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    tonight_trmk

    @tonight_trmk
    刀剣乱舞 つるみかを書きます

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    tonight_trmk

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    つる♂みか♀
    現パロ、転生(要素はあんまりない)
    清光が巻き込まれているようないないような

    国民栄誉賞は辞退されました ほい、と渡されたプラスチックのボトルを鶴丸はまじまじと見つめた。
    渡した張本人は、「それでは頼む」とばかりに背をこちらに向ける。
    真っ白な裸の背である。華奢な肩、細い首。短く切りそろえた青い髪と項から下、すうとうつくしい背骨が腰まで通っていて、思わず指で辿りたくなる。衝動をこらえてため息をついた。

    「きみな」
    「うん?」

    今日はこの背中の主とデートの予定であった。
    朝10時に駅前で待ち合わせて、電車に乗って海近くまで。そこそこおおきな水族館でゆっくり魚やクラゲやイルカのショーを楽しむ。昼は館内のレストランでよいだろう。魚を見た彼女が「魚料理が食べたい」と言い出すことは目に見えているのでもちろんそこも視野に入れてレストランのメニューもチェック済みだ。時間があれば海沿いの公園を散歩がてら歩いてもいいし、近くにおおきなショッピングモールがあるからそこに立ち寄ってもいい。夜は以前彼女が食べたいと言っていた小籠包が美味しい中華料理屋を予約してあるし、その次の日の予定は何も入れていない。彼女の予定もなにもないはずだ。どこかで泊まるもよし、鶴丸の自宅へ行くもよし、なんなら彼女の部屋に行くのも吝かではないという万全の状態である。今朝は朝6時には目を覚まし、軽く体を動かしてシャワーを浴び身支度を整え、天気予報を確認し手荷物をチェックし、さて少し時間が出来たから早めに駅前のコーヒーショップで時間でも潰すかとスマホを手に取ったところで「少し困ったから、家に来て欲しい」と彼女から連絡が来ていたことに気がついた。
    のんびりで世話をされるのがすきだと常日頃からのたまう彼女であったが実はやればできることの方が多い。なにかあったかと慌てて来てみれば、寝巻き姿の彼女がさほど困っていない様子でにこにこと迎え入れてくれて、ほいと背中を見せられ今に至るわけだ。鶴丸は大きくもう一度ため息をついた。

    「デート前に恋人を呼び出して、何かと思えば背中に日焼け止めを塗ってくれとは……驚きだぜ」
    「待ち合わせなくて済んだなあ」
    「そういうことか?」

    ふふふ、と彼女が振り向いて笑う。おそらく寝起きの姿だが、可愛い。白い肌に華奢な首筋。長いまつ毛の下は幽玄の夜空の色だ。乾いた様子のないふっくらとした唇は健康そうな桃色で、寝癖であちこちに散らばっている状態の寝癖さえつやつやきらきら、光って見える。寝巻きの上だけ脱ぎ落とした、上半身裸、下はショートパンツ1枚という今から支度をしていたら普通に待ち合わせには間に合わなかったのでは?という様子であるにも関わらず、鶴丸はどうしたって彼女の――三日月の美貌には勝てないし、敵わない。勝つ気もない。なにせ前世から彼であれ彼女であれベタ惚れな自覚があるのである。
    さあ、と促されるままボトルから日焼け止めをでろ、と出し丁寧に背に塗ってやった。伸びのいい白い液体は白い背中の上で薄く透明になっていく。

    「清光にワンピースを選んでもらってな」
    「ああ、そりゃあ間違いない」

    清光は今世では三日月と鶴丸の大学の後輩の男子だ。センスがよく、お洒落についてはなにもわからん、というファッションセンスすかぽんたんの三日月のお洒落監修担当である。おそらく彼は三日月本人よりも三日月のワードローブを把握している。三日月1人に任せるとデートでも授業でもとにかく逆方向の驚きを発揮してくるので、それはそれで楽しいのだが、やはり美しいものは美しく1番映えるところにいて欲しいのが恋人としての心情である。
    それで?と話を促すと彼女は脇のベッドの上から白いワンピースを引き寄せた。

    「清光が絶対お前のツボだから、と選んでくれたやつで、たしかに可愛いのだが背中がざっくり開いていてなあ……」
    「……なるほど」

    清光、グッジョブ。よおくわかっている。鶴丸は今度彼になにか奢ってやろうと決めた。清光はそういうところがある。鶴丸の性癖をがっつり掴みつつ、三日月の美しさに一番似合う驚きの服を選んでくれるのだ。お洒落な後輩は周りに何人もいるが、鶴丸は清光のそういうところに全幅の信頼を置いている。先輩と呼んでも差し支えない程である。1度呼んで気味悪られたのは記憶に新しい。
    もう一度日焼け止めを手に出して2度塗りする。鶴丸も肌が弱いので、日焼け止めの塗り方は心得ている。

    「前に日焼けで痛い目をみたことがあったし、兄様たちにも日焼けには気をつけよと口を酸っぱくして言われていたからなあ。しかしひとりで背には手が届かんことに気がついた。一人暮らしの身では誰かに頼むことも出来ないし、恋人以外に肌を見せる訳にもいかない、となると」
    「俺しかいないよな」
    「だろう?」

