現パロ月鯉まだ付き合ってない月鯉
(あらすじ:どっちも社会人別会社、偶然飲み友達として仲良くなって両片思い2年ぐらい。🌙行きつけの小料理屋で2人とも飲み過ぎて🌙の家にて一線を越えてしまった)
「なかったことにしてください」
と、しこたま酔った勢いで🌙の家のベッドにもつれ込んだ朝チュンで🌙が土下座しながら言う。
「…わかった」
🎏ちゃんの声が聞こえたものの、まだ頭を上げられない🌙。
「昨夜は酔った勢いでこんなことになってしまって…でも…
…あれ?コイトサン??」
顔をあげたら🎏ちゃんはいなかった。慌てて寝室を出たら玄関扉が閉まる音。素っ裸の🌙は慌てて服を引っ掛けてスマホ引っ掴んで外に飛び出すも、🎏ちゃんは見つからず。スマホで連絡しようとしたら、着信拒否。SNSメールブロック。仕事が早すぎる🎏ちゃん。
え!?なんでだ?なんでなんで!?パニックになりつつ頭を整理してみると…言葉足らずだったことに気がつく🌙。坊主頭を抱えてうずくまる。
『まだ遅くない!』
軍服姿の🎏ちゃんが脳内で叫んで気がした🌙は、スクッと立ち上がって走り出す。(神からの啓示)
コミュニケーションは過不足ありありのあり🌙だけど、「やらねばならないタスク」という処理の仕方だと尋常じゃないチカラが出るタイプ。
なんとしてでも🎏ちゃんに会わないと!
🎏ちゃんの名刺があったのでアポを取ったものの、門前払い。
🎏ちゃんとの会話を思い出して、社内でかわいいグッズ友の杉元っていうのがいたなと思い出す(不本意)。ちなみに🌙はスーツ着てるけど、お仕事は有休とりました。
とりあえず杉元にアポを取ってみるとアッサリと会えた。杉元は不機嫌そうにしてる。🌙だって不機嫌になりたいが、この際使えるものはなんでも使わないと。
「鯉登、アンタに会ったら思いっきり殴ってしまいそうって言ってた。俺も今殴りたい気分なんだけど、わざわざ俺に会いに来るってことは、何かあるんだろ。」
やっぱりコイトさん怒ってたー!!怒ってるだけなのか…?コレ大丈夫なのか…?
と不安に駆られる🌙だけども、言葉足らずだった事とこれからの事を杉元に話す。
顰めてた顔がだんだん、瞳を潤ませて紅潮してきた杉元。素直。
「いいじゃん✨そのシチュは鯉登が好むかどうかは知らんけど、絶対それは言った方がいいよ!俺、手伝う!」
杉元にビルの警備室?に連れてかれる🌙。坊主アタマの警備員と何かしら軽快に話してる杉元。社内に入れる算段でもしてくれているのだろうかと思いきや…。
杉元が嬉しそうに、ふりむく。
「オッケーだって!じゃあ俺はしっかり聞けるように鯉登を留めておくから、合図したら言ってくれよな!!白石、後よろしく!!」とサムズアップして走って行ってしまった。
人懐っこい笑みを浮かべた警備員が、手招きしてる。
「アンタ熱烈だねー!面白いから乗っちゃったよ。さ、このマイク🎙️の前で話して!」白石と呼ばれた警備員にコードに繋がったマイクを渡される。
「えーと、27階の西側だったよな」
は?言う?今??は?
マイクを持ったままちょっと頭が白くなる🌙。
そしてスマホに杉元から連絡がはいる。
[今!!]
もうこの機会を逃したらコイトさんに会えないかもしれないと思えば!!むんっ!!
ピンポンパンポーン
【個人連絡をお知らせいたします。どうぞ(白石)。
コイトさん!月島です。先日は言葉足らずで大変失礼いたしました。あの場末の店ではなく…いや米と酒は結構美味いんですが、いやそうじゃなくて!!本当はもっとちゃんとしたレストランを予約して、まずお付き合いの申込をさせていただきたい思っております。大変恐縮ですが、つきましてはもしお時間がよろしいようでしたら、今週末日曜の💎ホテルの○○レストランに13時でお待ちしております。《この日に事前に会う約束してた》では、お忙しい中お時間ありがとうございました。ご検討のほど、よろしくお願いいたします。】
汗ダラダラの🌙。マイクを白石に返すと苦笑される。「月島さん面白い!上手くいくといいね!とりあえず、誰かに捕まるまえに逃げた方がいいんじゃ無いかな。俺も逃げるよー」
と気がつくともう居ない白石。警備員が居ないんだから、とっとと🌙もその場を後にしました。
≪お察しの通り、🎏ちゃんは、自分が男性であること。🌙に昔幼馴染の好きな子が居たこと。があって、私では🌙のパートナーは難しいかもしれない…が、私が🌙が好きなのは変わらないからまぁ良い!!というスタンスでいたけれど、初夜を迎えて「無かった事にしてくれ」って言われて虚無と絶望が一気に来て、メンタルが一時期ぶっ壊れたんです。(それはそう)そんな絶望顔の🎏ちゃんを見て杉元がお話を聞いてくれたので、持ち前の回復力の強さを発揮して怒りに変換してぶっ殺したいに変わるほど治ったけど、本当は🌙に愛されたかったとも思ってお家ではちょっと泣いてたりしてました。≫
そして日曜日。花束を用意して来たものの予約時間より1時間も早く着いてしまった🌙。 居ても立っても居られなかったのです。予約したレストランは、そんな混むようなお店では無いのに入口付近に人混みが。そしてなぜか視線を感じるような…
『花束持ってるよ…アレじゃない?✨』
『アレかな?すごいゴツい!!』
なんと🎏ちゃんの職場の皆さんが野次馬でたくさんいらっしゃってました!!
