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    ROM

    @94_ROM_12
    稲妻の目金君関連のみ

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    ss。また兄弟関連のものが書けたら一緒にまとめるかもしれない

    #目金兄弟
    meginBrothers
    ##CP無し
    ##目金兄弟

    目金兄弟ss「サッカー?するわけ無いじゃないですかそんなもの。スポーツに現を抜かす暇があるなら勉学に勤しんだ方がまだマシだね」

    雷門中に入学して間もない頃。僕は隣町にあるサッカースクールに通うことになったのだが、物は試しで誘った兄に言われたセリフがこれだ。あの頃の兄はスポーツ全般を軽視していて、何故そんなものに熱中するのは本気で理解出来ない様子だった。あの日も当然僕の誘いは断られ「試合に出られるようになったらまた言ってください。観に行くので」と兄としての優しさを見せられて話は終わった。誘った身ではあるが兄がこういう反応を示すのは予想の範疇であったし、駄目元で声をかけた様なものだ。だから、今後兄はスポーツ全般に対して興味を抱かず、たまに僕の話に相槌を打つ程度の関わり方しかしないのだろうと思っていた。
    しかし、

    「一斗!来月隣町で中学サッカーの日韓交流試合があるそうですよ!チケットの抽選予約がもう始まってますけど、一緒に観に行きますか?」

    僕の予想は大いに外れ、兄はサブカルチャーと同等の熱量でサッカーというスポーツを愛するようになった。

    「あー、僕は良いかな。プロリーグならまだしも海外の中学サッカーの選手詳しくないし」
    「えええ!?あのチェ・チャンスウも来日するんですよ!?」
    「ちぇちゃ…。ああ、FFIにも出てたあの選手」
    「そうですよ!FFIだけでなく、彼は自チームを幾度も優勝に導き、既にプロのサッカーチームから複数スカウトが来ているほどで、」

    キラキラとした目で海外の中学サッカー選手について語る兄。何時ぞやのスポーツ全般を馬鹿にする兄は何処に行ったのか。そう誰かに聞きたくなるほど兄はサッカーに夢中になり、のめり込んでいた。僕が誘ったときは何の興味を持たなかったというのに。




    「ねえ、兄貴」
    「うん?何ですか、一斗」
    「兄貴はさ、サッカーやってて楽しい?」

    パチクリと目を瞬かせ、兄はニヤリと笑い高らかに声を上げる。

    「ええ、勿論です!フィールドに立つのは勿論、ベンチや観客席で熱い試合を見届けるのも最高に楽しいですよ。いついかなる時も胸を熱くさせてくれるサッカーは最高の娯楽ですね!」

    (ああ、変わったんだな)

    真っ直ぐな眼差しでそう語る兄はサッカー好きの好青年でしかなくて、その変化を与えた人物が誰であるかは語るまでもない。兄の変化は喜ばしいものであるのは間違いない。だが、目の前にいる人物が僕の知らない誰かに変わってしまったことが、僕は寂しくて寂しくて仕方が無かった。

    (きっと兄貴はこれからも変わっていくんだろうな)

    兄はいつまで僕を気にかけてくれるだろうかと、答えなんて出る筈もない問いが脳裏によぎる中、僕はホロリと涙を流した。



    [サッカー観戦に誘い、サッカーの楽しさを語ったら弟に泣かれてしまった目金君の話]
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    ROM

    DONE隠れオタクな弟とオープンオタクな兄の話。
    表現の都合上、少し古いオタク観が出てきますが『00後半〜10年代前半のオタク観にVカルチャーが現れた世界』だと思って読み進めて下さい。
    隠れオタクとオープンオタクオタクとは。
    愛好者を指す呼称であり、特定の分野に過度に熱中し詳しい知識を持っている者を指すサブカルチャーの分野で用いられてきた言葉である。昨今では寛容に受け入れられる事の多いオタクではあるが、多感な学生達の中にはオタク趣味をバカにする者も当然存在する。そして、そんな学生達に馬鹿にされることを恐れ己のオタク趣味をひた隠す者も当然存在するのだ。かく言う雷門中に通う目金一斗も漏れなくその『馬鹿にされることを恐れているオタク』であり、所謂隠れオタクという存在であった。

    「なあ、第七人格ってソシャゲあるじゃん。あれ映画化するらしいぜ」
    「え、そうなんですか?」
    「あれストーリーとかあったっけ」

    さして興味のない流行りのソシャゲや芸能人をきっかけにバズった音楽、新発売のスニーカーの情報にまでアンテナを伸ばしそれらの話でクラスメイト達と盛り上がる。そんな涙ぐましい努力を重ね、一斗は日々学生生活を謳歌していた。
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