    狭い背中は2度目もすぐ塗り終わってしまったが、すべすべとした背中をそのまま手のひらで楽しむ。昔の記憶よりも小さな手のひらに収まってしまう肩甲骨、指で辿る背筋の窪み。夜にシーツの海で汗を浮かせて踊るこの背中をふと思い出し、ちり、と沸いた欲に逆らわないまま薄い腹に腕を回し引き寄せると、いとも簡単に目の前の彼女は腕の中に収まってしまった。肩に顎を載せるとおや、と薄く笑い声が近くで聞こえる。

    「これから出掛けるんだぞ」
    「このまま家にいてもいいんじゃないのか?」

    小さなへそに指を潜り込ませて擽ると声を上げて彼女が笑う。だめだ、と笑う彼女の首筋に唇を落として、下着をつけていないままの胸の膨らみを持ち上げる。三日月の吐息が震えた。若い身体は簡単に火がつくことを鶴丸は三日月といる度に思い知るのだ。何度も、何回も、何千回も。

    「んっ、こら、つる……今日は水族館……」
    「そうなんだがなあ……」
    「あ、イルカ、見たいし……くらげも……」
    「きみ海月好きだもんな」

    仲間だからかい?と赤く染まっていく耳に息を吹き込むと抱き込んだ身体がびくんと震え更に熱くなる。どこをどうしたら彼女がこちら側に堕ちてくるか、身につくほどに理解している。
    片手は豊かな胸であそばせ、もう片手でそのまま薄らついた皮下脂肪の柔らかさを楽しみながらへその下に手を這わせる。寝巻きのショートパンツのゴムに中指のつま先が滑り込み、あ、と三日月がか弱い声で鳴いた。
    堪らなくなって鶴丸は三日月の耳朶を食みながらとびきり甘い声で囁いた。

    「な、今日はずっとこうしてようぜ。水族館も小籠包もまた今度……」
    「小籠包!!!!!」

    がん、と強い衝撃を受けて鶴丸は後ろにひっくり返った。目を白黒させながら見上げると、三日月がきらきらした目で立ち上がったようだった。

    「そうだった、今日の夜は小籠包だったな!」
    「あ、あれ、三日月さん?」
    「お前は上手いなあ、すぐ流されてしまう」

    先ほどのあまーい空気を元気よく吹き飛ばした彼女は、はははと笑っててきぱきと下着を身につける。背中が空いたワンピースとやらのためか、いつもの下着ではなくパッドの着いたキャミソールのようだ。背中が大きくU字に空いており、鶴丸はなるほどなあと半ば現実逃避で彼女が身支度する姿を見つめている。
    寝転がった鶴丸はそのままに、三日月は下着姿のまま化粧にとりかかる。元がいいからコテコテしなくていいんだよ、と言っていたのは清光だったか。ぽふぽふ、さっさ、すいすい。その程度であっというまに化粧を終えた三日月は簡単に髪をとかして寝癖を押さえつけると白いワンピースをやさしく頭から被った。デザインはシンプルだが、ギャザーのたっぷり入ったスカートと、うなじから腰上まで縦に大きく空いた背中の白がなんとも眩しい。うなじの下、空いた隙間を閉じるリボンが男心を揺さぶるように揺れる。鶴丸は清光に国民栄誉賞を与えることを決めた。タンスから金のネックレスを取り出し覚束無い手つきで装着した三日月は、ぼうと見上げる鶴丸の視線に気付くとそのままその場でくるりと一回転した。ふわり、スカートが揺れる。

    「どうだ?」
    「きみって最高だなあ……」

    あはは、と声を上げて三日月が笑う。時計を見れば午前10時。待ち合わせの時間である。お預けをくらった熱は今夜しっかり花より団子の彼女に解放してもらおうと心に決めた鶴丸は、ひとまず差し出された手を取り起き上がったのであった。
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    tonight_trmk

    DOODLEつる♂みか♀
    現パロ、転生(要素はあんまりない)
    清光が巻き込まれているようないないような
    国民栄誉賞は辞退されました ほい、と渡されたプラスチックのボトルを鶴丸はまじまじと見つめた。
    渡した張本人は、「それでは頼む」とばかりに背をこちらに向ける。
    真っ白な裸の背である。華奢な肩、細い首。短く切りそろえた青い髪と項から下、すうとうつくしい背骨が腰まで通っていて、思わず指で辿りたくなる。衝動をこらえてため息をついた。

    「きみな」
    「うん?」

    今日はこの背中の主とデートの予定であった。
    朝10時に駅前で待ち合わせて、電車に乗って海近くまで。そこそこおおきな水族館でゆっくり魚やクラゲやイルカのショーを楽しむ。昼は館内のレストランでよいだろう。魚を見た彼女が「魚料理が食べたい」と言い出すことは目に見えているのでもちろんそこも視野に入れてレストランのメニューもチェック済みだ。時間があれば海沿いの公園を散歩がてら歩いてもいいし、近くにおおきなショッピングモールがあるからそこに立ち寄ってもいい。夜は以前彼女が食べたいと言っていた小籠包が美味しい中華料理屋を予約してあるし、その次の日の予定は何も入れていない。彼女の予定もなにもないはずだ。どこかで泊まるもよし、鶴丸の自宅へ行くもよし、なんなら彼女の部屋に行くのも吝かではないという万全の状態である。今朝は朝6時には目を覚まし、軽く体を動かしてシャワーを浴び身支度を整え、天気予報を確認し手荷物をチェックし、さて少し時間が出来たから早めに駅前のコーヒーショップで時間でも潰すかとスマホを手に取ったところで「少し困ったから、家に来て欲しい」と彼女から連絡が来ていたことに気がついた。
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