を伝える。
    南泉は一層眉を寄せ、一度つばを飲んだ。
    「どうせ、気にし過ぎなだけだ、にゃ」
    ひょっとしたらこれまで、本丸の同胞にそう言って往なされてきたのかもしれない。
    蜂須賀は机の上の南泉の手を自身の両手で包み、真っ直ぐとその金の瞳に視線を注いだ。真剣な瞳で。
    「分からない。俺たちは絶対に笑わないから、話してほしい」
    南泉はそんな蜂須賀の真摯を真正面から受け止めきれず一度目を逸らした。
    話して解決することなのだろうか、そもそもやはり自分の考えすぎでは。
    逡巡したが、握られる手の力強さに押し負けるように、南泉は心の内をぽつりと呟いた。
    「…誰も、その猫をみたことが無いんだ。でも、猫だって皆、言う」
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    ヰノ

    PROGRESS尊重と愛情(苺の話)
    まだ途中です
    午後も数時間過ぎた頃の事だ。
     一文字則宗が小腹を満たそうと厨を訪れると、今まさに夕餉の仕込みを始めた燭台切光忠がそれに気付いて「どうしたのかな」と声を掛けてきた。
    「いやなに、今日はおやつを貰い損ねてな。小腹が侘しいと鳴くものだから」
    「なるほど、じゃあちょうど良かった。申し訳ないんだけどこの苺、主の所に持っていって一緒に食べてくれないかな」
     そう言う燭台切が困ったように苦笑しながら差し出してきたのは、硝子の器に盛られた大粒の苺だ。赤く艷やかで、ひと目で上等なものだと分かる。何だこれは、と雄弁な視線を受け、燭台切は肩を竦めた。
    「ほら、うちの主、仕事いくらでも引き受けるでしょ。なんでも他の本丸の分まで抱え込んじゃったらしくって。肩代わりした本丸から使いが来て、お礼だって置いていったんだよね」
    「まーたあの子はそんな無茶をしているのか。…なるほどな、任せておけ」
     則宗が器の載った盆を受け取ると、燭台切は「頼んだよ」と眉を下げて笑った。
     ――つまりは、『審神者を休ませろ』ということだ。
     なんと光栄な任務だろうか。執務室へ向かう則宗の足取りは軽い。

     則宗にとって審神者とは、今代 1326

    ヰノ

    MAIKING刀剣TRPGシナリオ書き始めてるんですけどこれでいいんですか…?合ってる…?本丸で迎える朝。
    【自室】
    障子から差し込む光が瞼に透け、あなたは目を覚ます。
    夢を見ていたような気がするが、よく思い出せない。
    同室は今日は厨当番らしく、既に姿はない。そうしてのろのろと[PCによってはしゃっきりと]身を起こした。
    朝食まであまり時間はない。

    【廊下】
    「(PC名)さん、おはようございます!」
    広間へ向かう道中、前田藤四郎[PCが前田の場合、他の刀剣]に声を掛けられる。
    「今日の朝食は何でしょうか?」
    *ここで<目星>
    -成功
     魚の焼ける匂いから、朝食は焼き魚であることを察する。
    -失敗
     あなたは鼻が詰まっているらしく、うまく匂いを嗅ぎ取れなかった。

    【広間】
    広間についたあなたは、盆を受け取り、うまく空いている席を見つけるだろう。
    正面には五虎退が座っていて、「おはようございます」と声を掛けてくる。
    大体の刀剣が揃ったところで、今日の近侍が「いただきます」の号令を掛ける。
    朝食は味噌汁、ほうれん草のおひたし、白米、焼き鮭だ。

    <目星>よく見ると焼き鮭の骨が一本飛び出ていて、そのまま口にしていたら舌に刺さったかもしれない。取り除こう。
    <聞き耳>昨日の酒宴の 764

    ヰノ

    MAIKING不思議なお店の話の冒頭の草案
    猫がいる本丸と南泉一文字
    その店は、万屋街の外に居を構えていた。
    小さな花屋の隣、ともすれば見落としてしまうほどのささやかな玄関。看板もないその店の存在に南泉一文字が気付いたのは、店先を掃除している一振りの短刀がいたからだ。
    「お困りですね」
    箒を持ったまま五虎退がいやに断定的な言葉を掛けてきた。
    南泉は何の事かと思ったが、すぐに自身が持つ『困りごと』の存在を思い出し、戸惑う。
    そんな様子を意に介さず、五虎退はアンティーク調のノブを引き、店内へ導いた。
    「どうぞ。お茶を用意します」
    誘われるままに踏み込んだ店は、洋風のアンティークなカフェを思わせる内装の、少し薄暗い雑貨屋だった。古臭くはあるが、煤けてはいない。手入れの行き届いた上品さがある。
    五虎退が勧めるソファに掛けると、その座面の柔らかさに驚いた。南泉がこれまでの刃生で座ったことのあるどのソファよりも(彼の本丸にソファはないので、彼は今まで政府施設の布張りのベンチをソファだと信じていた)柔らかいのだ。
    何故か連れ込まれた店内で持て余した時間を、ガラス瓶を逆さにしたようなランプが吊り下がっているのを眺めて潰していると、紅茶とクッキーをトレイに載せた愛染国俊 1728

    recommended works