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    #ディルガイ
    luckae

    レドデイベ派生のらぶらぶえっちディルガイ 人は酒に酔った時、本性を現すもの。彼が酔っぱらった姿を君にも見せてあげたいわ。
     いつだったか、ロサリアと旅人はそんな話をした。
     その自分の言葉を、今この目の前の光景を目にした瞬間、ふと思い出したのだった。
    「なあ、ディルック」
     わずかにとろんとした声が、カウンターの向こうのオーナーを呼ぶ。ちらりとこちらを見やる赤髪の青年にロサリアは肩をすくめた。
     西風騎士団が誇る騎兵隊長さまの世間体を守るためにはいた仕方がない。
     素知らぬ顔で目を逸らし、酒を飲む。すまない、と声に出さずにつぶやかれた口もとを見て、コツコツと爪でジョッキを叩いた。口止め料だ。
     それにこくりとうなずいてから、オーナーはようやく目の前の客に顔を向けた。
    「お前、またひとりでアビス教団に突っ込んでっただろ」
     ふてくされたような声の奥に、不安と心配が見え隠れしている。誰がどう聞いたって本気で案じているのだと分かる声音。
     見るなと言われたら見るのが人のさが。旦那に気づかれないよう気をつけながら、ロサリアは視線を戻した。
     かつての義兄を見上げる瞳はわずかに潤んでいて、口はへの字を描いている。
     飄々として捉えどころのない騎兵隊長さまはどこへやら。そこにいるのは、完全に兄を慕ってやまない弟だ。
     こんなところ、あまり多くの人間に見られるわけにはいかない。酒場は隊長殿の重要な情報収集の場だし、彼の弱みを握りたい存在はモンドのみならず大勢いるから。
     それでも、時おり。こうして、完全に信頼のおける身内や常連客だけになったとき、ガイアは深く酩酊に身をあずけることがあった。
     正確に言うと、彼が深酔いすることをオーナーが許すのだ。
     ときには発散する場も必要だろうと。自分の酒を飲むタイミングをコントロールされていることを、彼自身は知らないようだけれど。
    「怪我をしたって聞いた」
    「こんなもの、かすり傷だよ」
     ゆるゆると伸ばされた指さきが、遠慮がちに腕に触れた。服の下に包帯でも巻いているのか、わずかにディルックが顔をしかめる。モンドでは珍しい、星を抱く薄い色素の瞳が揺れた。
    「なあ、もうひとりで戦うのはやめてくれよ」
     懇願する弟に、困ったように眉根が下げられる。
     もう幾度も繰り返された攻防。互いに譲れないものがあるからいつまで経っても平行線で、それでも言葉にして伝えられるだけでわずかなりとも気が楽になるのでしょう。
    「俺たちと手を」
    「悪いが、騎士団と協力はできない」
    「……だよな。知ってる」
     ハハ、と乾いた笑いをこぼしてガイアは首を振った。その自嘲めいた表情に、ふっとオーナーはため息をつく。
     ガイア・アルベリヒという男の本性は、どこまでも自罰的だ。自業自得だと、常におのれを責めている。その罪の意識をほぐすように、優しい声音でディルックは言葉をつむいだ。
    「だが、このあいだの件では旅人と共同戦線を張ったんだ。たまには人と戦うのも悪くはないな」
    「旅人と?」
    「ああ、そうだ」
    「ん、そっか。なら安心だな。お前の助手だ」
     先ほどまでの苦しげな顔と打って変わった、ふわりとした笑みを浮かべる。
     そんなガイアを前に今度くちびるを噛むのは、義兄のほうだった。
    「……君が、それで安心するのならば」
     何が過去にあったのか、それほど詳しくはロサリアも知らない。
     けれど、今でもディルックと騎士団とのあいだには、深い溝が横たわっているのは確かだ。だから、どうしても騎士団とは手を組めない。
