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    oxh16439848

    @oxh16439848
    ハンジさんが大好きな女

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    oxh16439848

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    無配として書きましたが、本とは全く関係のない話です。リヴァハンラップ楽しい。
    書いてる本人もちょっとよく分からない内容なので、読まれた方はもっと分からないと思います。
    リヴァハン幸せそうねと、ぼんやり思って貰えたら嬉しい。



    ※NO MUSIC LIFEの人間が書いているので、専門用語などあっているとは限りません。

    【ラッパーとして成功したリヴァイがマーレドームに中学からの幼馴染であるハンジさんを招待する話】





    「えっ、辞める? どうしてさ?!」
    「将来の事を考えて。ここら辺が潮時だ」
    「だ、だって! スカウトが来たって喜んでたじゃないか」
    「所詮弱小レーベルだ。それだけで食っていけるとは思えねえ。いつまでもラップなんてやってらんねえよ」
    「そんな……だって……」

     いつもは饒舌に回るハンジの口が、ハクハクと虚しい開閉を繰り返す。上手く言葉が出てこないのは、リヴァイの言う事もよく分かるからだ。
     大学四年ともなれば、周りは就職活動に勤しむ学生ばかり。やれ内定を貰っただの、これで何十社めの不採用だのと悲喜交々の会話が成される中で、リヴァイが将来を不安に思っても仕方がない。

    「で、でもさ。何方も並行して頑張れば良いんじゃない? 就職活動と、……ラップ。ずっと頑張ってきたじゃないか。リヴァイには才能があるんだから」
    「……そんなもんねえよ」

     リヴァイは中学からラップを始めた。熱しにくく冷めにくい性格の彼は、一度ハマったら飽きるという事がない。地道に音楽活動を続けた結果、地元で一番大きなライブハウスを満員にするくらいにまでなっていた。
     リヴァイの幼馴染であるハンジは、彼の弛まぬ努力をずっと見てきた。いや、聞いてきた。
     寮の薄い壁から毎日のように聞こえてくる「yo…yo…」という声に耳を傾けながら、自分も負けてられないと巨人の研究に勤しんだものだ。
     ハンジは彼がラッパーとして成功することを何一つ疑わなかった。リヴァイがここまで頑張って、上手くいかないわけがない。

    「ねえ、もうちょっと続けてみようよ。好きなんだ」
    「……え?」
    「キミのリリックが」
    「……てめえは、内定出てるから高みの見物だろうな」
    「な、なんだよ。そんな言い方」
    「そりゃ自分と関係ない野郎の人生だ。何でも気軽に言えるだろうよ」

     確かにハンジは比較的早い時期に、希望の会社から内定を貰っていた。(因みに巨人研究では国内一の企業だ。巨人から採取した体液で医薬品を作っている)
     採用通知が来た時は親よりも早くリヴァイに伝え、これからの生涯を巨人研究に捧げると息巻いた。彼も喜んでくれていると思ったのは、勘違いだったのか。

    「……リヴァイの馬鹿っ! もういいよ!」

     何だか悲しくて堪らない。リヴァイがラップを辞める事も、「関係のない人生」という言葉も。耐えられなくなったハンジは、逃げるようにその場を後にした。


    ✩.*˚チェケラッ!✩.*˚✩.*˚チェケラッ!✩.*˚


    「わぁ、凄い。リヴァイがこんな所で……」
    「ウチのレーベルでは初めてだ。成功するとは思っていたが、まさかここまでとは予想していなかったな」

     隣に座るエルヴィンは、感慨深げに二階にある関係者席からステージを見下ろしていた。
    何処か冷たい印象を与える青い瞳だが、今ばかりは熱を宿しているようだ。
     しかしそれも無理からぬこと。弱小レーベルの社長である彼が、生き残りをかけてプッシュしてきたアーティストが世界ツアーを終えて戻ってきたのだ。
     国内一の収容人数を誇る「箱(名称・マーレドーム)」を満席にしたリヴァイに、万感の思いがあるのだろう。

