匣の中にて開戦準備 気まずい。
それはおそらく目の前にいる相手もそうだろう。触れ合う肌は布越しにじんわりと体温を感じ、こちらに気を使ってだろうか細く吸って吐く呼吸の吐息さえ頬や首筋に感じている。
足の置き場が悪く、もぞりと動かすと己の足の間に向かいあわせの相手の右脚が入り込んでいるようで動きづらかった。
「……三日月宗近」
耐えかねたように向かいの男が低く自分の名前を呼ぶので、三日月もうむ、と低く応える。
「これはどういう状況だろうなあ……」
「全くもってわからんが、ああ、くそ。こんな驚きは求めていないぞ」
暗闇の中、苛立つように吐き捨てる眼前の男をどこか隙間から入ってくる光がか細く白く照らす。
「同感だ」
三日月は今、細長い鉄の箱のような物に立ったまま閉じ込められている。
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