逢瀬はまどろみのなかで「先生、今日はありがとう!」
隣にいる悠仁はちょっと覗き込むように僕をみあげると、二カリと眩しいくらいに笑った。
「どういたしまして。楽しかった? 初デート」
と僕も笑って問いかければ、悠仁はほんのりと頬を染めて、「へへ、うん!」と大きく頷いた。
それに年甲斐もなく心臓の辺りがむずむずとして、繋がった手にきゅうと力を込めれば悠仁は一瞬、動きを止めて。けどすぐに子どもがするように、ぶんぶんと大きく手を揺らす。
「でもさ、先生が食べたがってパンケーキ屋、人がいっぱいで行けなかったの残念だったね」
「平日でもあんなに混むんだね~。けど、その代わりにおいしいたいやきに巡りあえたから結果オーライだよ」
「えー、でも先生、めっちゃ楽しみにしてたじゃん。それに、俺も食べてみたかったし」
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