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    acusu1979

    @acusu_1979

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    こちらをあげたものを支部に載せたり
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    acusu1979

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    ナツハラ様(@monimonihedo )が作られたワードパレットをお借りしました!

    南(@minami373juju )様よりリクエストです

    パレットNo.13 forsinkelse(遅れ)

    CP篤夢
    ワード 言葉 花束 平手打ち

    #日下部篤也
    toshiyaNikkei
    #夢小説
    dreamNovel

    遅れてきた春私には気になる人がいる。日下部さんと仰る方だ。しかし向こうからしたらただの顔なじみ。うちのお店に来るお客様だ。月に1度可愛らしい花束を注文しに来られる。毎月誰かに渡すなんてマメな人だな…と初めは思っていたけれど、店長と仲がいいのか、店長との話を聞きながら、三人でお話をしながら、店長が居ない時でも二人でお話をしながら…とだんだん気軽に話すようになっていった。

    「おーお仕事お疲れさん」
    「あ、日下部さんいらっしゃいませ!」

    ノータイのスーツにトレンチコートを羽織った日下部さんがお店にやってきた。

    「まだ暑っついなぁ…」
    「そうですね。朝が寒いんで着込んじゃうと昼間が困っちゃいますよね」
    「それ、俺の事言ってる?」
    「いえ!そんな!違うんです!待ってください!えっと!その!!」

    焦る私の姿を見てイタズラが成功したみたいにシシシと笑う日下部さん。からかわれてるのはわかったけれどお客様なので何も言えない。

    「はぁーっ!笑った!スマンスマン、ほら詫びにコレ」

    手に持ってたビニール袋を渡され受け取ってしまう。中身はコンビニで出ている少しグレードの高いロールケーキだった。

    「く、日下部さん!ダメです!頂けません!」
    「嫌いか?コレ?」
    「違いますよ!こんな素敵なもの貰ったなんでバレたら私が怒られます!」
    「大丈夫だって…ほれ人数分あるだろ?」
    「…でも…」
    「実はな?…仕事先で貰ったんだが俺は一人暮らしだし甘いものもこんなには食べられない。人助けだと思って貰ってくれるか?」

    急に思いついた話かも知れない。でもそれを指摘する仲でも無い。「ロールケーキがダメになるから冷蔵庫に入れてこいよ」と言う駄目押しの一声で私は白旗をあげてしまった。

    店に戻ると店長と日下部が話をしていた。店長に手招きをされて近寄ると私の両頬を挟んでぺちぺちと叩いてきた。

    「日下部から何か貰ったかしら〜?」
    「ひゃい!てんちょーもらいまひた」
    「お客様から貰っちゃダメでしょ?」
    「しゅみまひぇん」
    「おいおい、その辺にしとけ。パワハラになるぞ」
    「日下部うるさい。元はと言えばあんたがお菓子なんか差し入れするからでしょ!」
    「だーかーらー!客先で貰ったって言っただろ?」
    「どーだか?いい?この子はうちの大事な店員なの?!変なことしたら承知しないからね!」

    このやり取りの間店長は優しいぺちぺちとした平手打ちからほっぺたをむにゅむにゅと触る行為に変わっている。

    「人の事をロクデナシみたいに言うなよ…」
    「学生の頃の日下部を見てたら誰でも言うわ」
    「中学校の時の話をすんな」
    「するにきまってるでしょ!」
    「あーのー」

    店長の両手が離れ自由になった私の言葉に二人が振り返る。

    「何?!」
    「なんだ!?」
    「ひぃ…」

    怖い!と怯えてる私を見てヒートアップしていた二人が冷静になってくれた。

    「あーすまん。悪かった」
    「ごめんなさいね?同級生だからつい」
    「いえ…店長すみません。勝手に頂いて」
    「日下部だし、今は誰もいないから良いけど気をつけてね?日下部も持ってこないで」
    「それは困る。一人暮らしにはあれはきつい…そうだ今度から店長宛に渡すわ。それでお前が配ればいいだろ?」
    「…しょうがないわね…でもなるべくやめてね?他のお客様に真似をされると困るから」
    「おう」