    「ありがとうございます」
    「ん? 何がだい?」
    「エルヴィンさんが説得してくれたから、リヴァイは音楽を続けられた。彼ってば貴方の言う事にはすぐ「了解した」って言いがちだし」
    「はは。お礼を言われるような事じゃないさ。俺だってあの才能が欲しかった。こちらそこ来てくれてありがとう。君が見ているとリヴァイのやる気が上がるからね」
    「そんな事ないですよ。……私達は、ただの友達ですから」

     世界ツアーを敢行していたリヴァイとは、半年以上会っていない。やたらと連絡は来るのだが、仕事の都合で一時帰国する際も会おうとは言われなかった。寂しい気持ちはあるけれど、リヴァイは忙しいから仕方がない。そう、思っていたのだが。

    「一週間前にチケットが届くなんて、さぞや困っただろう」
    「いやー、休日は暇してる事が多いんで」
    「リヴァイも俺も、もっと早く君を招待したかったんだが、……色々あってね」

     そう言ったエルヴィンが溜息のような笑いを零す。目の下には濃いクマが浮かび、隠しきれない疲労の色が伺えた。マーレドーム程の大きな施設でライブをするとなると、ハンジには想像もつかない苦労があるのだろう。
     そういえば、チケットのお礼をする為に連絡を取った際、リヴァイも似たような事を言っていた。

    「急で悪い」
    「ううん、全然! 本当は自分でチケットを取ろうと思ったんだけどね。リヴァイの人気が凄すぎて瞬殺だったからさ。送られてきたチケットを見て飛び上がるほど嬉しかったよ」
    「おい、俺に言えば良いだろ」
    「うーん、まあそうなんだけど。何か悪いかなって」
    「……色んな方面を説得していて時間がかかっちまった」
    「説得って?」
    「まあ、色々あってな」
    「ふーん」

     何の事かは分からなかったが、ハンジは特に気にしなかった。リヴァイから届いたチケットが嬉しくて、通話中も「飛び上がりたい」気分だったからだ。アーティストとして大成功した今でも、リヴァイはハンジを気にかけてくれていた。

    (もちろん、友達としてだけど)

     実は今SNSでは一つの噂が流れている。
     今度のライブでリヴァイがファンに重大発表をするらしいと。そしてそれは、結婚報告だというのだ。お相手は売り出し中のアイドル「ペトラ・ラル」小柄でとても可愛らしい女性だ。
     つい先日、二人仲良く相合傘をさしている所をパパラッチされていた。リヴァイの手には、傘とハイブランドのショップバッグが二つ握られていたらしい。真偽のほどは不明だが、その記事によると中身はペアリングだという。

    「……ラッパーなのにピアスの一つもしてないリヴァイが。ペアリング……かぁ」

     SNSなどソース不明でいい加減なものが多いけれど、これは真実だとハンジは思う。
     何故なら噂の彼女も関係者席にいるからだ。とても幸せそうな顔をしながら、隣に座るほうれい線のくっきり入った男性と会話している。
     結構歳上に見えるが、マネージャーだろうか。
     今日という記念すべき日に、リヴァイは彼女の事を発表するのだろう。そしてそれを一番の仲良しであるハンジに見ていて欲しいと思っているのだ。
     それはとても光栄な事で、そんな瞬間に立ち会えるなんて凄く嬉しい。
     その気持ちは、嘘じゃない。
     加速していく胸の痛みに気付かないフリをしたハンジは、ポッケからハンカチを取り出して、滲み始めた眦をそっと拭った。


    ✩.*˚チェケラッ!✩.*˚✩.*˚チェケラッ!✩.*˚


     ライブが始まると会場は怒涛の熱気に包まれた。相変わらずリヴァイの人気は凄まじく、彼がリリックを刻むたびに男性客は歓声をあげ、女性客はウットリしながらリヴァイを見つめるのだ。

