2022 大寿誕 (たいみつ)二〇〇六年六月一二日、月曜日。
三ツ谷隆の誕生日の朝に、柴大寿は唐突に三ツ谷の家を訪れた。
その日は二人が付き合い始めて最初の『特別な日』ではあったが、どちらも事前に連絡はしておらず、三ツ谷に至っては朝起きて母親に「おめでとう」と言われるまで、自分の誕生日であることを忘れていたくらいだった。
ビーっと玄関チャイムが鳴らされて出てみれば、三ツ谷家のドアとサイズが変わらないような大寿が立っていて、三ツ谷はドアを開けたのに明るくならなかった事に一瞬困惑し、それから見上げた先の大寿の顔を見て固まった。
「……こんな早くに、どーしたの?」
そう問えば、大寿は抱えていたラッピングされた箱を三ツ谷に差し出した。
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