Legendersより 2023年1月5日のプロデューサーへ「行っちゃったねー」
忘れもしない、オーディション当日。リリースイベント。テレビや舞台の初出演。一つ一つの積み重ねが、思い出となって脳を駆け巡る。
「今生の別れじゃない。何ならすぐ会える距離だ」
ぽんぽんと僕の頭に手をやる雨彦さん。子供扱いしないでくれと再三伝えているが、彼も感傷に浸っているのかもしれない。厚い掌を、今だけは許してやろう。
「我々には、LINKも、電話も、手紙もあります」
寂しそうに笑うクリスさん。あなたの膨大な情熱を受け止める貴重な人だよ、簡単に手放しちゃだめだからね。
「だから、落ち込まないでください、想楽」
「落ち込むな。北村」
全く、うちの大人たちは。繊細な感情表現を、若者の僕に任せるんだから。泣くのは年少に任せておけばいい、自分達は大人らしく切り替えている、そんな風に見せたいのだろうか。不器用な、暖かい仲間。
「落ち込んでなんか、いませんよー」
「そうかい?じゃあこの身長差のせいで、お前さんの顔はよく見えなかったということにしよう」
「では私は、たまたま手元にあったハンカチを貸します。髪が海水に濡れているように見えたので」
「もー、なんなの、二人とも」
後から後から溢れてくる雫を、必死にバレないようにやり過ごしていたのに、めざといんだから。不器用な僕。まだまだ青い僕。
「次会うときは、パワーアップしてなきゃいけないんですからー。休んでる暇、ないですよー」
「その通りだ。見違えたと言わしめてやらないとな」
「明日からも、大切に歩んでいきましょう」
頼もしい、自慢の仲間たちと一緒に。覚悟しててよ、プロデューサー。僕らの未来は、あなたの予想できない先まで、伸びてるんだから。