    「凄い人になっちゃったな……」

     ハンジはこっそりペトラを見やる。大きな瞳に可憐な唇。栗色の毛はフワフワ靡き手入れが行き届いていた。おそらく性格も良いのだろう。誹謗中傷が溢れるSNSでも、彼女の悪い噂は見当たらなかった。

    (はあ、調べちゃう自分が嫌だ……)

    『中学からの幼馴染』『いちばんの仲良し』ここに『好きな人』が加わったのはいつ頃だろう。ずっと一緒だったから、それが当たり前だったから、恋に疎いハンジは自分の気持ちに気付く事が出来なかった。そうして、気付いた時には失恋していた。

    (仕方ないよね)

     もう、いちばんの仲良しとは言えないけれど、リヴァイの幸せを心から喜べる自分でありたい。
    「おめでとうって笑顔で言おう」漸くハンジの覚悟が決まった頃には、ライブも終盤に差し掛かっていた。全く集中出来なかったが、次がラストらしい。ずっと歌い続けていたリヴァイが、今はたどたどしい喋りで苦手なMCをこなしていた。

    「これは、思い出の曲だ」

     その時、リヴァイが関係者席であるこちらに視線を向けた。きっとペトラを見ているのだろう。

    (大丈夫。大丈夫だ。私はちゃんと祝福出来る)

     ハンジは右手を心臓の上に置いてグッと押す。こうすると少しだけ落ち着ける気がするのだ。昔から変わる事のない、おかしな癖だった。
     一方、リヴァイも緊張を逃すように大きな息を一つ吐いた。彼の空気が伝播して、ライブ会場とは思えない静寂が辺りを包みこむ。

     やがて眉間にたっぷり皺を寄せたリヴァイが、タイトルを言った。

    「クソメガネと人類最強」
    「……え」

    🎶Hey yo! yo! 俺の名前はリヴァイ
    俺の女はクソメガネ
    132話は誰の差し金🎶

     リヴァイがアカペラで歌い始めたそれは、確かに二人の思い出の曲だった。


    ✩.*˚チェケラッ!✩.*˚✩.*˚チェケラッ!✩.*˚


    「進撃の巨JIN」
     リヴァイがラップを作る切っ掛けになった漫画だ。その中には『ハソジ・ゾエ』というキャラがいて、リヴァイは物語の終盤で退場してしまった彼女の事が大好きだった。
     そこで感じた怒りや憤りを上手く消化出来なかった彼が、自分を救済する為にリリックを紡ぎ始めたのだ。
    (因みにその中に出てくる『リバイ・アッカーマソ』はハンジのお気に入りキャラだ)
     リヴァイは事ある毎にハンジはハソジに似ていると言った。あっちの方が断然良い女だがと。
     それを言われる度にハンジも負けじと、リヴァイよりもリバイ兵士長の方が最強にカッコ良い男だよ! と言い返していた。

    「なんで……? なんで、この曲を?」

     戸惑うハンジの耳にパチパチと音が聞こえた。見ると、ペトラと老け顔のマネージャーが微笑みながら小さく拍手をしている。二人の薬指には同じブランドの指輪が光っていた。

    「どういう事? わけ分かんないよ……!」
    ※「前世なんてクソだと言う女と 全て忘れた男」で謎が解けます。解けなくても問題ないです。


     最早パニックに近い、悲鳴のような言葉。そんなハンジの動揺などサクッと無視したエルヴィンは、何処からともなくマイクを取り出した。
     そしてそれをハンジに向ける。

    「急ですみません。……歌ってやってくれませんか」
    「はあ?!?! う、う、歌う? ここで?」

     確かにこの歌にはハンジのパートが存在する。リバイ兵士長に対する想いをハソジが歌っている、というていで、毎回ハンジが歌わされていた。
     リヴァイの傷付いた心が癒されるならと安請け合いをしたのだが、次作「拷問夫婦」にもハンジパートが組み込まれていたので、それについては遠慮なく意義を申し立てた。
     ハンジにとってラップはあくまで聞くものであり、自ら刻むものではない。それ以降リヴァイがハンジにラップを強要する事は無くなったのだが。

