リアの結婚【1】
「私、結婚するから」
「は?」
唐突に、──少なくともローランにはそう聞こえた発言に、ローランは間の抜けた顔で聞き返した。
「だから、結婚するんだって。前に紹介したでしょう、あの人と」
再度説明をするリアの顔は「呆れた」と言っている。その隣で弟のカルが困ったように眉を下げ笑っていた。
「どういうことだ、聞いていないぞ!? カル、お前は知っていたのか!?」
「ちょっと、痛い!」
思わずリアの肩を掴んで迫るローランにリアが声を上げ、同時にローランの手をぴしゃりと叩き落す。ジンと痺れる手を振って目を見開くローランの顔を見て、リアは「はあ」と息を吐いた。
「ローラン、リアが前に男の人と一緒に塔に来た事を覚えていないのか?」
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