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    miyu_hoshiya

    @miyu_hoshiya

    書いたものを投げるところ

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    miyu_hoshiya

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    SMSS WEB ONLY 7用

    ##さまささ

    水も滴るなんとやら ぶうぶうと煩く震える携帯端末をがしりと掴んだ左馬刻は、画面に表示されている名前に一瞬通話のボタンをタップする指を止めた。外はごうごうと音を立てて鳴る風とバタンバタンと叩きつけてくる雨の音で煩い。
     嫌な予感がしつつも最早この男からの連絡を無視するという選択肢が存在しない左馬刻は、寝起きで重たい頭を抱えて通話開始のボタンを押した。
    『左馬刻~~、新幹線止まってもうた!』
    「何日も前から止まるってたろ、ダボ」
    『仕事やからしゃぁないやん』
     自宅で大人しくしておけるものならしておきたかったとぶうぶうと電話口で口を尖らせる簓に、左馬刻は「それで?」と話の流れから分かり切っていることをそれでもなお尋ねた。
    『これから左馬刻の家、行ってもええ?』
     まだ探せば空いているホテルもあるだろうに、わざわざ自分へ連絡を寄こしてきた簓の可愛げに免じて男は「おう」と短く答えるとベッドから起き上がる。車や人でごった返しているだろう駅へ真正面から迎えに行くのは自殺行為だろうか。
    「まだ駅にいんのか?」
     通話をスピーカーモードにして手早く着替え、身支度を整えていく。
    『あ~~、ん~~、ちょいまってなぁ』
     ぎゃっ、傘使い物にならへんやんという叫び声と共にスピーカーから聞こえる音が荒くなる。どうやらこちらの話も聞かずに外へ出たらしい。
    「おい」
    『あんな、もうちょいで左馬刻んちやから、着いたらピンポンするわ!』
     じゃっと言うだけ言ってブチリと切られた電話は、空しくつうつうと鳴くばかりだ。この大雨のなか濡れネズミになって現れるだろう男を迎えるため、左馬刻はお湯張りのスイッチを強めに押した。
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    recommended works

    KaraageMitsu

    MOURNING #ルクヴィル版ワンドロワンライ60分1本勝負


    【秘密】


    時間内に書けなかったので。




    *****************
    『願いが叶う赤いリンゴ』

    それは、伝統あるポムフィオーレの寮長が、代々受け継ぐものの一つ。

    「ヴィル、少し話があるんだけどいいかな?」

    外の仕事から戻ってきて、そろそろ一時間ほど経っただろうか。
    恐らくこれぐらいの時間であれば、ヴィルの白く美しい肌を保つための入浴を済ませ、柔らかな表現を可能にするためのストレッチも終えた頃合い。

    留守の間にあったことを報告するために、彼の自室を尋ねるが一向に出てくる気配がない。

    「ヴィル?」

    私の隣にあるヴィルの部屋の扉が開く音がしたのは、一時間前の一度きり。
    つまり、再び出かけたとは考えにくい。

    …となれば、残された場所は一つ。

    鏡台の一番高いところに成る艶やかで美味しそうな赤い禁断の果実。
    その果実に手を伸ばし、優しく撫でるとゆっくりと沈み込みカチっと何かにはまる音がする。

    「やはりここにいたんだね、ヴィル」
    「…ルーク」

    姿見の後ろの壁に隠された小さな小部屋。
    そこにヴィルはいた。

    願いを叶えるリンゴがもたらしてくれるのは、大釜や珍しい薬品など。
    願いを叶えるために最終的には自らの努力が必要という辺りが我が寮に相応しい部屋だ 1286

    KaraageMitsu

    DONE『名前を呼ぶ声』
    #ルクヴィル版ワンドロワンライ60分1本勝負





    ****************
    「で、今日はどこで油を売ってたわけ?」
    「オーララ。そんな険しい顔をしていては、せっかくの美貌に翳りが出てしまうよ?」
    「…誰のせいよ」

    明日の寮長会議に提出するために、今日中に仕上げなくちゃいけない書類があってルークを呼んでいたのに……。

    「私のせいかい?」

    きょとんと大きく目を見開き小首を傾げてみせるルークに、思わず口から漏れるため息で肯定をしてしまう。

    「つい、珍しいものがいたから、学園の外の森まで追いかけてしまってね」
    「外で暴れたなら、アタシの部屋に来る前に、きちんと身をきれいにしてから来てるわよね?」
    「もちろんシャワーは済ませてきたよ。キミと約束していたから、これでも急いで駆けつけたのだけどね…」

    約束をしていた時間は3時間前のことで、ルークは来ないと判断して仕方なく一人で山積みの資料を纏めて一枚の企画書を作り終え、いつもより遅くなったストレッチとスキンケアを手は抜かずに、けれどなるべく急いで済ませ、後はベッドの中で身体を休ませるだけといったところだったのに…。

    「…アタシは、もう寝るから」

    部屋から出て行ってと少し睨みつけるような視線を投げかけていたけれど 1344