その可能性は全く考慮してなかった🌙。まだ🎏ちゃんに会ってないのに冷や汗ダラダラ。受付で名前をつげて店内に入るも、右手と右足が同時に出る勢い。お花は預けました。
(こっ公開処刑だ…これはコイトさん来てくれるだろうか…)
もはや、不安がピークすぎてもう何も考えられず真っ白になりつつある🌙。
でもこれだけ人が集まっていると言うことは、🎏ちゃんが場所がわからないと言う事もないだろう。杉元の情報では放送は🎏ちゃんもちゃんと聴いていたそうだ。祈るように手を組み、額に押し付けつづける。どうか来てくれ…
「待たせたな」
約束の時間より20分早く🎏ちゃんも到着。それだけで舞い上がりそうな🌙だったが、ニコリともしない🎏ちゃんの顰め面に身を引き締める。
「…いえ、本当に来てくれるとは…ありがとうございます」
先程はあれほど気になった周りだったが、緊張のあまりもう🎏ちゃんしか見えない🌙。
「…なぜこの店なんだ…」
席に着いた🎏ちゃんが尋ねる。
「…以前アナタが言っていたでしょう。ご両親が此処でプロポーズされて、小さい頃から憧れの場所だったと…」
🎏ちゃんがびっくりする。
いつ何処で話したかも覚えていないが、確かに話した記憶はある。あくまでも何気ない幼い
頃の昔話の一つとしてで、🌙も「そうですか」と軽く応じ、そのまま飲みの席でスッと流れてった話だっただけだ。
「あんな…他愛のない話を、オマエ覚えて…」
「……居酒屋ぐらいしかオレはわからないので、アナタが行きたいところは、好きな人の行きたいところは、何処へだって連れて行きたかったんです。」
さりげなくしっかり告白した🌙。
🎏ちゃんの顔が歪み泣き出しそうな顔になった。
「…何処だってツキシマと行ったら楽しいに決まってる。…最後まで話を聞かず浅慮で申し訳なかった。でも…」
少し瞳を潤ませながら、キッと🌙を睨みつけた。
「オイは…ツキシマと一緒にしたことは、なんでん嬉しかで…絶対に無かった事になんてしとうなかった…今でん無かった事にしよごたなか!」
🎏ちゃんに潤んだ瞳で上目遣いで睨みつけられて🌙が思った事といえば。
コイトさん最高にかわいいいいい!!!
「アンタ…綺麗好きだから、オレなんかの部屋が初めてなのは嫌がるかと…」
かわいいで頭がいっぱいの🌙は敬語が取れちゃう。
「なんかなんてゆな!!嫌がっわけが無かじゃろ。好っなしん家じゃって。そいにアンティークなだけで綺麗やったぞ。」
すっかりお国言葉になり、少し頬を染めて困り眉になった🎏ちゃん。
もう耐えられなくなった🌙は、おもむろに立ち上がり、🎏ちゃんの側に跪く。
そして🎏ちゃんの手を取ると。
「コイトさん、順番がおかしくなって本当に申し訳ないです。何より大事な事を言うべきでした。どうかオレと付き合ってください。」
🎏ちゃんは🌙に取られた手を重ねて。
「私も言うべきだった。私達はもっと大事な話をたくさんしなくてはならないな。こちらこそ、末永くよろしく頼む」
その瞬間、わぁっっっと拍手と歓声が起こる。すっかり忘れていたが、2人の席の周りは全部🎏ちゃんの職場の皆様でした。ちょっと離れたところにボロッボロに泣きながらハンカチとスマホを握りしめてる杉元の姿も。動画を撮っていたようです。
🌙が我にかえり、真っ赤に。
滅多に見ない🌙の茹で蛸のような姿に🎏ちゃんは大笑い。
その後ゆっくりお食事をしたのち、同僚の皆さんに見送られ。
ちょっと飲み直すかと、あの思い出の小料理屋に行き🌙の家に向かったとかなんとか。
おしまい。