いつか王子様が ベンジーの母親はどこか浮世離れした人だった。深窓の令嬢、というほどでもないがだいぶ裕福な家庭で育ったお嬢様で天然。祖父母も過保護だったらしく、世間のこともよくわからないまま悪い男に引っかかって結婚してベンジーを産んだ。
けれど切り替えも早かった母親は全く働かない父親をさっさと捨てて実家に戻った。祖父母は大喜びしたそうだし、ベンジー自身かなり可愛がってもらった記憶があるので選択としては大正解だったのだろう。
裕福な実家のおかげで何不自由なく暮らし、祖父母が亡くなった後も遺産のおかげで生活には苦労しなかった。そのせいか歳を重ねても純真無垢なままだった母親の口癖は「いつか王子様が来てくれる」だった。
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