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    1230_2013

    @1230_2013

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    1230_2013

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    ヤングガンズで、🐔おすすめのラーメン屋さんに行って食ってるだけの話。
    ほぼ会話文

    #TGM

    ラーメン食いたい「ラーメン食いたい」
     ルースターの一言に、勤務を終えた皆が振り返る。
    「いいわね! ラーメン食べに行きましょ!!」

     ということでやってきた。
     何時ものメンバーでぞろぞろと店へと雪崩込み、テーブル席を二つくっつけて皆で囲うように椅子を引く。ルースターとフェニックスとハングマン、そしてコヨーテとボブとファンボーイとペイバック。七人で囲むテーブルはギチギチで狭いが、それでも軍の食堂よりは広いだろう席へルースターが壁側に立てかけてあるメニューを広げて置いた。
    「なに食う?」
    「何がおすすめ?」
    「味玉乗ってるヤツ」
    「それオプションじゃん。味だよ味」
    「とんこつラーメンの店なんだから、とんこつに決まってるだろう」
    「なら私は全部盛りの半チャーハンセット」
    「……お前食えるか? 多いだろ?」
    「余ったらルースターにあげるからいいの」
    「おまぇなぁ…。俺ねぎ盛りのチャーハンセット味玉あり」
    「僕は味噌のコーンまみれ」
    「みんなOK?」
    「「「オーケイ」」」
    「注文良いです?」
    「はーい。お伺いしま〜す」
     ルースターが手を上げて呼べば、店員が銀盆に水の入ったグラスを並べてやってくる。銀盆からテーブルへと置かれるお冷を、端に座るファンボーイとボブがテーブルへと回し、伝票を掴んだ店員を確認してルースターがメニューを指す。
    「とんこつラーメンの全部盛り半チャーセットと、とんこつラーメンのねぎ盛りチャーハンセット、味噌ラーメンのコーンまみれ。コヨーテは?」
    「とんこつラーメンの大盛りとからあげセット」
    「ファンボーイとペイバックは?」
    「ペイバックと僕これ!味玉も!」
    「味玉醤油とんこつラーメンの半チャーセット二つ。んで、味玉とんこつラーメン大盛りチャーハンセット。以上で」
    「はい、了解しました!」
     去っていく店員の女の子の声が厨房へと叫び、それを聞きつつフェニックスが「あ!」と叫ぶ。
    「餃子頼んでない!」
    「え、フェニックス食えるか?」
    「お前全部盛り半チャー頼んてんだぞ?」
    「けどアンタ達食べるでしょ?」
    「まぁ、食うか」
    「すんませーん! 追加で餃子も三皿お願いします!」
    「は〜い!」
     振り返り叫ぶ声にルースターに店員が返事をし、フェニックスが「おし、たくさん食べる!」とくくる髪を結い直す。どうやら彼女は本気で食べるらしい。
    「けどこれ食べたら、明日からワークアウト頑張らなくちゃなぁ」
    「まぁ、偶にはいいだろう。てか、教官誘わなくてよかったのか。ルースター?」
    「マーヴは糖質と脂質めっちゃ制限かけてるから、ラーメンは絶対食べない。この前悪戯で口の中にドーナツ押し込んだら泣いた」
    「泣かすなよ!?」
    「お前鬼だろう…」
    「いや、あの人甘いの大好物だし、ここ数年制限かけてたとか知らないし。ただ、脂質と糖質食べてキモチイイって泣き出すからビビった」
    「……どんだけ普段ストイックな生活してんだよ」
    「マーヴ、家でもレーションと蒸した鳥ムネ肉食ってた」
    「おう…」
     それは流石に、怖い。
     口を揃えて呟かれた台詞に、ルースターは「だよなぁ」と呟き、テーブルの端へと置かれた小皿を横へ流す。後ろから店員が銀盆に皿を寄せてやってきたからだ。
    「は〜い。取り敢えず、餃子三皿とセットのチャーハンと半チャーハンとからあげです。この後ラーメンすぐ運んできますね!」