     かといって「闇夜の英雄さま」のパートナーは誰でもいいわけじゃない。その折衷案としての旅人は、良い選択だろう。
     散々に単独行動はやめろと誰かさんが言い続けた甲斐はあったらしい。ふっとタバコの煙を吐いて、ロサリアは笑った。
     弟の願いをどうにか叶えてやろうとするお兄さまも、ひたすら兄を案じる弟も、なんとも健気な兄弟だこと。もっとも、英雄さまのほうには言いたいこともあるみたいだけれど。
     よかったと幾度もくり返すガイアに、ディルックは苦虫をかみつぶしたような顔をする。それから、思わずというようにポツリとつぶやいた。
    「君となら、僕は……いや」
     なんでもないと言葉を止めるさまに、ついお節介な心が覗く。ロサリアは禁を破って声をかけた。
    「言ってしまえばいいのに」
     騎士団とは嫌でも、君個人となら共に戦ってもいいのだと。そう言えばいい。
     夜を活動の場にするロサリアは知っている。闇夜の英雄には後始末をしてくれる存在がいることを。
     共に戦うことはせず、まだ残党がいれば狩りつくし、派手な戦闘の跡を整える、影のような存在が。そう、闇夜の英雄とガイア・アルベリヒは、一度も同じ場所に現れたことがない。
     ロサリアからの横やりに、ディルックはわずかに顔をしかめた。それからゆるく首を振る。
    「今は、彼のほうがだめだろう」
     視線を向けられているのに気がついて、ガイアがふわふわと首をかしげる。
    「自分ではいけないと思っているから、他人をあてがおうとするんだ」
     深くため息をついて、手を伸ばす。頭を撫でられて目を細めるさまは、まるで子猫だ。うにゃうにゃとよく喋るところもよく似ている。
    「僕の隣に立てる相手なんて、たった一人しかいないのにな」
     ふっと吐息まじりに零された声は、やわらかな温度をしていた。お互いに大切に思いながらも、今は手を取り合えない二人。それでも相手を思いやる心を隠すことはできないで。
    「……そろそろかな」
     うつらうつらとする騎兵隊長にディルックはつぶやく。緩慢な指さきが、眼帯のうえから目を掻いている。これもいつものことだった。
     アルコールと眠気による体温の上昇。それにともない現れる痒み。そこまで分かれば、眼帯の下に何があるのかもおのずと悟ることができる。
     生まれもってのものなのか、あるいは後からついたものなのかは知らないけれど、彼の右目にはおそらく傷がある。
     オーナーがこの場を打ちやめにするのは、いつも必ず彼が眼帯を触りはじめてだ。だから、きっとその傷にはディルックが関わっているのだろうと個人的には思っている。
    「ガイア」
     カウンターから出てきたディルックが、目を掻く指を取った。そのまま、脇に手を差し込んですっと抱き上げる。
     よく慣れた常連たちが通りやすいように椅子を引いて生まれた道を歩いて、オーナーは階段をのぼっていった。その後ろ姿を見送ってから、ぐいとジョッキの酒を飲み干す。
     そうして改めてまた思うのだ。人は酒に酔った時、本性を現すものだと。
     飄々とした、胡散臭い、腹にいちもつ抱えていそう、そんな言葉がお似合いな騎兵隊長はまやかしの姿。そのご立派な要塞の下には、健気でいじらしい弟の顔が巧妙に隠されている。
     アカツキワイナリーのオーナーと、西風騎士団の騎兵隊長は仲が悪いほうが都合がいい。そうすれば、互いに相手を貶めようとする話が入ってくるし、異なる筋からの情報も入手できるから。
     でも、たぶん。きっと。
     時々は見せびらかしたくなる日もあるんじゃないかしら、あのオーナー。
     閉店を迎えてから飲ませればいいものを、こうしてまだ客がいる時に深酔いさせるあたり、うっすらとそんな思惑が垣間見える。
     それに付き合ってあげているのだから、やっぱり口止め料は必要だ。さて、三階までのぼったオーナーは、いつ戻ってくるかしら。
