現パロ:白い指輪あんなに長かった大型連休も最終日
(…そろそろ仕舞わないとだな。)
連休中殆どつけっぱなしにしていた指輪、外すのが惜しくなって左手の薬指に口づける。
指輪のケースを開いて、抜いた指輪を大事に定位置に戻す。指輪を固定するクッションが何度も出し入れをしているせいかへたれてしまい、緩くなっていた。
もう片側はまだ大丈夫そうだったのでそっちに仕舞うことにした。万が一、抜けて無くなってしまったら嫌だ。学校でアクセサリー類が禁止されているわけではないからつけて行ってもいいんだが、実習などではさすがにつけているわけにはいかず、頻繁に取り外して無くしてしまったら嫌なので週末だけつけている。大型連休ではほぼつけたままだったので何もないと不思議な感じがした。
ケースの蓋を閉じて寝室に戻るとコラさんが床に座り込んで翌日の準備をしていた。明日は泊まりの勤務だと言っていたっけ。着替えを鞄に入れる左手の薬指にはさっきまで自分がしていたものと同じデザインの指輪がキラリと輝いている。
なんとなくもの寂しい気持ちになって後ろから抱きつく。
「ん、どうした??」
手を止めたコラさんの首に腕を回したまま、左腕を指で辿って薬指の指輪を撫でる。
「そっか、明日から学校だもんなぁ。」
そう言いながらコラさんに腕をひかれ後ろから抱き抱えられる形になった。腰に回る腕に抱き寄せられて深く座りなおすともう片方の手の先が左手の薬指の付け根を擽っている。さっきまでそこにあった指輪はケースに戻してしまった。何もないそこが寂しい。引き寄せらた手からチュッと可愛らしい音が聞こえる。
「お?なんか指輪つけているみたいだな。」
言われた言葉にそこをみると指輪の付けていた場所にくっきりと白い跡が残っていた。コラさんも自分の指輪を少しずらして確認している。
「ゴールデンウィークは天気が良かったからなぁ、日に焼けっちまったな。」
「ほら、お揃いだ。」
ニカッと笑う顔に連休が終わるもの寂しさなんて吹っ飛ばされてしまった。後ろに体重をかけるとふわりと香る石鹸に混じったコラさんの匂いがする。同じ石鹸を使っているはずなのにこんなにも違う。
頭だけ後ろに振り向いて甘えるように首筋に顔を埋めるとコラさんの匂いがより強く感じられて安心する。
ぐりぐりと顔を押し付けると擽ってぇとコラさんが笑いだす。笑う度に震える喉、視界に入った上下する喉仏にがぶりと噛み付くとコラっと言葉だけでクスクス笑っている。唇に伝わる振動が楽しい。
明日の午前は座学。午後も実習は無い。
コラさんも泊まりの勤務だから出勤時間はいつもより遅い。
チラッと確認すれば荷物もあとは詰めるだけ。そんなもん起きてからおれがやれば問題ない。どうせいつも出る前に忘れ物がないか確認しているし。
「なぁ、コラさん。連休締めにイチャイチャしよう?」
まだまだ連休は終わらない