第三章第三章
…ただいま電話に出ることができません。暫く経ってからおかけ直しください。
無機質な音声案内に苛立ちながら草薙理解は依央利に電話をかけ続けていた。
『明日の夜明け、全てを終わらせる。』
なんていうふざけた予告を出しているピエロを病院の待合室でTV越しに眺め続けることなんてできなくて、外に駆け出してしまった。ズキズキと足の傷が鼓動に合わせて痛む。どうして私の体は一番動いて欲しい時に限ってこうなってしまうのか。
爆破予告のせいで、街中に怒声や悲鳴が響く。
何度かけても通話中にしかならない依央利さんは諦めてメッセージを送り、気づけば事務所にたどり着く。けれど焦りと興奮で手は震えていて、がちゃがちゃと金属音を立てるばかりで鍵が上手く開けられない。震える手に後ろから伸びた手が重なる。
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