    結局今回は店長が日下部さんにお願いをして買ってきてくれたと言う事になり、いつも頼まれる花束はサービスということになった。
    ピンクと黄色のガーベラをメインにした小さなブーケを作る。ガーベラの花言葉は「希望」や「前向き」…花によって今は様々だけどね前向きな言葉が多い。このブーケを受け取った人が笑顔になると良いな…そんな気持ちと一緒に袋に入れて日下部さんへ渡す。

    「また来る。ありがとな」
    「はい、お待ちしてますね」

    店先まで出て見送るため一緒に外へ。いつもは振り返らない人なのに「なぁ…」と話しかけられた。

    「はい…なんでしょう?」
    「…最近見られてる気がするって?」

    最近「誰か」が見ているようで対策を店長に相談していた。店長…日下部さんに喋っちゃったの…

    「あ…すみません…お騒がせしてしまって…」
    「いや…詳しい話を聞きたいんだが…今日の仕事終わりは何時?」
    「えっと…19時ですかね?」
    「わかった。晩御飯でも食べながら話を聞きたいんだがどうだい?なんか予定あるか?」
    「へ?あ、ないです。でもっ!大したことー」
    「まぁまぁ…おっさんとお話するの嫌かもしんねーけどさ」
    「いえいえ!おっさんじゃないです!」

    私の言葉に少しだけ目を開いて驚いたあと楽しそうに笑いながら頭を撫でられる。
    「そっちかよ」と言われても言われてる意味が私には分からなかった。
    日下部さんを見送った後店長にやり取りをうっかり話してしまい「もー!!あんたって子は!」と先程よりやや強めのぺちぺちを貰ってしまい「店長が話すからでは?」の言葉を胸に中に秘めながら「すみませんー」と謝ったのだった。


    閉店時間になろうかという頃日下部さんが顔を覗かせてきた。いつもとは違って長い筒…確か設計図とかを入れる図筒だったかな?を背負ってる…もしかして建築関係の人だろうか…?

    「悪いな…ちょっと早いけど中で待たせてもらっても良いか?」
    「日ー下ー部ー!待ち合わせの時間まで待てないの?」
    「思ったより早く仕事が終わってな…」
    「だったら手伝いなさいよ」
    「へーへー…何すればいいんだ?」

    尋ねる日下部さんにあれやこれやと店長は重労働をお願いしていて、結局約束の時間は過ぎてしまったけど今日の私のお仕事は終わったのだった。

    店長と日下部さん、私の3人で店の前で解散する。お話とご飯をご一緒にする為に2人でゆっくりと歩き出した。

    「はぁー疲れた…」
    「日下部さんありがとうございます。普段ああいう重労働まで手が回らなくて…」
    「相変わらずアイツは人使いが荒い…」
    「アイツって…店長とは仲良いんですね」

    自分が言った言葉に少しだけズキンとした。

    「腐れ縁だよ」

    日下部さんが返してくれた言葉にそうなのかと思いつつドキドキしながらなるべく平常心を心がけて話す私。

    「…もしかして…お付き合い…」

    少しだけ驚いた顔をした後とても嫌そうな表情になり手首をヒラヒラさせた。

    「無い無い!!ありえん!流石に俺も選ぶ…」

    必死で否定する日下部さんが可愛くて思わず笑ってしまう。「そんなに笑うんじゃねーよ」という言葉を聞いてますます笑ってしまった。繁華街に向かって他愛のない話をしていたそんな時ふと気がついてしまう誰かの目線…私は思わず立ち止まる。すると肩を抱かれ強制的に歩かされながら耳元で囁かれる。