     カウンターに並んだ酒瓶の栓を勝手に開けながら、ロサリアは気長に待つことにしたのだった。

    ***

    「ガイア」
     たどり着いた仮眠室のベッドに、義弟を座らせる。自然と見上げる姿勢になったガイアの目は、わずかに潤んで揺れていた。
    「ここはふたりきりだ」
     わずかに身をかがめ、耳もとで囁けばピクリと肩が跳ねる。やがてゆるりと体から力が抜けた。
    「……ディルック」
    「ああ」
    「ディルックだ」
     ぽてんと腹に顔をうずめられる。騎士の鎧を脱いだ、弟の顔。ぐりぐりと懐いてくるガイアの艶やかな孔雀青の髪に指を通しながら思い出すのは、彼に送られたいくつもの手紙たちだった。
     上辺だけの言葉でない、本心からの思いやりと気遣いが、どの手紙にも詰まっていた。そこに込められているのが真心だと、疑いようもないほど必死に、祈りのように綴られた言葉たち。
     遠回しに、直接的に、ガイアは必ず僕の身を案じていた。旅に出ているあいだの手紙には無事を祈る言葉が、帰ってきてからは単独行動をいさめる言葉が、必ず添えられて。
     なのに、こいつは、自分自身を大切にすることはいつまでたっても覚えようとしないから。
     大事にしてやりたいと思った。彼が守れない彼のことを、僕が守ってやりたいと思った。ガイアが僕に対してそう思っているように。
    「ガイア」
     肩をつかんで体を離す。むずがるような仕草をする弟の、片目を隠す眼帯に触れた。途端、ぴたりと動きが止まって静かになる。
    「閉店まであと数分。もう少しだけ寝ないで待てるか?」
     尋ねれば、こくりとうなずかれる。同時にキュッと服の裾をにぎられた。
    「待てるから、ちゃんと戻ってきてくれよ」
    「約束しよう」
     しゅるりと後頭部で結ばれた紐をとく。
     なめらかな褐色の肌についた、痛々しい傷跡。僕がつけ、僕だけに見ることを許された痕のうえに、そっとくちびるを寄せる。
     それだけで、これ以上ないというほど幸せそうに笑うこの弟を、愛おしいと思わないほうがやはり難しい話なのだった。


    ***

     約束どおりロサリアに酒を一杯おごり、他の客も帰して戸締まりをする。クローズドの札をかけ、鍵をしめ、喉を潤すためのミネラルウォーターを手にディルックは階段をのぼった。
     薄暗い踊り場に、鍵穴から漏れる光がうっすらとかげをつくる。ガイアはちゃんと起きていられているだろうか。ずいぶんと眠たそうだったから。
     もし、もう寝てしまっていたら、そのままにしておいてやろう。そう思いながらドアノブを回せば、待ち構えていたようにこちらへ走り寄る音がした。飼い主を迎える猫みたいだ。
    「ディルック!」
    「起きていたのか」
    「お前が待てって言ったんだろ」
     む、とくちびるを尖らせたガイアに思わず笑いがこぼれる。すまなかったと手を伸ばして撫でてやれば、またとろりと瞳が甘く色づいた。
     今ここにいるのは、重たい鎧を脱ぎ捨てた、僕だけに許されたガイアだ。ふたりきりになったときだけ、見せてもらえる素の表情。
     わざとらしく上げられた口角も、煽るように笑いを含んだ声もなく、ただ心地よさげに目を細め撫でられている、僕の弟。
     全身で好きなのだと伝えてくる、この愛おしい生きものをどうしようか。心を守る殻をまとうことばかり上手くなってしまった彼の、こんな姿を見られるのは自分だけなのだという優越がむくむくと込み上げてくる。
    「抱いてもいいか?」
     しばし指どおりのいい髪の感触を楽しんでから、ディルックは肩に手をかけて体を引き剥がした。静かに問えば、ガイアはこくりとうなずく。
    「ん、やる。あげる。俺にできることだったら、お前の望むもの、ぜんぶ」
    「その気持ちは嬉しいんだが」
