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    七海こいと

    彼と私の大切な思い出の保管庫
    所謂自己投影夢と言うものですが
    本気で彼に恋をして愛しています

    〝fgoの少年悪漢王〟
    彼に好意を抱いておられる方は
    お引き取りいただくことを推奨します

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    七海こいと

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    珍しい彼視点の話。

    #夢小説
    dreamNovel

    泣くということ 君はよく泣く。
     嬉しくても、悲しくても、寂しくても、怒っていても、泣く。

     最初の頃、僕にはその涙がよく分からなかった。
    悲しかった、悔しかった、腹が立った、もちろんその感情の理屈は判る。
    ただ、逐一感情が涙の粒となって流れ出る様が、兎にも角にも不思議で仕方がなかった。
    その上、君は「泣くのは嫌い」だと言う、直ぐに泣く自分が嫌いだとも。
    こいと本人は気付かれないように繕っているつもりだろうけど、生憎隠すことに関しては下手くそな君は、その表情や声色から、今にも泣きそうだとか、泣いていただとかを隠せていた試しがない。


     そうだ、気付けば僕は〝泣く〟と言う行為そのものを、忘れてしまっていた。
    意識して忘れた訳では無い、気付けば〝泣けなく〟なっていただけだ。

     心を殺した?
     違う。
     感情を押し殺している?
     それも違う。

     僕にとって〝泣く〟と言う行為が、必要のないものになっていただけで、きっと短い人生の道中で、邪魔になって放り投げてしまった荷物の一つだった、ただそれだけなのだと思う。

     ただどうも、その荷物は、僕から見て、君にとっては必要不可欠なように思う。
    感情の整理、自身の気持ちと向き合う時間、そして、相手の痛みに寄り添う、そういう気持ちが全て、涙という形で表面に現れる。
    ああ、そうか。だからきっと、あの時僕の話を聞いて、泣いたんだ、まるで自分事かのように。

     いつだってこの世界で生きていくには、感情の鈍さが必要で、取り繕って偽る事も必要で、時には気付かぬフリも必要だ。
    僕なりにそう思うからこそ、そのうちの何一つ出来ているようには思えない、そんな〝心〟でこの先やっていけるの?
    そんな君への大きなお世話でしかない言葉が、僕の心の隅に顔を覗かせる。

     まぁなんにせよ、そう思ってしまう限りは、僕は君から目が離せそうにないらしい。
    根無し草で気楽に生きて死んだ僕が、こいとの声に、心に応えると決めた時から、きっとこうなることは決まっていた。

     そう思って、いつもと変わらない目の前の笑顔に、ただ笑顔を返すのだ。
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