【青監獄】Out of the Blue/Blue sky that lasts Forever【サ 気持ちが弾む。ふわふわと軽やかで身体が宙を漂ってしまいそうでありながら、ぱちぱちと刺激的で体内で小爆発を起こす興奮がある。それでいて、じりじりと炙って内蔵を焦がすような焦燥もかすかに混じっている。いつだってそういうものだった。
「あれ、今日は早いね」
無意味だとわかっていても逸る気持ちが抑えきれなくて、エレベーターのボタンを連打していた指が止まる。視界の隅にエレベーターが現在いるフロアが表示される電子モニターを収めて振り返る。ノートパソコンを片腕に抱えた同僚が物珍しそうにわたしを眺めていた。
「今日は代表戦なんですよ」
「あー、なるほど」
いつもであればまだ己の業務と向き合っているけれど、唯一の趣味サッカー観戦は最優先事項で、数日前から業務調整をしてそそくさと退勤したところだ。カバンに入ったユニフォームとマフラータオル、ボーナスを全投資しているカメラを持ってスタジアムへ向かう時間も好きだ。この後の試合に思いを馳せて、お気に入りの選手がスタメンに選ばれたかをそわそわとSNSで度々確認して、頭がサッカー観戦モードに切り替わっていく時間。
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