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    ruka

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    ruka

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    🔥❄️ワンライ 第54回
    「四つ葉のクローバー」「たからもの」

    現パロ 記憶なし 
    小さい頃に出会っていた二人のお話
    ほんの少しだけ🔥パパママと💎が出てきます。

    n番煎じな感じですが、課題曲(必須科目)ということでご容赦ください💦

    #煉猗窩

    シロツメクサの君えーん、えーん。
    みな、どこー!


    泣き声がした。
     
    公園に遊びに来ていた俺は
    助けに行かなきゃと思って走り出していた。

    だって、俺は来年には小学生になるし、なによりもうすぐお兄ちゃんになるのだ!

    入院中のお母さんが言ってた。
    困っている人を助けることができるように優しく強くなれと!

    わんわんと泣いている子を見つけた。
    ピンク色の頭のとても可愛い子だった。

    「君!どうした!?」
    「みなが、いな、いのっ!」
    「迷子か?名前言えるか?」
    「あっくん」
    「そうか、あっくんか!
     俺は杏寿郎だ、大丈夫!俺がみんなを一緒に探そう!」
    「きょじゅりょ?」
    「うむ!では、あっくん。
     みなというのはお母さんか?お父さん?」
    「はっくんと、おとさん」
    「はっくん?」
    「うん!おれとはっくんは、えと、ふたごなの!」
    「そうか!
     じゃあ、はっくんとおとさんを探そう!」
    「うん!」

    泣き止んでくれたあっくんの手を引いて探しはじめるが、ここはとても広い公園でなかなか見つからない。
    だんだんと顔が悲しそうになるあっくんを見ていて

    「あっくん、少し休もう!
     きっとはっくんやおとさんも君を探している。
     無理しちゃだめだ」

    そう言って一度休むことにした。

    お父さんが言っていた、急がば回れと!
    無理はダメだって。

    あっくんをベンチに座らせて、彼が持っていたお茶を飲んでいてもらっているとき、
    俺は目の前にあるものがありそうだということに気がついた。

    「あっくん、おいで!」
    「うん?どした?きょじゅりょー」
    「探しているものがあるんだ、一緒に探してくれないか?」
    「うん!」

    探しているのは四つ葉のクローバー。

    お母さんが言ってた、幸せを運んでくるというそれを
    あっくんに見つけてあげたくなったのだ。


    だが…

    「ない…」
    「にゃいね…」

    三つ葉ばかりでなかなか見つからない。
    これでは、逆効果ではないか!?
    と焦り始めたときだった。

    きらりと光ったように見えた場所に手を伸ばすと
    そこにあったのは

    「「あったっ!!」」

    四つ葉のクローバーが二つ。

    俺とあっくんは一つずつ摘み取る。
    あっくんがとても嬉しそうに笑っていて俺も嬉しくなる。


    「あっくん!これは幸せを連れてきてくれるんだ」
    「しあわせ?」
    「ええと、楽しくて、嬉しいことが起こるお守りだ!」
    「じゃあ、あげりゅ!きょじゅりょーにあげりゅ!!」
    「じゃあ俺が見つけたのはあっくんにあげよう!」


    そうやって交換したときだった。


    「あっくん!!」

    あっくんそっくりだけど髪の毛が黒色の子と二人のお父さんらしい人が息を切らした状態で走ってきたのは。

    「はっくん!おとさん!!
     きょじゅりょー、すごい!本当にいいことが起きた!!」


    ニコニコになったあっくんを見て俺も胸がポカポカした。可愛いなあと思いながら。





    それからあっくんは、はっくんとお父さんと帰っていった。

    だが、すぐに引き返してきて

    「えとね、ありがと、って言わなきゃってもどって来たの」
    「あっくん。
     君は偉いな」
    「えへへ。
     きょじゅりょーありがと、ね!
     あのね、あっくんね、きょじゅりょーだいすき!
     また、あそんでね
     でね、でね!
     おれをきょじゅりょーのおよめさんにしてね!」

    と言うと、あっくんは俺の唇にちゅっとキスしてきた。

    「やくそくーー!!」

    手をぶんぶんと振って今度こそあっくんは帰っていった。



    俺は顔を真っ赤にしたままそれを見送るしかなかった。



    およめさん?

    あっくんがおよめさん?

    ということは

    あっくんと俺が結婚?


    で、あれは


    誓いのキス????



