檻(その1)「ここ…は」
檻の中、薄い敷物の上で目覚めるなんて最悪だ。なにか薬品を嗅がされたのか、まだ少しクラっとする。
桜河と要と3人で果物を見つけに散歩していたら、急に銃声が聞こえた。要を逃がす事を第一に考えて移動していたら、気づけば目の前に人間がいた。それ以降は思い出せない。ここに居るのが俺だけって事は、彼らは無事に逃げられたんだろう。
「くそ。人間に捕まるなんて、大失態だ」
多数の兎を捕まえる予定だったのか、比較的大きな檻に入れられたのが、不幸中の幸いだった。不安は残るが、ここからどう逃げるかの算段も立てやすい。
今は周りに俺を捉えた人間も居らず、足音も聞こえない。きっと他の獲物を狩りに行ったんだろう。
逃げるなら今のうち…と考えを巡らせていると、カサッと草のなる音。どんどん近づいて来てるコレは…。
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