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    まリな

    @mari_feh1262

    えちちがおおい。

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    まリな

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    クロードとエクラ♀の話。
    学パロ。

    クロエク どうしてこんなことになってしまったのだろう。不運な自分を呪う、いやむしろ呪いたい、今すぐに。

    学校の資料室の片隅に、わたしはいた。資料室にはたくさんの本が置いてある。とても興味深いものばかり。例えば、人はなぜ人を愛すのかという本や誰かが置いていったであろう、色とりどりの付箋が付いている自己啓発の本。きっとこの持ち主は付箋の所を何度も読み直したのだろう、あらゆる文章に黄色のマーカーが引かれている。
    資料室の片隅にある小さな本棚にはわたしが日々疑問に思っている本が集められている。まるでわたしの為に用意してくれた本棚のようだ。これを学校が終わった放課後、こっそり独りで見るのが日課になっている。
    もともと、わたしはここの生徒では無い。この学校には、この間…3ヶ月くらい前に転入してきた身で、担任のベレト先生が「本が好きなら資料室に行くといい」と教えてくれたのが、ここに通う理由だ。

    コミュニケーション能力が低いわたしにベレト先生は親身になってくれている。ベレト先生だけではない。金鹿の学級の級長もそうだ。
    だけど、級長はいわゆる陽キャというやつに近い。だって、見てみれば分かる。小麦色の肌に白い歯。絶対リア充しているし、青い春を経験しているに違いない。弓道部の部長だし、学級をまとめる才能の持ち主だ。わたしには全く無いものをたくさん持っている。
    そんな級長が今、わたしの目の前にいる。

    「これエクラが読んでる本か?どれが面白い?」
    「いや、あの…その…」
    「これすっごい年季入ってんなぁ、エクラのか?」
    「そ、それは誰かの忘れ物で…」
    「へー。でも読んでるんだろ?すごいな、よくそんな分厚い本…」

    もう帰りたい。どうして突然級長が資料室なんかにいるんだ。しかも距離が近い。級長のまつ毛長い…いやいやそうじゃなくて…。
    どうしてわたしはこんなにもドキドキしているのだろう。不思議だ。
    級長は、あらゆる本を見たあと、わたしが今読んでいる「人を好きになるとは」という題名の本を手に取った。人を好きになる、なんて誰でも出来るのに、こんな本を読んでいるなんて級長にバレたらきっと笑われる。「こんな本読んでんのか?陰キャかよ」と。きっとこんな風に笑われてしまう!普通にしていよう、至って普通。わたしはこんな本読んでません、という顔で…。

    「ふーん。自己啓発っていうやつか?これ、あんた読んでるだろう」
    「え!?な!なんで分かったんですか…」
    「俺と話してる間、かなりこの本を見てたからな、多分そうかなって」
    「ひえ」

    もうダメだ。恥ずかしい。恥ずかしくて爆発しそう。どうしてこんなことになってしまったのだろう。不運な自分を呪う、いやむしろ呪いたい、今すぐに。
    級長はわたしの愛読書を開き、パラパラとページを捲る。その後少し目を通した後、本棚に戻した。その間、級長は全くわたしを笑ったりしなかった。

    「きゅ、級長」
    「ん?」
    「あの、笑わないんですか?」
    「なんで?」
    「えっと、その…」

    笑われるかと思っていました、と素直に言ってみた。人を好きになるのは簡単だと前の学校の人たちは口を揃えて言っていた。前の学校はわたしみたいな根暗は一人もいなかった。陽キャばかりで、いつも独りだった。まるで空気のような存在のわたしが両親の事情で引っ越すことになった時も、クラスメイト達は「エクラって誰?」という感じだった。
    転校した学校でもきっと独りだし、もうこのままでいよう!と思ったけど、わたしはここで変わるのかもしれない。

    「人を好きになるって難しいよな。わかる。あんたとは気が合いそうだ」
    「…えっ、」
    「俺は真面目に勉強してる奴を笑ったりしない」


    級長はいい人なのかもしれない。


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