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    辻紫しの

    辻紫(つじむら)

    司類/ミコジョン(0909)/dndzほか

    検索避けしたいジャンルの文とか、えちちなのとか、供養したいやつ投げるつもり。

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    辻紫しの

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    添練

    悪夢を見る☁️の話。
    ある方への捧げものでした。

    ※普段別cp推しが書いてるため諸々エアプ(カドスト、区ノベ未履修)
    ※上記の理由により諸々捏造、多大な自己解釈を含みます
    ※解釈が甘い
    ※以上のことを許せる方(読了後の苦情等は対応致しかねます)

    慢心創痍(添練)__瓜二つの顔が、仲睦まじく話している。

    「キバ、…じゃなかった、ええと……!」
    「キバ、でいいよ。……レンの呼びたい呼び方なら、何でも。」
    「…!き、キバ…!!!」

    心底嬉しそうに話す、見知った知らない顔と、酷く優しい顔で相手を見る、知らない見知った顔。

    ……こう見ると、仕事中の練牙さんが、如何にコイツを意識してたのかが分かった。

    「……練牙さ〜ん」
    「…!て、添…!!」

    オレがへら、と笑って手を降れば、練牙さんは犬のようにこちらに駆け寄る。
    ……あーやっぱ、誰にでも尻尾振るんだ。

    オレはく、と練牙さんの肩を寄せる。オレの手を振り払わず、練牙さんは何にも理解してなさそうな顔でこちらを見た。…逆光になって、アイツの顔はよく見えない。

    ……得体の知れないヤツはやっぱ警戒しとかないと。…ほら、オレたちの大事なリーダーなんだし?

    オレは貼り付けたような笑みを浮かべ、この眩しい太陽に声をかける。

    ……誰にでも尻尾振る犬だ、あんなにオレに心酔してるなら、一声かけたらこっち向くでしょ。

    「…練牙さん、何処に油売ってたんですか。ほら、早く帰りましょ__」
    「て、……添!今までありがとう!!……『練牙』とも、友だちになってくれよ!」
    「………は?」

    する、と練牙さんの体温が離れていく。練牙さんは誰にも見せたことないような、…それこそ太陽みたいな笑顔を浮かべ、日向に走っていく。オレには酷く眩しくて、顔を顰めた。

    __光の向こう、瓜二つの顔が仲睦まじく話している。

    光に目が眩む視界の隙間、瓜二つのひとつが、こちらを見て微笑む。

    __その笑顔は酷く、オレの薄ら笑いと似ていた。

    真っ白になる思考の中、呪うように呟く。アイツと同じ、薄ら笑いを浮かべて。

    「……あぁ、何だ。あんたもオレと同じじゃん。」

    __と言って、オレは現実に引き戻された。
    オレ、夢見悪くないはずなんだけど?……なんて、誰に言ってんだか。


    ***


    ……うわ、最悪。

    今日何度目かも分からない単語を心の中で呟き、薄暗い洗面台に視線を向ける。

    映った鏡には、目の下に濃い隈を作った、青白い顔の男がいた。

    元々、オレは隈をよく作っていた。
    …というのも〝仕事〟中はどうしても真夜中の移動も増えるし、寝酒でだらだら飲んでる時もあるし、…とにかく、オレには夜の方が動きやすい。

    隈があると心配されて鬱陶しいこともあるが、〝不眠症なんだ〟とか言えば簡単に女を引っ掛けられたし、オレも都合よく使っていた。

    ……けど、流石にこれは。
    コンシーラー何処にやったっけ、と思いながら、冷たい水を顔に浴びる。

    今朝の夢見は最悪だった。
    ……勘弁してくれよ。夢に振り回されるとか、笑えない。ただの夢だと思っても、…変に記憶にこびりついて、取れないような心地がした。

    ……練牙さんがオレを捨ててあっちに?いやいや、有り得ないって。あんなに「添!」「添!!」なんて犬みたいにじゃれてくるし。

    ……と、考え、ふと思考が止まる。
    先程の夢の光景が、嫌でも浮かんでくる。

    ……いやいや、ないって。社長が引き留めてくれる?らしいし。…上手くやるでしょ、オレには関係ないし。

    嫌な思考を振りほどくように、タオルで顔を拭いていく。

    しかし思考は止まらず、ぐるぐるとまた同じことを考えていた。

    ……あー、今日は会いたくないな。
    …とか言って、同じ寮に住んでるから顔合わせないことはないだろうけど。……適当に大学の講義、とでも言って外出るか……。

    __と、思考していたのを止めるような、ぱち、と言う無機質な音と、嫌に明るい光。

    「あれ、…っ、て、添!おはよう!!」

    …手の動きが止まる。
    顔なんて見なくても、その太陽みたいな明るい声じゃ、嫌でも誰かわかる。

    ……あーほんと、タイミング考えてくれないかなこの人。見たくない時にいつもいつも……。

    オレは一息つくと、タオルを顔から外す。
    …ほら、いつもの笑顔の出来上がり〜。

    「…あれ、練牙さん。おはよーございまーす。」
    「…!あ、あぁ、おはよう!!…せ、洗面所、何で電気つけてなかったんだ?びっくりした……」
    「あー…はは、寝ぼけててつけ忘れました。」

