洛冰河は双子である。
一卵性双生児で、見た目は同じ。名前も同じ。
何故名前が同じかと言えば、捨て子で見掛けも同じだった事と、そもそも名前が重要視されていなかったから。
例えば洛川の近くに住んでいる二番目の娘だから洛二娘だとか、老齢だから洛婆だとか。
金持ちでも無い限り識字率もままならない市井の貧民などの名前なんてその程度である。
差を付ける為に何となく冰哥、冰妹と呼ばれていて、それが当たり前だったからそんなものかとたいして問題視していなかった。
「どこも似たようなものだな」
ある日、お前たち名前が同じで不便では無かったのかとなんと無しに尋ねてきた沈清秋たちに上記の返答を返すと、薄ら笑いを浮かべた彼らは肩を竦めた。
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