そういうところが好きなんだよね「イデアくんイデアくん、ちょっとピクニックに行かない?」
「はい?」
カタカタとパソコンを打つイデアに、そっと声をかける。
イデアの部屋に来るのは、まだ数えるほど。
けれど、こうして部屋に遊びに来られるようになったのだと思うと、ケイトは胸の奥がほんの少しだけ温かくなる。
先程までメンテナンスをしていたオルトは、映画研究会の活動があると言って外出してしまった。
夏も終わりに差し掛かり、多少暑さも残っていながらも日差しは和らいできている。
時折、風が涼やかな香りを運んでくる。
もうすぐ秋だ。
「このクソ暑い中、ピクニック…?正気…?」
顔を引き攣らせ、ものすごく嫌だという顔をしていた。
1993