やきもち 近頃、鍾離が望舒旅館へ来なくなった。忙しいのだろう。元々岩王帝君であった頃も、年に一度、生辰の祝いの席以外では基本的には会うことはなかった。鍾離が凡人になってから会い過ぎていたのだ。ぱたりと途絶えた鍾離の往来に、胸の内がぽっかりと空いてしまったような気すら感じる。
自分から璃月港に行けば、いつでも鍾離は歓迎してくれるのであろう。しかし用も無いのに訪ねるのは、些か敷居が高過ぎる。
鍾離様にお会いしたい。
そんなことを思ってしまう自分に嫌気が差した。そう思うのは、精神の鍛錬を怠っているからだと思い、今日は降魔の合間を縫って修行に励むことにした。
しかし、空いた穴は塞がらない。鍾離は今日も来なかったな。などと思ってしまう。
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