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    ruka

    @blaze23aka
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    ruka

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    くるっpuにお試しであげた小話。
    🔥❄️ 記憶ありの現パロです。

    #煉猗窩

    朧月夜の誓い「無惨様には感謝することがあるんだ」
    「無惨に?」

    転生後に人と人として巡り合い友となり、
    そして過去を受け止めたまま恋人となった杏寿郎と猗窩座。

    ある夜、一人暮らしの猗窩座の部屋でソファに並んで座り、穏やかな時間を過ごしていた時にこぼれ落ちた猗窩座の言葉に、杏寿郎は思わず眉を寄せた。

    「あの時、俺の前に無惨様が現れなければ、
     鬼にならなければ、お前には出会えなかった。
     それだけは感謝しかない」

    あまり感情を感じない、彼らしくない淡々とした言い方。
    杏寿郎は今度は何故だが猗窩座が消えそうな気がしてしまいその肩を己の方に引き寄せた。

    それに逆らうことなく猗窩座は杏寿郎の肩に頭をコツンと乗せると

    「俺にとっては、もう一人の親みたいな感じだな。
     ……お前たちにとっては憎むべき存在なのはわかっているんだが……俺は…嫌いにはなれない」

    すまんな、と小さく猗窩座は告げた。

    そしてそのまま話し始めた。
    何故急に始祖の名前を出したかを。


    「あの人も生まれ変わってるんだ。
     今日お見かけした」

    隣には黒死牟という上弦の壱によく似た男が付き添うようにいた。
    その様子を見たと。

    「なんでかな、ホッとしたんだ。
     俺……今、凄く幸せで…
     あの方も鬼から人へなれたのなら……
     もうこの幸せを遠慮せず受け入れてもいいのかなって…きっとそんな自分勝手な理由で」


    杏寿郎は何も言わずに恋人のどこか懺悔のような言葉を受け止めるようにその頭を優しく撫でていた。




    猗窩座は言いたかったことは言えたのか音を発するのはやめて瞳を閉じた。

    杏寿郎はそんな彼に気付くと引き寄せていた身体を包み込むように抱きしめて

    「……鬼の始祖である無惨のことは、確かに今も許せない気持ちはある。
     だが、今、あの男が人として生きることに俺は何も思わない。地獄で罪を償い転生してきたのだから。
     それに…」

    一旦言葉を切った杏寿郎は

    「確かに、あの男がいなければ
     君に、君というかけがえのない存在に出逢うことはなかった。
     それだけは、俺も感謝しよう!」

    猗窩座の頬にふれ、顔をそっとあげさせると優しい瞳でそう言った。

    「きょ…じゅろう……」

    薄らと金色の愛らしいと杏寿郎が感じる瞳に水の膜が張られると
    その雫がこぼれ落ちるのとは対照的な微笑みを浮かべた猗窩座は

    「ありがとう…。
     俺は、お前に出会えて幸せだ。
     ずっとこのままではいけないと思ってたけど、
     俺は、もう迷わない。
     杏寿郎、お前を愛してる。
     そしてお前に愛されてる幸せから逃げない」

    そう杏寿郎への想いを告げた。

    杏寿郎もそれに応えるように

    「ああ!離さない。
     君のことを決して離さずに愛し続けることを改めて誓おう!」

    と言うと、見つめ合ったままゆっくりと唇を重ねた。

    何度も交わしたことがあるのに、
    まるで初めてのときのように心臓を跳ねさせながらも温かい心を感じあうような口付け。


    いくつもの夜を越えて、
    こうして二人でいられる幸せを噛み締めながら
    まるで誓い合うように何度もキスを交わしたのだった。

    朧月が柔らかく光る夜に。



                 【了】




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