     はあ、と少しばかり反応に困って息を吐く。
     彼の言葉は口先だけのものではない。思い込みでも驕りでもなく、本当にディルックがそう望んだら、ガイアはすべてを差し出してしまうだろう。その献身に、ずっと危うさを感じている。
    「まあ、今はいいか」
     言葉でいくら伝えても、きっと理解してはもらえないだろう。はなから、ガイアの大切なもののなかに彼自身は含まれてはいないのだから。
    「おいで」
     ベッドサイドに座って手を広げる。ほどなく近づいてきた体を再度ぎゅっと抱きしめて膝のうえに座らせる。期待にか、うっすらと汗ばみはじめているのが布地ごしでも分かった。
     今日はたくさんアルコールを飲むのを許してやったから、ただでさえ体は熱いのだろう。
     はふと息をこぼすガイアが、もどかしげに自ら服に手をかけるのを手伝ってやりながら、ディルックは思うのだ。
     今の彼が、自分を大切なものだと思えないのならば、それが理解できる日がくるまで、僕がこうしてガイアを大事にしてやればいいのだと。

    「、ん」
    「冷たかったか?」
     問いかけても返事はない。ただ朦朧とした瞳が、縋るようにこちらを見つめた。
     色素の薄い瞳からこぼれる涙は透明で、溶けてゆく氷を思わせる。それと同時に。
     ふと思い立って、ディルックは後ろをほぐしていた指をゆっくりと引き抜いた。
    「う、っあ」
     それだけでイキそうになったのか、呻きと共にびくりと体が跳ねる。うう、とむずがるのをキスでなだめて、ガイアが落ち着くのを待った。
    「つづき、しないのか?」
    「もちろんするが、その前に」
     濡れそぼった指さきで、右目にかかる髪を掻き上げる。覆うものがなくなった素肌のうえに我が物顔で印を残す赤い傷痕。体が火照っているから余計に、その赤は鮮明だ。
     じっと見つめれば耐え難いように目を伏せる。そうすると余計に傷がよく見えると、気づいてはいないのだろう。
     瞼から涙袋のあたりにかけてついた傷は、見る人間が見れば剣が切り裂いたものだと分かる。咄嗟に目をつむったからこそ、失明には至らなかったのだろうと。
     それほど深くついた傷ではない。すぐに消毒して薬を塗布すれば、ここまでくっきりと残ることはなかったろうに。
    「痛むか?」
    「……知ってるくせに…ぃ、っく」
     ゆるゆると指でさするたびに身を震わせるのが可愛い。くつくつとディルックは笑いを噛み殺した。ただでさえ皮膚の薄い部分だ。
     傷がついたことで余計に敏感になっているのか、ガイアはここを触られるのに弱い。
    「僕がつけた傷なんだ。可愛がる権利はあるだろう」
     獣が怪我を癒やすように舌を這わす。
     いくら舐めたところで、もう血の味はしない。ほんの少し塩っぽくて、ほのかに温もっている肌。他との差異は、わずかに引き攣れる感触だけ。それがさみしいような気もして。
     あの日、薬を塗ることさえ自分に許せなかったガイアの代わりに、慰撫するようにディルックは傷に口づけた。
     そうしながら、自由になった手を気づかれないようそっと下ろしてゆく。先ほどまでほぐしていた窄まりはまだ柔らかい。
    「あっ、うあ」
     つぷりと爪先をうずめれば、きつく締めつけられる。早く、早くと急かすように指を飲みこんでいく体は明らかに僕とするセックスに慣れているのに。心のほうは未だに追いついていないのが、本当に、かわいい。
     幾たび情を交わしあっても、はじめて抱かれるみたいに驚いて、怖気づいて、逃げを打とうとして。腰を引こうとしたガイアをベッドに押さえつける。
     そんなふうに一挙一動に過敏に反応するから、余計にいじめられることになるのだ。
    「全部くれるんだろ?」
    「ひ、ぃ、っあ」
