オトナだってもとコドモ電車から降りて目の前にいたのは、かつての尊き青春時代の親友だった。
その年代の平均よりは高い身長に分厚く締まった体、それでも今の五条よりよほど低くて薄い体。
まだ子どもの夏油傑。
「えっ…悟…?」
驚きで見開かれた表情と、戸惑う声にも幼さが残る。
五条のよくできた目と頭は即座に状況を把握し、これが幻覚でも罠でもないと結論づけた。
いわゆるタイムワープなんちゃらとかなのかもしれないが、それすらも今は些細なことだ。
あの日引き裂かれる想いで手にかけた、たったひとりがここにいる。
アイマスクをしていて良かった。
きっと今の自分はとてつもなく恐ろしいぎらぎらとした視線で、お団子のてっぺんから地下足袋の爪先そして理想に輝くまだまろいその魂まで舐めしゃぶっているから。
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