passionate gaze大きな背中だと思った。
前世での師範、今世での幼馴染の父親である慶蔵とも、前世で終ぞ勝てなかった上弦の壱、黒死牟とも違う背中。
炎柱であり、今世では猗窩座の歴史の教師である煉獄杏寿郎の背中はとても大きいと思ったのだ。
それは見た目のことだけではなかった。
実際の大きさで言うならば、悲鳴嶼の方が大きい。宇髄もそうだ。
だが、猗窩座には彼らと同じくらい……もしかしたらそれ以上に頼り甲斐がある背中に思えて仕方がない。
教師と生徒として再会したものの、杏寿郎には、前世の記憶はないようだった。
(そうでなければ、自分にあんな笑顔向けないだろう)
全ての生徒が大切だと、どの生徒にも分け隔てなく接する杏寿郎。
顧問である剣道部員や、歴史が好きで杏寿郎のところへ来る生徒には笑顔が多いもののそれは接する時間の違いだけだった。
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