    「立ち止まるな…このまま」
    「…えっ…と?」
    「昼間に話した「感じる視線」はコレか?」
    「あ…はい…」

    気になる人との距離が近い。とても近い…近いよ日下部さん!心の中で慌てていたのは私だけだったようで彼は話を続ける。

    「この近くに公園があるよな?」
    「えっと…もう少し先ですけど…あります」
    「悪いがこのままで案内できるか?」
    「はい」

    「よし行こう」と言われて歩き出す。私と日下部さんじゃあ歩幅が違うはずなのに私に合わせてくれているみたいだった。
    着いたのはぐるりと見渡せるぐらいの小さな公園。一つしかないベンチに私を座らせると背負っていた図筒を下ろし着ていたコートを頭の上から覆うようにかけた。

    「いいか、目を閉じて耳を塞げ。もし出来なくなったとしてこれから見えるもの、聞こえるものに反応しちゃいけない。俺が合図するまで動くな。絶対に!わかったな?!」

    お店にいた時と違い凄まじい勢いで話しかけてくる。声も出せずコクコク頷くと「よしっ!」と言って私の視界から外れるとゴソゴソ音がして図筒から何かを取り出したみたい。そっと筒の方を私の横に置いた。

    ー闇より出でて闇より黒くその穢れを禊ぎ祓えー

    日下部さんが何かを言うと夜で暗いはずなのに更に暗闇が増した気がする…目を閉じていない事に気がついて耳を塞ぎ慌てて私は目を閉じたのだった。

    シュッとか金属が当たっている音がする。耳を塞いだ向こう側から聞こえるって事は相当大きいはず。たまに来る風のようなものがなんだかとても生ぬるい…そして少し気持ちが悪い…それでもグッと耐えてじっとしていた。……どれぐらい経っただろうか…聞こえる音もそんなに無くなってほんの少しだけまだじっとしているべきか不安になってきた。
    …そう言えば日下部さんの言う合図ってなんなんだろう?聞いてみた方が良いのだろうか?でも…反応を何もするなって言っていたような…??んーどうすればいいんだ?迷っていると私の前に何かいる気がする…えっと?日下部さんかな?イヤでも反応しちゃダメなんだよね??目を瞑るという行為も結構力のいる作業なんだと改めて思う。瞼に力が入らずに思わずうっすらと目を開けてしまった。
    ……私の目の前に人の形っぽいもので水玉の仮面のようなものをつけてこちらを向いているナニかがいる。水玉の部分がギョロりと私を見つめた…あ、これ水玉じゃない…全部…目…??日下部さんに反応するなと言われていたけどこれは無理だ!喉の奥から声が込み上げてきそうで必死に自分を抑える。見てしまった、聞いてしまった。あと私が守れる約束は動かない事だ。こちらに素早く近寄って来るがもうベンチから動けない。どうなるか分からないけど怖すぎて目も閉じれない耳も塞げない!得体の知れない何かに手を伸ばされそうになった瞬間ソレは止まり地面に倒れた。その後ろから日下部さんが刀剣の様なものを手に持っていて構えている。片手を上げてブンっと振ると刀身を鞘へ納めた。暗闇が少しだけ明るくなりさっきまで黒いフイルターか何か貼ってあったみたいだった。

    「怪我は無いか?」

    ゆっくりと近寄ってくる。言いたいこと聞きたいこと色々あったけど、頭の中がグチャグチャし過ぎてヒッ…ヒッ…と呼吸が浅くなる。日下部さんに手を伸ばすと屈みながらコートの上から抱きしめてくれた。

    「焦らなくていいから…ゆっくり息をしろ」
    「っひっ…はぁっ…いっ…んグッ…」

    背中をトントンされて落ち着くようにあやされる。あぁ…怖かった…私生きてる…日下部さんに助けられたって事で合ってるのかな?…暫くすると私の呼吸も大分落ち着いてきた。