     ぐいと抉るように指を曲げる。甲高い悲鳴と共に息を飲んだ義弟は、それでも自分の言葉を思い出したらしい。今にも閉じそうになっていた膝をゆっくりと左右にひらいた。
    「いい子だ」
    「な、でぃるっく。もっ、いいから」
     強請るような甘い声に自然と目が細まる。それでも言うことを聞かず、ディルックはまたバラバラと中で指を動かした。
     くっ、と耐えるような吐息をこぼしたあと、しなやかな褐色の指さきが下肢へと伸ばされる。すっかり勃ちあがって先走りのやまない性器。
     まだ気をやりたくないとばかりにガイアはその先端にきゅっと指を絡め、もう片方でディルックの手が埋まる入り口に触れた。
    「っ、…にいさんので、イかしてくれよ、っア、あっ♡」
     ぐずぐずに蕩けた隘路から指を抜き、ひと息に性器を挿入する。奥を打ちつけられた義弟の目が、一瞬輪郭をなくす。意識が飛びかけたのだろう。それでもペニスを握る手は決して離さないあたり、本当に健気だ。
    「ふ、っそんっなに、僕とが…いいのか」
    「ん、あ♡いい、うん、っあ♡あ♡でぃるっくとがいい」
     最奥を突いたら、そのまま入り口まで性器を抜く。きゅうきゅうと僕を咥えこんだガイアの中が、ピストンのたびにずるずると動くのが気持ちいい。はっ、はっと荒くなる息を吐きながらディルックは口角を上げた。
    「ならもう少し、ガマンするんだよ」
     強く打ちつけて、先端でしこりを捏ねて、擦って、もうこいつが何も考えられなくなるくらいに。ぎゅっとシーツにすがる手を上から握ってやりながら、ディルックはぴんと勃った乳首にカリと歯を立てた。
    「ひぇ、あ、ぅあ♡」
    「痛いくらいにすると、君はいつもよろこぶ」
    「っ、あ…あ、そこ、だめ…っだ」
     ふるふると首を左右に振り、言葉では否定しても手で制止することはない。律儀でかわいい、僕の弟。胸を弄るたびに強くなる締めつけにもっていかれぬよう気をつけながら、耳もとで囁く。
    「舌、出して。ガイア」
    「ぅ、っあ♡」
     赤い舌が差し出される。嚙みつくようにキスをしながら、ディルックはひときわ強く胎を抉った。
    「っ、あ♡ぁ、あああ――っっ」
    「いいよ。そのまま、イってごらん」
     唾液があふれるのも構わずに舌を絡め合う。ぐちゅぐちゅとなる水音が、もうどこから立っているのか自分でも分からなかった。
    「っく、ふ」
    「――っ、ぅ、は、あ♡すき、すき♡でぃう、」
    「知っている」
     中に出した精液を塗りこめるように性器を擦りつけるディルックに、ガイアが手を伸ばす。
     先走りに濡れた指さきが、わずかにふやけているのがえっちだ。その手をとって、ぎゅっと抱き起してやる。
    「あ♡」
    「君はこんな時でもなきゃ礼を受け取ってくれないから」
     入ったままの性器が良いところに当たったのか、ガイアがひっと声を漏らした。
     でも、今日はもうこれ以上はやるつもりはない。弟のしとった髪をなでつけてから、背に手を回しトントンと軽く叩いてやる。
    「ありがとう、ガイア。ちゃんと知っている。ちゃんと分かっている。君の献身も、僕への真心も、隠していることも」
     次第にくったりと力の抜けはじめた体が、やがて静かな寝息を立てはじめるまで。ディルックはいつまでも抱きしめた。
     この言葉を、きっと明日にはガイアは忘れているだろう。いつも気をやって朦朧としているときに声をかけているから。
     今はそれでいい、今は、まだ。直接言えば、逆にこいつを追い詰めかねないから。
     それでも。隠しごとがあることに、真実を告げられないことに、ひどく苦しみ悩んでは罰を求めたがるこの弟の無意識に。自分のこの言葉が、肯定が、少しでも届いて積もっていけばいいと、ディルックは願っているのだった。


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