    「そ、そんな。無理です! こんな大勢の前で歌うなんて」
    「貴女が歌わなくても、リヴァイは何とか場を繋ぐでしょう。彼はプロだから。このライブが失敗することはない。だけど、」

     歌ってやってくれませんか。エルヴィンはもう一度言った。リヴァイの想いを受け止めてくれと。

    (想い? 想いって、何だよ……)

     初めて作った短いリリック。リヴァイのパートはすぐに終わった。ハンジは差し出されたマイクを受け取る。ステージ上では真摯な目でこちらを見上げる小男が居た。
     ああ、もう! もう!!

    🎶へ、Hey yoぉ……。私はぁハンジ……。


    ……私の男は……男は……うぅっ! ひっく!
    人るい最強 背丈は最しょう 笑顔はぁ、ひっぐ、き、貴重🎶

     涙声のライムに会場中がどよめいているが、それも無理からぬ事だ。リヴァイのラップを聞きに来たのに、いきなり女が泣きながらリリックを刻んでいるのだから。
     観客総意の「お前誰やねん」がハンジに突き刺さる。しかし、歌を止める訳にはいかない。

    🎶巨人とは……ひっく、か、片想い。
    俺とは……俺とは……両想い。
    分かりにくい、分かりにくい……。🎶

     本当に分かりにくい。漫画の中のリバイ以上に現実のリヴァイも分かりにくい。

    🎶だけど私は貴方の翻訳機……うぅっ🎶

     そうなのだ。漫画の中のハソジがリバイの翻訳機だったように、ハンジもリヴァイの気持ちが理解出来る。

    🎶伝わる想い 外れた錘 解かれた重荷🎶
    『巨人って……素晴らしいな』

     最後まで歌いきったハンジは、崩れるように椅子に座り込んだ。胸の奥から想いが溢れて、とても立ってはいられない。リヴァイの姿を見たいのに、次から次へと涙が零れて、両手で顔を覆う事しか出来なかった。

    「俺の想いは、これで伝わったと思う」
    「……はっ?」

     予想外の言葉に、ハンジは涙を拭ってステージを見る。そこに居るのは人生の大仕事をやり遂げた、と思い込んでいる男。無表情の中にもドヤ感を醸し出して佇んでいる。
     イラッ。そのドヤドヤを見た途端、ハンジは腹の底から怒りが迫り上がるのを感じた。
     ずっと失恋したと思っていたから、リヴァイの気持ちが自分に向いていると知って舞い上がってしまったが。よく考えたらこの状況って何だろう。
     どうして収容人数十万人のドームで素人を歌わせる必要があったのか。ハンジが好きなら普通に告白したら良かったのでは。リヴァイもリバイ兵士長も圧倒的に言葉が足らない。足らな過ぎる……!!
     喉まで込み上げた苛立ちを飲み込むべきか、吐き出すべきか。ハンジの迷いを他所に、ドヤリヴァイの進撃は続く。

    「いっそ二人でここで暮らそうか!」

     いよいよ訳が分からない観客達の動揺が、波紋のように広がっていく。
     ここで? 暮らす? マーレドームで?
     そんなざわめきの中で、翻訳機であるハンジはもちろん言葉の意味を理解していた。理解した上で頭を抱えている。

