仕事終わりに先輩を宅飲みに誘うと、お酒弱いけどそれでも良いならと了承してくれた。
帰りにコンビニに寄ってお酒とおつまみ、お菓子も買えば宅飲み開始!明日は休みだから二日酔いとか気にしなくていいし。
仕事でうまく行かなかったことや愚痴をお酒の勢いにに任せて吐き切ったサニーは、今床で寝ている。
まぁ結構飲んでたし当たり前か、と数本の空き缶と半分を切った日本酒の瓶を見る。
眠気覚ましにグラスにあった飲みかけの水を飲み干し、片付けないと、と立ち上がる。
サニー、直にフローリングで痛くないのかな。
クッションを持ってきて彼の頭の下に差し込んだ。
にしても、んへへ。寝顔幼くてかわいいなぁ。
ほっぺをつんつんしても起きる様子がないことからぐっすり眠っていることがわかる。
気持ちよさそうだなぁと、微かに上下する身体に耳を当てればトク、トク、と規則正しく鳴る心臓の音に安心する。
僕も眠くなってきたなぁ…あ、部屋片付けないと…でも、今きもちぃから…もうちょっとだけ…この…ま…ま……
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「ん、んん…重…って、ぇえ!?せ、せんぱい…?」
身動きのできない身体を不思議に思い、視線を下へ向けると先輩の顔がすぐそこにあって。
びっくりして大きい声が出た。いや、出ないほうがおかしいだろ。
んんぅ、と少し顔をしかめた先輩に、起こしたかと焦ったがまた静かに寝息をたて始めたから安心する。いや、は?え?どういう状況?…俺の上で先輩が寝てるのはわかるけど、いやそうじゃなくて、なんで先輩は俺の身体を枕にして寝てんのかってこと。寝起きの回らない頭でぐるぐると考える。
いや、待て。
推しのご尊顔を、しかもレアすぎる寝顔をこんなガチ恋距離で見れる好機滅多とないよなと思考を放棄して先輩の顔をまじまじと見る。長い睫毛やすっと通った鼻筋、小ぶりな口に改めて綺麗さを実感する。まじ黄金比。それに寝顔だといつもより少し幼く見えて心がきゅんってなった。は〜〜可愛すぎ。てか今の俺、世界一の幸せ者すぎるだろ。前世でめっちゃ徳積んだんだろな。ありがとう前世の俺。ありがとう今世。ありがとう先輩のご両親。先輩は今めっちゃ可愛い寝顔を後輩に晒してます。ありがとう世界。あれ、今思ったけど、誰彼構わずこんなことするってこと?危機管理能力無さすぎじゃない?先輩可愛すぎるし心配だな。皆惚れるだろこんなん。
幸せを噛み締めながら、でも、ずっとこの姿勢じゃ先輩もしんどいよなとも思う。
「シュウ先輩、ちょっと失礼しますね」
「んん…ぅ…さにぃ…?」
んああ〜〜〜!!かわいい!!!ふわふわな先輩可愛すぎる。
所謂お姫様抱っこをしようと身体を持ち上げればふわっと香る先輩の匂い。
お酒に混じる石鹸の優しい匂いに、深呼吸して心を落ち着かせる。
ジャケットとネクタイを取りベッドに寝かせた。
リビングに戻り、おつまみやお菓子の袋、空き缶をビニール袋に入れて片付けていく。
グラスを洗っててふと思った。
「あれ?俺日本酒飲みかけじゃなかったっけ?」