    オレが挨拶をすれば、犬は一際顔を綻ばせて笑う。……あー、なんだ。やっぱ誰にでも尻尾振るじゃん。……特にオレには顕著に。

    友だちに会えて嬉しいです、みたいな顔をしながら、練牙さんは軽い足取りで洗面台へ向かう。ほんと、朝から眩しい。

    ちら、とオレの顔を見る練牙さんに、へら、と笑っておく。…何か話しかけたそうだけど、会話すんの面倒臭いし、オレから助け舟出すのやめよ。

    じゃあオレ大学あるんで、なんて呟きながらそそくさと洗面所を出ようとした。……いつもなら、「あ、あぁ!」なんて引き留めもしないまま、捨てられた子犬みたいな顔でこっち見てんのに。

    寝起きでまともに思考が起きてないのか、…はたまた犬の直感か。

    ___練牙さんは、慌ててオレの手を掴んだ。

    「…っ、添!その顔どうした!?」
    「……は、」

    思わず、練牙さんの方を振り返る。
    ……いやいや、いつもそんな俊敏な動きしないじゃん、急に何?

    ……しかし、まぁ、振り返ったのが運の尽き。
    オレの青白い顔が光に照らされ、練牙さんはオレよりも顔を青くする。……あー、最悪。振り返らず、適当にあしらって逃げればよかった。

    「隈っ、凄いし……顔も青いぞ!?た、体調悪いのか!?!い、今は季節の変わり目だし、崩しやすいだろ…!!」

    ころころ表情を変えながら、練牙さんはオレの前であたふた手を動かしている。
    ……このままじゃ病人扱いされそう。それじゃあめんどいな。何か理由つけて適当に……、

    ……と、言う思考は隅に追いやり、口から出たのは違う言葉。

    __あぁ、ほんと。
    夢見が悪いのも、珍しく他人に掻き乱されてんのも、…全部あなたのせいだよ、練牙さん。

    「……練牙さん、……友だちのオレなら、離れないよね」
    「……え、」

    ぐ、と練牙さんに一歩近づく。

    ……練牙さんの赤い、朝焼けみたいな瞳に、オレの青白い顔が、映っているように見えた。あーあ、ほんとアホ面。警戒心なさすぎ。

    ……だから、

    オレのいつもの笑みが外れる。
    …酷く無機質な顔で、オレは朝に似つかわしい、低い声で呟いた。

    「……練牙さんはオレと、ずーっと友だちでしょ」
    「……も、もちろんだ!…と、友だち、だしな!!……………………………っ」

    オレの声に、練牙さんは明るく呟く。
    その声はいつも通りで、…オレの思惑なんて知らないような声だ。

    ……あーほんと、この人に振り回されっぱなし。…かなり癪に触るけど。

    じと、と練牙さんを見つめていると、練牙さんは何にも分からなさそうにオレを見つめ__やがてはっ、と何かに気づいたような顔をする。

    急に何、と思ったオレの思考を吹き飛ばすように、到底朝とは思えない声量で、練牙さんは叫んだ。

    「…っあっ!準備!!オレ朝から収録だった…ッ!!」

    ……うるせ〜。人のこと考えてくれませんかね。

    耳鳴りする片耳を抑えながら、練牙さんを幾分か冷めた目で見る。そんなオレの視線も気にせず、練牙さんは慌てて顔を洗い、スキンケアを始めた。

    ……うん、もうオレと話すことは無いって訳ね。

    オレは今度こそ後ろを向くと、ひら、と手をあげる。何か言いたげな練牙さんの視線を今度こそ無視しながら、オレは一言呟いて、洗面所を出た。

    「じゃあね〜練牙さん。収録頑張って。」


    ***


    先程の嫌な寝起きの重さは幾分かマシになり、オレは眠い眼を怠く擦りながら、廊下を歩いていく。

    …なんかもうやる気も起きないし、このまま二度寝でも、と考えたその時。

    __角に白い人影が映る。
    背丈と歩き方から見るに、あれは。

    「…あれ、社長〜。どうしてそんなとこに?」
    「添。……随分酷い顔だね、寝れてる?」
    「…あーはは、ぼちぼち?」

    社長が顔を顰めながらオレを見る。オレがそんな顔を笑うようにへら、と笑えば、社長はそう、と呟いて視線を逸らす。…この人、察しがいいと言うか、……変に詮索しないのは、あの犬よりかは、幾分か楽だ。

    社長はにこ、と笑みを貼り付けると、オレにずい、と詰め寄る。…あーこれ、めんどくさいやつか?