     リバハソ民の中では当たり前の常識である「I(いっそ)F(二人で)K(ここで)K(暮らそうか)」
     126話で意識の無いリバイに、ハソジが語った言葉だ。リバハソ民が沼に落ちた理由のトップスリーには入るだろう人気エピソードでもあるのだが、当時からバリバリのハソジ廃だったリヴァイは、あの話に怒り狂った。
     ハソジが望むなら森で暮らせばいいじゃねえか。弱った女のプロポーズを振りやがったなと。
     そんなリヴァイをハンジは少し冷めた目で見ていた。よく読めば、それがハソジの真の望みでは無いことくらい分かる筈だ。
     これだからハソジモンペは困る。と思いながらも、ハンジは懇切丁寧に説明した。
     これは兵士としてのハソジの想いを尊重したんだよ。何なら「IFKK」もプロポーズではないと思うよ。
     最初は聞く耳を持たなかったリヴァイだが、最後は渋々分かってくれた。
     分かってくれたと、思っていた。

    「どうするんだい?」

     苦笑いを浮かべたエルヴィンが、やはり溜息混じりにハンジに聞いた。このプロポーズをリヴァイにやらせてやる為に、色々な根回しをしたのだろう。 
     そんな大人の事情をリヴァイは分かっているのだろうか。リバイ兵士長は言葉少なだったけど、少なくとも常識は知っていた。

    「蚊帳の外で……って言ってやっていいですか。いや、ストレートに「できない」の方がいいかな」
    「もちろん。君の意思は尊重されるべきだ。俺は二人に幸せになってもらいたいからね」
    「二人に? ……私も?」
    「ああ、君もだよ」

     海のような青い目がすうっと細まる。どうして自分はこの目を冷たく感じたのだろう。少なくとも、真夏の海水くらいは暖かそうだ。
     リヴァイとは種類の違うポーカーフェイスの男の口許には微笑が浮かんでいる。
     その笑みは嘘じゃない。どういう訳かハンジはそう確信した。
     しかし何故だろう。レーベルの社長であるエルヴィンと一般企業の社員であるハンジには、リヴァイ以外の接点はない。そんな男がどうしてハンジの幸せを願うのか。

    「さあ、ハンジ。兵士長がお待ちかねだ」
    「あ、……はい」

     立ち上がり、ステージを見下ろす。
     さっきと変わらず真摯な瞳でハンジを見上げるリヴァイの顔は、心做しか強ばっていた。
     十万人の前で歌う男が、ハンジの出す答えに怯えている。
     ああ、もう。もう。仕方がない人だな。
     ハンジはすうーっと息を吸い込んで。

    「相変わらず! 巨人とは片想いだね!」

     マイクを通していなくても、会場中に聞こえるほどの大きな声でリヴァイに応えた。やっぱり訳の分からない置いてけぼりの観客たち。
     ステージの真ん中で佇むリヴァイは「お前らありがとうな」ばりの笑顔を浮かべていた。
     そんなレアな表情を見せられたら、文句なんて言えそうもない。
     リバイ兵士長より、大分とぼけた人だけど。



    「これから一生、見ててあげるよ」
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    DONE無配として書きましたが、本とは全く関係のない話です。リヴァハンラップ楽しい。
    書いてる本人もちょっとよく分からない内容なので、読まれた方はもっと分からないと思います。
    リヴァハン幸せそうねと、ぼんやり思って貰えたら嬉しい。



    ※NO MUSIC LIFEの人間が書いているので、専門用語などあっているとは限りません。
    【ラッパーとして成功したリヴァイがマーレドームに中学からの幼馴染であるハンジさんを招待する話】





    「えっ、辞める? どうしてさ?!」
    「将来の事を考えて。ここら辺が潮時だ」
    「だ、だって! スカウトが来たって喜んでたじゃないか」
    「所詮弱小レーベルだ。それだけで食っていけるとは思えねえ。いつまでもラップなんてやってらんねえよ」
    「そんな……だって……」

     いつもは饒舌に回るハンジの口が、ハクハクと虚しい開閉を繰り返す。上手く言葉が出てこないのは、リヴァイの言う事もよく分かるからだ。
     大学四年ともなれば、周りは就職活動に勤しむ学生ばかり。やれ内定を貰っただの、これで何十社めの不採用だのと悲喜交々の会話が成される中で、リヴァイが将来を不安に思っても仕方がない。

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