辛い「赤くないのにな……」
そう呟いた脹相のこめかみに一筋の汗が流れた。
ピリ辛を想像して頼んだラーメンが想像以上に辛かった。透き通ったスープはさっぱりとした口当たりを思わせる見た目をしていたが、鋭い辛味が味蕾と喉を刺激し、一口ごとに止まる箸に対して水を飲む手が止まらなかった。
脹相のただならぬ様子にメニューを改めて確認した悠仁が納得する。
「あ〜青唐辛子か。コレ見た目より辛いんよな。続き食おっか? 俺のと交換する?」
大盛りのチャーシュー麺の丼を寄せようとした。
「自分で食べる……。俺はお兄ちゃんだからな……」
「えー……責任感つよ。だいじょぶかよ。つらくなったら言ってな。あ! スミマセン! お冷やおかわりくださーい!」