    「…俺が怖くないのか?」
    「…え?…なんででしょう?」
    「物騒なもの振り回していただろう?」
    「あー…そうですね…図筒持たれてたから建築関係の方かと思ってました…あれは…本物ですか?」
    「法には触れてないとだけ言っとく」
    「そうですか…」
    「あぁ」
    「助けて頂いたのに怖いなんて失礼です…」
    「そうか…」
    「はい。あの…アレは…何なんでしょうか?」
    「呪霊という呪いだ」
    「呪い?」

    日下部さんの説明では私に襲いかかろうとしたアレは呪霊という呪いで人の負の感情の塊らしい。人は誰にでもある負の感情で呪霊というものを生み出し、日下部さんのような人達が自分の中の負の感情を力にして(呪力と言うそうで)呪霊を退治をしているという事らしい。どうして私が目をつけられたのか日下部さんにも分からないけれど、とりあえず誰かの視線は感じなくなるだろうという話だった。私が落ち着いてきて会話のキャッチボールが出来ているのを確認したからかそっと離れていく。私はスーツのカラーの部分を思わず握りしめていた。

    「……あ…ごめんなさ」
    「なんだぁ…そんなに寂しかったのか?」
    「う…」

    からかわないでください…

    「ちゃんと言葉にしねーとわからないぞ…いや…違うな…」

    頭から被っていたコートが落ちて肩にかけられると優しく抱きしめられた。え?

    「怖かっただろ…?ほら…泣けって…」

    私は怖かったのか…日下部さんに言われて自覚してしまう。胸に顔が触れて彼の匂いと暖かさでジワジワと恐怖心が上がってきた。怖かった…なんだアレは…小さく声を上げながら腕の中で涙を零してひとしきり泣いていく。
    ……涙はもう出ないけど息を吸う時にしゃくりあげてしまう…うん…恥ずかしい…
    ずっと胸を借りるわけにもいかないのでそろそろ離れようと身をよじったんだけど…?
    …その…日下部さんに抱きしめられたまま動けません…

    「あ、あの…」
    「なんだ?」
    「えっと…胸をお借りしまして…」
    「おう」
    「ありがとうございました…?」
    「なんで疑問形なんだよ…」
    「何となく??でもなんで…私の事…だき…しめてるんですか?」
    「ん?」

    私が見上げると見下ろされてる…目が合うとボロボロに泣いて化粧が落ちている顔だった事を思い出して思わず顔を下げようとした。
    日下部さんの片手がそっと伸びてきて私の顎を掴むと触れそうな距離で囁かれる…

    「な…に…を…?」
    「妹の見舞いで花束を買う度に一生懸命作ってくれた。良いなって思ったんだ。なんの淀みもない真っ直ぐで見てて気持ちよかった」
    「はい?」
    「気難しいアイツとも上手に仕事して益々興味が沸いた」
    「…」

    なんのことを話しているんだろうなんて言わない。これは自惚れても良いんだろうか…?

    「話かければ客商売だとしても嫌な顔せずに対応する。笑顔が気持ち良いと思った」
    「はい…」
    「そしたらどんどん話をしたくなった。月に一度と言わずもっと会いたくなった…」
    「…はい…」
    「言葉にするぞ?いいか?」

    頷けないから小さい声で「はい」と返事をした。
    「俺はお前のことが好きだ。お前は?」
    「あ…はい…えっと…すき…で」

    「す」の言葉は日下部さんの唇に飲まれていく。そっと唇が合わさるだけの軽いキス…
    違う意味で熱くなる…泣いて赤くなっていた顔が更に赤くなった気がする…

    「やっぱ。お前可愛いーわ」
    「そういう事っサラッと言わないでください…!」
    「なんで?」
    「慣れてないんですよっ!」
    「そうか…で晩御飯何食べる?腹減った」
    「自由!!…ファミレスに行きません?」
    「お前もな…良いなファミレス」

    さっきの甘い雰囲気は飛んで言ったけど気まずくなるよりは良いんだろうな…

    「所で、次の休みは何時だ?お前とゆっくり過ごしたい」

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