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    りま!

    @ririmama_1101

    たまに絵とか小説更新します。
    主にらくがきなので薄ぼんやり(?)見てください。
    幻覚、存在しない記憶ばっかりです。

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    りま!

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    ⚠︎宗戴(未満かもしれない)
    ⚠︎モブとして女性の社長と秘書の男が出てきます(しかもよく喋ります)
    ⚠︎秘書の男に戴天が気に入られる話

    #宗戴

    適材適所「雨竜くん、今日の会食はお酒を伴いますので同行は不要ですよ」
     嫌悪感が滲み出ないようになんでもないような顔をして雨竜に告げる。雨竜は幸運なことに気づかなかったようで「はい、お気をつけて」といつものように言葉を返してきた。

     先方が指定した待ち合わせ場所に向かうと、ちょうど会食相手の女性社長と秘書の男が車から降りてくるところだった。
    「良いタイミングでしたね、今夜はご招待いただきありがとうございます。秘密の場所、とは?」
     向こうが指定してきたのは待ち合わせ場所のみで、肝心な会食をおこなう場所はついぞ明かされなかった。ビジネスにおいては優秀であり学ぶべき点も多いが、サプライズであったり、突拍子もない提案を挙げてくることもある少し癖のある女性だった。
    「あなたはご存知かしら?会員制のラウンジ、ウィズダムを」
     その店名を聞いて予感は的中したな、と心の中で思う。待ち合わせ場所を指定された時に嫌な予感はしていた。そこがウィズダムの店の近くだったからだ。
    「名前だけは。私は入ったことはありませんね」
     思わず顔を歪めたくなる気持ちを抑え、笑顔を作る。
    「良かったわ!素敵な場所よ」
     そう言いながら上機嫌に歩き出す彼女に続いて、戴天もウィズダムへと歩みを進めた。

    「ようこそウィズダムへ…、」
     笑みを浮かべた支配人が一瞬こちらを見て目を見開く。しかし何事も無かったかのように案内を始める。
    「お待ちしておりました。こちらへどうぞ」
     まるでお手本のような礼をひとつして、宗雲が席へと案内する。接客中の宗雲の姿は、噂に聞くばかりで実際に見たのは初めてだった。
     席に座ったあと、浄をお呼びしますと言って去っていったはずの宗雲が再びテーブルへと向かってきた。
    「申し訳ございません、生憎今浄は対応中でして。私でもよろしいでしょうか?」
    「あらそうなの、残念。宗雲でももちろん構わないわ。高塔さんも大丈夫かしら?」
    「私はどなたでも構いませんよ」
    「初めての方には会員証をお渡ししております。どうぞこちらを」
     宗雲が戴天の隣へ座り、仕事用の笑みを浮かべたまま会員証を差し出してくる。戴天も仕事用の笑みを浮かべながらそれを受け取る。お互いにまるで初対面かのような対応をしている姿は知っている人間が見ると滑稽だろう。さり気なく周りを見回すと浄も颯も接客中でこちらを見てはいなかった、と思う。

     初めこそ仕事に関する話題をしていたが、今日は飲みたい気分だったのかハイペースにグラスを空けていく社長が、次から次へと話題を変えていく。目まぐるしく変わる話題に時折相槌を打ちながら、前に座る秘書の目線のうるささに辟易とする。彼の目線がどことなく湿り気を帯びていることに気づいたのは、先方との3度目の商談を終えた頃だった。
     この秘書の第一印象は悪くは無かった。破天荒とも言える社長の突拍子もない提案に対して要望と出来ることへの調整がうまく、社長からの信頼も厚いのだろうという印象だった。しかし3度目の商談で社長が席を外したタイミングで同じように連絡のために雨竜も席を外した時に掛けられた言葉に違和感を覚えた。
    「高塔さんはいつ見ても綺麗にされてますね」
     そう声を掛けられたときに秘書の男と目が合った時に感じた嫌悪感。尊敬とも信頼とも違う、何かを孕んだような目線。正直言って気味が悪かった。
    「そうですか?ビジネスマンは清潔感が大切ですから。気を抜かないようにしていますよ」
     誰にいつ聞かれても答えられるような、言ってしまえば常套句。それを返しただけで相手の目の色が変わったような気がした。
    「それってもしかして……」
     男が何かを言いかけたとき雨竜が戻り、すぐに社長も席へ戻ったためその先の言葉を聞くことは無かった。ただ、言おうとしていたのは「僕がいるからですか?」だったような気がして、さすがに妄想が過ぎるなと思っていた。
     それからこの秘書の男が同席することに少しだけ嫌悪感を抱くようになったが、そんな“気がする”だけで大事な取引先との仕事に支障をきたす訳にも行かず、今に至る。この先、この秘書の行動がエスカレートしないようにどこかで釘を刺しておきたい。

