リレー小説・ショタおね→歳の差五夏♀ ②東京の某有名大学に入学した僕だったが、大学デビューに浮かれる同級生たちの喧騒にはイマイチ乗り切れないでいた。
わざわざ東京で進学したのは、やはり子供時代の初恋が引っ掛かっているからなんだろうか。近所に住む9歳年上のお姉さん。あの頃の全てだった彼女の面影を僕は今でも探している。
どうしてもとせがまれて新歓コンパに顔を出してみたものの、やはり退屈なだけの馬鹿騒ぎだった。
宴会場の中央では、一気飲みのコールがかかっている。未成年ばかりのはずなのによくやるよな。呆れ返った僕が部屋の片隅でウーロン茶をちびちび飲んでいると、女子数名が群がってくる。
全員ケバい化粧に露出度の高い服。面倒なので包み隠さず舌打ちをしてやると、不機嫌な顔も超イケメンじゃ〜ん!と黄色い声が上がる。はあ、一応、有名大学なのに内部進学のバカ女たちはこんなもんか。クソかよ。
黄金色の液体で満たされたコップを無理やり手渡されそうになり、
僕はビールは飲まないけどと突っぱねる。かわい~!じゃあカルピス飲みなよ~!と、ピッチャーから白い液体を注がれる。僕は甘いのは好きなので、まあいかと口をつける。これを飲んだら帰ろうと思いながら一気に飲み干すと、カァッと身体が熱くなり、頭がぐるぐると回り始める。
あ、もしかしてコレ、カルピスサワー?と気づいた時には、テーブルに突っ伏して、意識はドロドロに混濁していた。
ごじょーくん寝ちゃったよ~!?
このままお持ち帰りしちゃおうよ!
こんな超絶イケメン食うの初めて~♡
もうっ、みんなで変わりばんこだからね♡
クソ女どもの甲高い声が耳をつく。
何を話しているか、もう僕には理解できない。ただ、不愉快な話題であることだけは確かなようだ。
ほら、ごじょーくん立って♡
介抱してあげるね♡
これから、みんなで気持ちいいことしよ♡
女どもに支えられて無理やり歩かされる。香水の甘ったるい匂い。生理的な嫌悪感が走る。クソ、やめろ……。
虫唾が走るような不愉快さに飲まれながらも、今の僕に抵抗する力は残されていない。
「やめ……ろ……。やめて、くれ……」
やだ〜♡やめな〜い♡キャハハハハ♡
悪魔のような高笑いに、僕は絶望するしかない。そんな時だった。
まったくクソ女どもとはまったく異なる、凛とした声が響いた。
「あなたたち何してるの?その男の子、嫌がってるじゃない」
静かで心地良いその女の声を僕はよく知っていた。
10年間忘れられなかった、懐かしくて優しいあの声だったーー