負けと告白 最近のフィガロと晶の関係を形容するならば「ちょっといい感じ」と言えると思う。そんな感じの人に休日出かけようと誘われたなら、それはデートと呼んで差し支えはないはずだ。オシャレしたくて髪をいじったり、いつもより念入りに歯磨きしたりしてもおかしなことはない。「ねえ、告白されちゃったらどうする?」服の相談をしにいったとき、西の魔法使いに言われたことを思い出してにやけたり我に返ったりと忙しない。浮かれている自覚はあるけれど、抑えようとする理性は働かない。賢者と賢者の魔法使いだって、たまには色恋に呆けたっていいじゃないか。
待ち合わせの10分前に到着すればフィガロはすでにそこにいて、彼もいつもよりオシャレしてくれていて特別にかっこいい。晶の頑張った部分に気がついて「素敵だね」と褒めてくれるのはもはや見事としか言いようがない。晶はテンプレ通りに照れて喜んでしまう。経験差を感じないでもないが、それすら悪い気はしないのだ。しどろもどろになりながら「今日のフィガロも素敵です」と伝えた。
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