    「高塔さん、お酒お注ぎしても?」
     宗雲から声を掛けられてはっとする。思考に意識が逸れていたのか、グラスを見つめていたことに今更ながら気がついた。幸い相手の社長は気づかずに「あら、どんどん飲みましょう!」と再び乾杯をしたいのかグラスをこちらへ差し出してくる。
     ちらりと宗雲を見るとにこやかな笑顔の中で探るような目線を向けられる。探るな、と視線で返しながらにこりと微笑みを浮かべてグラスを取る。そのやり取りを見ていた秘書の男が眉間に皺を寄せている。そんな男の視線や表情もきっと宗雲なら見ているだろう。恐らくどんな状況かも察している。

     そこからは再び社長が話すことに相槌を打ちながら、お酒を飲み料理を摘む。満足したのか、社長がそろそろ帰ると言い出したところで会食はお開きとなった。会計を終え、席を立つ前に秘書の男が突然声を掛けてきた。
    「高塔さん、もし宜しければこのあと飲み直しませんか?」
    「あらあなた。私を置いていくつもり?」
    「社長は明日早朝からご予定があるでしょう。僕もたまには別の方の元でお勉強したいです」
    「まぁ、言うようになったわね。高塔さん、構わないかしら?この子が何か粗相をしたらすぐに教えてちょうだい」
    「……お気になさらず」
    「では、出口までご案内いたします」
     そのやり取りを宗雲が隣で聞いていることを確認して、案内する宗雲に大人しくついていく。フロアを歩いている途中で、浄と颯が驚いた顔でこちらを一瞬見ていた。

     ご来店、ありがとうございました。と来た時と同じように綺麗な礼をしてみせた宗雲を尻目にエレベーターの扉が閉じていく。扉が閉じる直前、宗雲の鋭い目線が戴天を射抜いた。
     エレベーターが地上へ到着し、ビルの目の前に停まっていた車へと社長が乗り込む。きちんと帰りの時間に合わせてビル前に車を回すところから見ても、秘書としては優秀な男だなと思う。
     窓を開けて「今日はありがとう。楽しかったわ。また仕事でもよろしくね」と言う社長へ言葉を返し、走り去る車を見つめていた。

    「高塔さん、どこか行きたい場所はありますか?もし無ければ僕がお勧めのバーがありまして」
     車が見えなくなった途端に秘書の男はそう言いながら、さり気なく手首を掴んでくる。
    「僕ずっとあなたと飲みたいと思っていたんですよ」
    「……光栄ですね。どのような話がしたいのですか?」
    「もちろん経営に関してのお話と、」
     言葉を一旦区切り、手首を引かれる。自然と傾いた顔に秘書が唇を寄せ、耳元で囁く。
    「あなた自身のことが、知りたくて」
     ぞわりと嫌悪感から鳥肌が立つ。一刻も早く離れたくて、腕を振り払おうとした瞬間、背後から声がかかる。
    「戴天、これ落としていたぞ」
     後ろを振り向くと宗雲が戴天の会員証を差し出していた。秘書は驚いたように手を離した。
    「おや、気づきませんでした。ありがとうございます、宗雲」
    「えっ、知り合い……なんですか?」
    「実はちょっとした知り合いでして。ただ店に来たのは初めてでしたよ」
     驚いている様子の男にさらりと告げる。
    「そう、ですか……」
     あからさまに狼狽える秘書の男を無視して、宗雲が戴天へと話しかける。
    「ところで戴天。約束、覚えているな?あと少しで店も終わるから上で待っていろ」
    「……そういえばそうでしたね。すみません、私先約がありました。申し訳ないのですが今夜はここまでで。社長によろしくお伝えいただけますか?」
    「え?いやそんな、僕……!」
     まだ食い下がろうとする秘書に、宗雲が近づき耳元で何かを囁く。さぁっと顔を青くした秘書が慌てて走り去って行った。

     走り去る男を見送り、不満気に宗雲へ視線を向ける。
    「何か余計なことを言ってませんか?」
    「ほんの少しあの社長の名前をチラつかせただけだ」
    「……そうですか。それより、よく私のサインに気がつきましたね」
    「あれだけわざとらしく会員証を置いて行かれたら気づく。あとは……あの秘書の男、お前を見る目が危うすぎた」
    「困っていたんですよね。まさか秘書の目線が煩わしいという理由で仕事を断るわけにはいきませんから」
    「俺を使うな」
    「悪いとは思っていますよ」
     全く悪いとも思っていなさそうな戴天の顎を宗雲の長い指がすくう。
    「なら本当にこのあと付き合え」
    「明日も仕事なのですが」
    「一杯でいい」
    「珍しいですね。あなたが私を誘うなど」
    「お前こそ珍しい。俺に助けを求めるなんて」
    「たまたまです。席に着くのが誰でも構いませんでした。会員証だって気づかなければそれまでだとは思っていました」
    「……誰だって良かったんだな」
    「おや、妬いているのですか?」
     そう言いながら先程されたことを返すように、宗雲の顎に人差し指を添えてスリスリと撫でてみる。
    「煽るな。戻るぞ」
     宗雲が触れている手を払いのけるとそのまま手首を掴んで従業員用の通路へと歩き出した。不思議と不快感は無かった。
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