    「…何か練牙と面白い話してたね?」
    「…盗み聞きは関心しないなぁ。」
    「偶然聞こえてきただけだよ。……添は、___練牙が、ずっと、ずーっとここにいると思ってるの?」

    確信を突く質問に、内心、どきりとする。
    ……この何でも知ってます、みたいな社長の目、めんどくさいから好きじゃないんだよな。

    オレは社長に負けない作り笑いを浮かべ、言う。あーほんと、朝からめんどくさい。

    「……ここにいるも何も、社長が繋ぎ止めるんでしょ?ほら、あの時も言ってたじゃないですか。〝いきなりいなくならないこと〟、って約束。……あの練牙さんのことだし、オレらについてるでしょ。」
    「………へぇ、添はそう思ってるんだ。」
    「………………」
    「…やっぱり面白いね、君たち」

    くす、と笑って、社長は先を歩いていく。あ、今日昼頃のMTG、添も付き添いだから。Pechat見といてね。……なんて言う嫌な言葉を残して。

    思考が回らないオレは、ただぼーっと、社長の後ろ姿を眺めた。

    ……何なんだ今日、厄日?
    オレは堪えきれなくなったため息を重く吐くと、部屋に戻るため階段を上がっていく。

    ……あーほんと、さっきから何なんだ。
    練牙さんがいるやらいなくなるやら、友だちやら、……アイツに取られるやら。

    ___ほんと、そんな訳ないって。
    どいつもこいつも、めんどいなぁ。

    オレは自室_というより相部屋_へ戻ると、2段ベッドの上、自分のベッドへ潜り込む。

    ……あぁほんと、嫌な目に遭った。あのまま起きずに二度寝しとけば……いやでも、あの続きを見るのは嫌だったし、あれが正解か。
    ……今度は見ないといーけど。

    …ちら、と視線を横に向ければ、観葉植物がオレを覗く。……大人しく、此処にいればよかったんだ。じゃなきゃ、あんな思いもしなくて済んだのに。

    「……ほんと、何してんだろーね。」

    こんな、アホ犬にぐちゃぐちゃ振り回されてさ。

    オレは観葉植物を見つめながら、ゆっくり瞼を下ろしていく。…気怠い朝は、オレには似合わない。もっと太陽が昇ってからじゃないと、…夢を見て仕方ないから。

    練牙さんがわざわざオレを朝食に呼び出しに来るまで、オレは〝彼女〟と、嫌に明るい朝に微睡んでいた。

    すぅ、と静かに朝の息を吸う。
    その空気は、酷く不味くて、…あの人みたいに、変に暖かかった。






















    「……も、もちろんだ!…と、友だち、だしな!!…『練牙』が、戻ってくるまで…っ」
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    辻紫しの

    DONEキバ練(キバレン,練レン)

    誕生日に偶然再会してしまうふたりの話。
    捏造設定がかなり多いのでなんでも許せる人向け。
    いつかキバとレンが再会できて、笑いあえますように。

    ※練牙区長ノベル、練牙BD(2024)カドストネタバレ
    ※キバが西園家の裏稼業(血なまぐさいこと)を全て引き受けているが故に、表に出て来れない設定
    ※キバの服装諸々捏造あり
    ※なんでも許せる方向け
    サイカイ(キバ練)「……変わってない、か。」

    路地裏にある、薄汚れた室外機の下。
    古びたクッキー缶を開ければ、「キバの太陽」の面が月明かりを浴びて鈍く輝いていた。

    ___今日は、『西園練牙』の誕生日。
    キバからのメッセージを貰って、もしかしたら今日この場所に来るのかも、なんて考えた。こっそり寮を抜け出して、あの時みたいに胸を高鳴らせて。逸る鼓動を押えながら薄暗い路地を覗けば、そこは静まり返っていた。

    ……ほんの、ほんの少しだけ、期待をしていた。今日なら、…今日こそ、キバに__練牙に、会えるかもしれないって。きゅ、と胸の奥底が痛んだ。

    自分の期待と寂しさを沈めるように、ゆっくりと缶を閉まっていく。……大丈夫、練牙はオレを、ずっと見ててくれる。きっと、いつかまた逢えるはず。
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