     皿を回し、ルースターとハングマンの前にチャーハンを置き、コヨーテへからあげ、ボブ以外の残りのメンバーへとハーフチャーハンを回したところで、次々とラーメンが運ばれてくる。熱いそれをファンボーイとボブが席へと回し、皆が行き渡ったところで割り箸を掴んだ。
     とんこつの少し白く濁った、トロミのあるスープに浮かぶ味玉とネギにチャーシューが二枚目。そこへ辛子高菜をトングで好きにかけてラーメンを啜っていくルースターに、フェニックスはテーブルへと置かれた高菜の瓶を覗き込む。
    「なにこれ?」
    「辛子高菜。ラーメンに合う…ピクルス的な葉物?」
    「へ〜」
    「ねぇ、餃子のタレ頂戴」
    「はいタレ」
    「てか、フェニックスは食えるか? 結構山盛りだぞ」
    「なんのためにルースターの隣に座ってると思ってんのよ」
    「お前な…」
     パチッと割り箸を縦に割り、「割り箸は横に持って割るんだよ」と横でフェニックスの腕を避けながら言うルースターを無視して彼女はレンゲを掴み、箸を独特な握り方で掴んで麺を持ち上げる。湯気の立つ麺へ息を吹きかけ、とんこつ独特な香りを吸い込み細麺のそれを口の中へと押し込めば、彼女はレンゲを置いて親指を立てるから美味いのだろう。
     それなら良かった。自分の箸を掴んでルースターは一息吐き、慣れた手付きで箸を掴んで麺を啜れば、何故か隣からフェニックスに二の腕を揺すられ横を向いた。
    「ん、なに?」
     口の中の麺を飲み込み、あまり置いておくと麺が伸びるのだがと言えば、何故か彼女は先程の姿からあまり動いていない。いや、どちらかと言えば、モグモグと口は動いているのに麺が全く動いていない。
    「…啜り方分からない?」
    「わはらん」
    「スッて息吸うみたいに。あ、でも肺までは吸わずに口の中だけで吸うの」
    「…ズ、ズリュュッ…ん、これ…ほっぺ筋肉痛になる」
    「いや、頬は使わないんだけど…。はい、フォークあげる」
    「うん、ありがと」
    「…お前、吸えないなら箸使うなよ」
    「うっさいわねぇ〜…って、アンタもフォークじゃないのよ」
    「伸びないうちに食える方がいいんだよ」
    「コイツ半分イタリアだから啜るのは許せないんだと」
    「味玉美味しい!ルースターのオススメってはずれないね」
    「ならよかった」
    「ボブ、一口ちょうだい」
    「ん、勝手にとって良いよ」
     ワチャワチャ喋り食べるラーメンは、どうやら皆に好評で何よりだ。麺すすり味玉を齧り、追加の高菜を増やしながら偶にチャーハンをかき込めば隣から半チャーハンの三分の二程が回ってくる。
    「……これなら俺のを一口取る方が正解だったんじゃないか?」
    「そうとも言うけど、気分的には食べれるくらいにお腹すいてたのよ」
    「まぁ、そんなことになるよね。フェニックス、僕が貰うよ。そう思ってセットにしなかったんだ」
    「流石私のボブ」
     ルースターに渡される皿が反対側のボブの方へと動き、テーブルの上は賑やかだ。三皿頼んだ餃子はどうやら足りないらしく、ペイバックが食べようとした分をファンボーイが横から口を開いて奪っていくからハングマンの隣で小競り合いが起きている。
    「……餃子まだ食べる人?」
    「「「はい!!」」」
    「すんません、餃子追加で二皿。あと替え玉バリカタで」
    「は〜い」
     そろそろ空になるラーメンの器を眺め、餃子のついでに替え玉を頼めば、細麺のそれはすぐやってくるから優秀だ。キクラゲや胡麻をまとって持ち上がる細麺を大きな口で齧り付き啜り、熱々の茹で立て麺を皿で受け取りスープの中へと投入する。替え玉をすると少しスープが薄まるので、テーブルに置かれたラーメンのタレを少し足し、再度辛子高菜を投入してルースターは麺を啜った。アメリカにいながら、基地にいながら日本のラーメンが食べれるのだから、この店優秀だ。強いていうなら、もう少しドロッとしたスープの方が好みだが、それは高望みすぎる。あの油とコラーゲン溢れるスープは、いくらその後のワークアウトがしんどくなろうと飲み干してしまうから身体に良くない。
     やってくる餃子へとファンボーイとペイバックが箸を伸ばし、ついでにそれをルースターも一つ口に含み最後の替玉麺を啜れば、隣で「ギブ」とフェニックスが声を上げるから自分の器を横にずらして、彼女の器を引き受ける。全部盛りを頼んだラーメンは、ネギと味玉とチャーシューとコーン、そしてモヤシが乗っていてボリュームがある。まぁそれでも、渡された器の中身は俺からしたらあと二口程しかなく、フェニックスも大健闘したのだろう。これにチャーハンと餃子も突いていたから
