臨職『魔法少女』ただし期限未定『魔法少女』という存在がいる
世間を騒がせる、超自然的な力を持つ敵と戦い、鎮め、街を守る存在
フリフリキラキラした衣装で、昼に夜に町中駆け回って敵と戦う
言ってしまえば治安維持と、ほんの少しのプロモーション的な職業だ
『魔法少女』と言うだけあって、この職業には基本的に10代半ば〜後半の女性が就くことが多い
そんな年齢の子供(しかも女の子)に危険な労働をさせていいのかという議論は定期的に起きる
本当にその通りだと思う
が、適性に当てはまりやすいのがその年齢の少女達なのだという
不思議なものだ
まぁ、その魔法少女だが、実は男性がなることもあるし、女性であれど、20代30代で適性となることも無くはない
が、やはり少ないので
基本的に少女と呼ばれる職業に、男性、しかも20代が選ばれることの方が稀なので
(あっても10代がほぼらしい)
そう、そんな稀な存在として選出されてしまったので
「俺が…魔法少女…????」
世界観の説明という多少なりともメタな現実逃避をしてしまったのは、許して欲しい
***
名前はロナルド(あだ名だが)、歳は20代前半、職業小説家
そんな俺が魔法少女に選出されて早1週間
幸いにも未だ敵は現れず、本職を進めながら魔法少女の基礎について勉強をしている
魔法少女というものは、何より適性により選ばれるので、いくら希望してもなれない場合と、全く希望してないのになってしまうことがあるという事を学んだ
俺なんかは全く希望していない…というか、なるとかならないとか考えてもいなかったのに、急に選出されたクチだ
成人してからこんなことをやることになるとは普通思わないよな
少なくとも俺は考えてなかったし思わなかったから、通知書を見て面食らった
俺みたいに別になりたいって希望してなくてもなってしまった場合でも、魔法少女としての適性が外れるまで否応なく敵は現れるので、戦うしかなくなる
これは義務ではない
が、恐らく逃げることは出来ない戦いなので
本来守られるべき年齢の少女達ではなく、比較的強い(筋肉だってある!)自分が選ばれたことに感謝すべきなのだろう
「とりあえず、原稿するか…」
カタリと開いたPCの画面が、今日も悲しいほど白いのだった