名無しの贈り物(ミコジョン)「……ん?」
囚人達の支給品の要望に目を通していたところ、ある囚人の回答が目に留まる。
その紙を1枚取り見てみれば、少し癖のある字で書かれた009番_ミコトの書いた用紙だった。日用品が挙げられている中で、1番最後の項目が引っかかる。
その字は、癖のある丁寧な字とは打って変わって、乱雑で震えた字で書かれていた。その字だけ見ると、幼子が書いたような印象を受ける。
殴り書きのようなその5文字を書いた人物に、心当たりがあった。漠然とした要望に、ため息を着く。さて、どうしたものか。
「……あまいもの、な。」
あまいもの。漠然とした要望は、この字を書いた本人_ジョン・ドゥ自身が望んだものとは考えにくい。きっとこれも〝僕〟の__ミコトの為なのだろう。大方、〝甘いものでミコトのストレスを多少和らげる〟ために書いたと予測できた。
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