    、量的には結構食べている。
    「よく食べたなぁ」
    「…めっちゃ苦しい。明日から全員叩き起こして走るから」
    「うん、多分みんなそのつもりだから」
    「てか、ルースターってめっちゃ上手に箸持つよね。日本の基地にでもいたの?」
     持ち直す箸で麺を掴み、口へ押し込もうとした瞬間言われたファンボーイの台詞にルースターは頭を上げて箸を止めた。
    「ん、いたよ。と言っても、常駐勤務じゃなくて一時的なやつ。まぁ、アンクルアイスに速攻帰らされたけど」
    「何したら大将に帰されんだよ雄鶏?」
    「あんまりに外の飯が美味くてさ。基地抜け出しては飯屋回ってたら、血液検査やばい数値叩き出して次の月に『早く帰ってこい』って帰らされた。まさか健康診断の数値までアンクルに見られてるとは思わなかった…」
    「……大将、意外と過保護だな」
    「けど、ファンボーイも行ったことあったよな?」
    「行ったよ! アニメとゲームの聖地だからね!! ただ、軍とは言え関税が厳しくて薄い本が没収されて……」
    「お前、任務で行ったんじゃなかったか?」
    「え? あ〜仕事はめっちゃしてたけど、遊ぶのに忙しかったから思い出がアキバで終わってる」
    「君も君だね…」
     スープを飲み干し、レンゲを置きつつ呟くボブのセリフに彼は笑い、最後の餃子を口へと押し込む。
    「食ったぁ。コヨーテ、爪楊枝取ってくれ」
    「はいよ」
    「おしゃぶりね」
    「落ち着くんだよ。んで、雄鶏は食えたか?」
    「ン、…ゴクンッ。食ったよ。ごちそーさん。帰る?」
    「帰ろうぜ。てか早く帰らねえと、寮の門限一時間切った」
    「ヤバ!」
    「ここから基地って一時間かからなかった?」
    「ラッシュタイム過ぎたから飛ばせば間に合う」
    「ハンヴィーで捕まるのはゴメンだぞ」
    「しかも基地からパクってきたハンヴィー」
     時計を眺め、打ち出される時刻に慌てて立ち上がり席を戻すと、伝票を掴んで立ち上がるルースターに皆が付いていく。
    「まとめて払うから、俺のスマホに金額ペイしといて」
    「オーケイ」
    「餃子は?」
    「じゃんけんで負けたやつが一皿ずつ負担」
    「じゃあ帰りの車でじゃんけんね」
     チリンと鳴る電子決済の音共にレシートを受け取り、それを確認したら皆で「美味しかったよ!」と叫んで店を出る。空調のしっかり効いた部屋の中で啜る熱いラーメンは美味かったが、一度外へ出れば夜だというのに暑さでドッと汗が吹き出すから困る。
    「おし、早く帰ろ」
    「私が運転するわよ」
    「却下。流石にラーメン後にフェニックスの運転に揺すられるのはリバーする。コヨーテ」
    「任せろ」
    「失礼ね!ちゃんと門限までに帰れるのに」
    「まずフェニックスは運転中口悪いよね」
    「ほら、乗った乗った」
     パンパンと、まるで犬に言い聞かすように手を叩くルースターの合図に、皆は助手席と荷台へと乗り込みドアを閉める。勿論、荷台組はフォロを下ろして少し隠れる。いくらサービスカーキを着たネイビーの姿とはいえ、流石に任務でもなくハンヴィーの荷台へと乗り込み走るのはタブーだ。
     まぁ、機密任務とすれば良いだけだがバレたら面倒くさい。
     最後の確認をし、ルースターがフォロの中へと潜り込むと共に走り出すハンヴィーは、そのままトップガンへ急ぎ帰っていく。

    「誤魔化してやるから、せめて一言言っといてくれ」
     そう言いながら、呆れた顔で一台紛失したハンヴィーをかばってくれていたホンドーに彼らが軽く怒られるのは、今から五十分後の未来である。そして翌朝、一人仲間外れにされて拗ねたマーヴェリックに、今度はサラダもある店を探そうと思うヤングガンズであった。
    「だってミッチェル大佐、ラーメン食えないでしょ」
    「っ…でも行きたかったし、ラーメン啜ってるブラ…ルースターの写真欲しい!!」
    「サラダのあるラーメン屋ってあるの?」
    「…聞いたことないないけど探すか」

    おわり
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