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    かなむら

    ランヴェメイン。たまーに書いたり基本ROM専

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    かなむら

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    小説フォルダに残ってたモブ×としこ。
    勿体ない精神で供養

    #としこ

    さよなら、初恋。【モブ×としこ】カツカツと足音がするなぁ、と思っていたら僕のいる教室の前でその足音が止まる。
    僕は(あの人が来てくれればいいのにな)なんて思いながら、ガラリと開かれた扉の方を見て、静かに息を飲んだ。

    「……残ってる生徒はっけーん。」
    何をするでもなく、教室の椅子に座りぼうっと窓の外を見ていた僕に声がかかる。
    「……としこ、先生……」
    「残ってる生徒が居ないかの見回り兼鍵閉めしてたんだけど」
    としこ先生は僕の顔を見るやいなや、再びカツカツと足音を立てながらこちらに向かってきて__
    「悩み事あるなら聞くぜ?」
    僕の真向かいの席に腰を下ろした
    「……っ、」
    としこ先生の、ブラウスに覆われているむちっとした肌に、無意識に生唾を飲み込む。
    __ああ、としこ先生は純粋に心配して声をかけてくれているというのに__。
    僕の頭の中で幾度となく自分が劣情を向けられ犯されてるだなんて思いもしないだろう。
    「その、悩み事じゃなくて、」
    「うん」
    「僕、今日、誕生日で」
    「そうなのか?おめでとう」
    にこやかな笑みと言葉を向けられて、胸の奥がじんわりと温かくなる。
    だけど、それだけじゃ足りなくて__。
    「先生、僕、誕生日、プレゼント、欲しいです」
    緊張からから、途切れ途切れに発した言葉に、
    え、と先生の戸惑う声が聞こえたけれど、僕は勢いに任せて椅子から立ち上がる。
    そして。
    「すみません」
    そう言って、無防備に開いてる唇に自分のそれを押し当てた。
    触れていた時間は一瞬で。
    キスとも言えないキスで。
    「先生、さようなら」
    また、明日、とカバンを抱えて足早に教室から出ていく。
    「__俺のだからな」
    教室から出た時に、扉に寄りかかるようにしていた人物の呟いた声を拾ったけれど、僕は振り返らずに昇降口に向かっていった。

    _さようなら、僕の初恋。


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