    「やくそく、かあ……
     うん、約束だぞ。あっくん」

     


    煉獄 杏寿郎。
    6歳、初恋に落ちた瞬間だった。













    「煉獄ー、そろそろ帰ろうぜ」
    「そうだな、キリも良いしこの辺にするか」


    あれから何度あの公園に行っても会えないまま
    高校生となった。

    彼との思い出の証拠は四葉のクローバーのみ。

    あの約束など
    もうきっと忘れているだろう。

    無理もない、彼はおそらく2、3歳くらい。
    きっと遠くから来ていたのだろう。
    あの公園は国立公園として有名だ、近くに住んでいるとは限らない。


    俺はそう自分に言い聞かせていた。


    「なんだよ、またシロツメクサの君を思い出してるのかよ」
    「む…、顔に出ていたか」
    「おう!思いっきりな」

    親友である宇髄にだけ話したことのある幼い初恋。

    だが、俺にとってはずっと続いてる恋なのだ。


    不思議なほど、ほかの誰にも心が動くことがなかった。
    ある意味、執着と言って良いほどの恋だと自覚はしている。


    「早く会えるといいな」
    「うむ!」

    どんな形であれ、一度会えたならば
    この恋心にピリオドをつけられるだろうと思ってはいる。

    初恋は実らないものだ。
    だがせめて


    覚えていてほしい、そう願っている。




    宇髄と帰った日の夜。

    もう朧げになってきている彼のことを、それでも忘れたくないと、 
    机に飾っている四つ葉のクローバーの写真を見ては想い出を心に刻む。

    「母さんがいたらしおりにでもしてくれただろうが、
     写真で我慢してくれ」
    と言ったあの日の父の優しさも思い出しながら。


    「さて、借りてきた本でも読むか」


    図書室から借りた本を読み進めていくと途中に栞が挟まっていた。
    何気なくそれを見ると俺は驚きのあまり固まってしまった。

    「こ、れは……」



    栞には四つ葉のクローバーの押し花がラミネート加工されており

    そして

    『たからもの あかざ』

    と書かれていたからだ。



    「あかざ……、あっくんだっ!!」

    あの時のあっくんだ!間違いないっ!!

    慌てて後ろの貸し出し記録を見るとそこには
    『中等部1-B 素山』という記載があった。

    まさか、同じ学園にいたとは思わなかった。
    自分は高等部の一年生。
    中等部と高等部は同じ学園にあるとはいえ、校舎が異なり普段はあまり行き来がない。

    「灯台下暗しとはよく言ったものだな」

    こんなに近くにいたとは。






    居ても立っても居られず、正直本の内容も頭に入ってこない俺は翌日に本を返しに図書室へと向かった。


    本を返す前に、図書室に入る桃色に気づいた俺は急いで、だが静かに近づく。
    彼が向かったのはこの本が並んでいた奥の専門書の棚。

    心臓はバクバクと忙しなく動いていたが、頑張って冷静に向かった。


    「ない……、誰か借りてる?
     一体誰が………、どうしよう…」

    あの日とは違う声。
    だが、変わらない桃色の髪と、綺麗で可愛い横顔。

    ゆっくりと深呼吸し、心を定めて俺は一歩踏み出した。


    「君、どうした?」
    「え……、う、そ……、そんな、まさか」
    「俺は煉獄 杏寿郎。
     高等部の一年生だ。
     ……ずっと君に逢いたかったんだ、あっくん」

    そう言いながら、俺は四葉のクローバーの写真と栞を差し出した。

    「杏寿郎……、本当にあの時の杏寿郎なのか?」
    「うむ。探したぞ、俺の花嫁さん」

    その言葉に真っ赤になった彼を場所も何も考えず抱き寄せる。
    赤い耳元にもう一度囁いた。

    「ファーストキス奪っておいて
     あの約束、反故にするのは許さないぞ。
     もう離さないからな、猗窩座」
    「な、名前、どうして!?」
    「君の四葉が教えてくれたんだ。
     幸運をもたらす四葉のクローバーがな」

    栞のことを思い出した猗窩座はそれ以上何も言えずただ杏寿郎の腕に抱かれていた。


    「それで、約束は有効だろうか?」
    「………杏寿郎からしてくれたら、有効にする」



    可愛い。
    可愛い。
    可愛い。



    気がついたら俺は彼にキスしていた。
    だが、そのキスはあの日のような幼い子どものそれではなく、しっかりと堪能するように重ね合わせていた。



    「………再会したばかりだが、俺は君が好きだ。
     ずっと、あの日から君だけを想ってきたんだ」
    「俺も……同じ…。
     ずっと好きだった、杏寿郎のことが」
     


    初恋は実らない、なんて迷信だな。
    と心の中で思った。

    いや、二つの四葉のクローバーが幸せを運んできてくれたおかげなのかもしれない。





    こんなにも愛らしい人が、俺の花嫁さんになってくれるのだから。





                  【了】
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