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    annojo_94

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    annojo_94

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    両片思いドラロナ
    酔っぱらルクさまと巻き込まれルドくん

    「ただいまーメビヤツー」
    『ビ!』
    「ただいまジョーン……? あれ、いねえ。クソ砂だけ?」
    「あーっ。おかえりぃ、私のかわいい子」
    「は?」
    「ほら、こっちにおいで。ぎゅうってさせて」
    「は!?」
    「ね、ね、はやく」
    「な、なにが起きて……」
    「君も飲む? ……ああ、ダメか。これ、ブラッドワインだもん」
    「……」
    「? 来てくれないの。じゃあ私が行くね」
    「ちょっ、なに!? なになになに!?」
    「あー……ふかふかでツヤツヤ……」
    (ジョンの腹毛と俺の髪を間違えてる……のか!?)
    「う、嘘だろお前、酔うとそんな派手に間違えんの!?」
    「ふふ。私が手入れしてるんだもん。当たり前かあ」
    「……」
    「好きー」
    「……」
    「すき。可愛いね。すき。だーいすき」
    「……ゔう……っ、このッ! テメエいつまで間違えんだとっとと気付けや!! おらッ! 俺の顔見ろ! 顔!!」
    「……?」
    「……な、なんだよ」
    「見てる」
    「へ?」
    「見ろって言われたから、見てるの」
    「……俺ですけど」
    「君だね」
    「その、えっと。俺、なので」
    「うん。君だ。私のかわいいかわいいロナルドくん」
    「……いつから?」
    「いつ?」
    「テメエ、酔ったフリして俺揶揄ってんだろ! いつ酔い醒めたのかって聞いてんだよ!」
    「いつ、だろう」
    「……」
    「一目惚れだったのかも」
    「……ま、まだ酔ってる……?」
    「きっと、あの日。君が私の元に訪れた時、恋に落ちたんだ」
    「あのぉ……ドラ公さん……?」
    「でなきゃ、ここに押しかけたりしないよ」
    「……あっそ」
    「すき。ロナルドくん、好きだよ。ねえ、君は? 君は私のこと、すき?」
    「……」

    「……そうでもなきゃ、追い出してるっての」
    「そっか。ふふ。そうだよね。嬉しい。私たち、両思いだね」
    「らしいな」
    「ねえ、ロナルドくん。好きって言って」
    「いやだ」
    「えーっ。どうして」
    「どうせ、明日には忘れてるだろ。今日のことなんか」
    「忘れないよ」
    「嘘つけ」
    「ほんと。ねえ、聞かせて。君の声、で……」
    「……」
    「……」
    「……は? 寝た?」
    「……」
    「マジで寝たの? ええ……マジ……?」 

    「……」

    「好きだぜ、ドラルク」
    「……」
    「寝やがったテメエが悪いんだからな」
    「……」
    「バーカ」



    「お前もはや形保ててねえじゃん」
    「死んでも死んでも頭痛が治らない」
    「それでさっきから死にっぱなしなのか」
    「人の形になると頭部が痛む」
    「じゃあ仕方ねえな、そこで砂山になってろ」
    「ー……気分悪い……」
    「ヌヌヌヌヌヌ……」
    「情けねえなあ。高等吸血鬼サマが二日酔いかよ」
    「うるさいうるさい。君の声、無駄に頭に響く。黙ってて」
    「……へーへー。わーったよ」

    「──やっぱり覚えてねえじゃん」

    「……? なにか言ったか、若造」
    「別に。なにも」
    『ビッ』
    「うわびっくりした! メビヤツ? どうした急に」
    『ビ、ビッ』
    「なに映し、て……」

    『すき。ロナルドくん、好きだよ。ねえ、君は? 君は私のこと、すき?』
    「ヴァーーーーッ!?」
    「ヌヤン♡」
    「メビヤツ!? お前っ、こ、これっ!?」

    『マジで寝たの? ええ……マジ……?』
    「ーーッ!! だめ! メビヤツダメ! ストップ!! とめて!!」

    『好きだぜ、ドラルク』

    「……う、うう。違う、違うんだドラルク。これは……あの……」
    「……」
    「ヌーヌ?」

    「やだ」

    「ヌ!?」
    「は? クソ砂、テメエ今なんつった」
    「やだーっ!!」
    「──ッ、そう、かよ」
    「こんな適当な告白するつもりはなかったんだ!!」
    「俺のことなんか、って……えっなに、告白?」
    「ヌー」
    「君からの返事だってスピーカー越しなんかじゃ嫌だッ!」
    「砂山が蠢いてる……」
    「ヌヌヌヌ」
    「やり直しさせて……お願い……」
    「……」
    「今日はちょっと無理だけど……頭痛くて……でも明日……いや明後日には……」
    「……っ、ふは。ざーこ。クソ砂の虚弱ヤロー」
    「なっ、なに。ダメ? 今日告白しなきゃ断られるやつ??」
    「いいや、待ってやる。何日でも、何年でも」
    「ロナルドくん……!」
    「ヌヌッヌヌ、ヌヌヌヌヌヌ!」
    「うん……! 良かった! 良かったよ、ジョン!」
    「ヌー!」
    「あと、ついでに。先に返事しといてやるよ」
    「返事? 告白の!?」
    「ああ」

    「喜んで、ってな」
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