アレキシサイミア2-A オマケ——美しいダブリンの街、可愛いモリーマローン、新鮮なムール貝、熱病、幽霊。
低い小さな声が歌を口遊んでいる。
目を覚ましたベッドの上、首だけを動かして向かいのベッドを見遣ると、ライルは反対側を向いて寝転んでいた。
不可思議な歌詞の異国の歌謡に、刹那は何故か覚えがあった。
数時間前よりは幾分明瞭になった頭で思い出そうとするが中々出てこない。
しかし、不意に鼻を擽った微かな煙草の匂いに、その解答が頭の中で忽然と閃いた。
何度も脚を運んだパブで気持ちよく酩酊した酔っ払い達が、ギターの旋律に合わせてがなるように歌っていたのだ。陽気な濁声は同じフレーズを何度も繰り返していた。
――Alive、alive、oh。
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