昼時。
アイクと某ハンバーガーショップで昼食をとっていたら、ペトラたちが隣の席に来た。
色んな話をしていると流れは恋愛方面へ。
まぁ、女子が集まれば自然とそういう話になったりもするよね。
そう思いながら黙々とハンバーガーを頬張る。
「…ゥ、シュウ、聞いてる?」
「ん?ご、ごめん聞いてなかった。何?」
「だーかーら!シュウは気になる人いるの?」
「えっ!?い、いないよ。そういうの分かんなくて」
「ふーん、つまんないの」
突然こっちに振られてびっくりしながらも事実を応える。
やはり期待には添えなかったみたいだが、そういった話題は僕には縁遠い話だと思う。
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食べ終えて会社へ戻る途中、アイクが口を開く。
「さっきの話だけど、ほんとにいないの?」
「しつこいよアイク。僕がそっち方面に興味がないことも知ってるでしょ」
「うん。でもさ、じゃあ
サニー君のことは?」
「は?」
頭の中が?で埋まる。サニー?な、なんで?どこから出てきたの?
アイクが何を言ってるのか分からなくて思わずその場に立ち止まってアイクを見ると彼も驚いた顔をしていて。
「え。嘘でしょ…いや、まさかとは思ったけど…えぇ…そんなことある?」
僕が本当に分かっていないと解るとアイクは口を開いた。
「君は手助けした相手からのお礼は貰わないでしょ」
別にお礼のために手を貸してるわけじゃないし。
「じゃあなんでサニー君にお昼ごはん奢ってもらったの?君、そういう性質じゃないよね」
確かに。
「それに、シュウは飲みに誘ってもほとんど来ないじゃん。しかも宅飲みは迷惑かけるかもしれないから行かないって言ってたよね?
サニー君に君の家を聞かれたときはすっごく驚いたよ。迎えに行ったら寝てるし。僕達同期より気を許してるじゃん」
それは…ごめん。
「別に謝ってほしいとか、間違っても嫉妬とか、そういうのじゃないよ。
興味ないって言ってたし、無自覚かもしれないんだろうけど、それでも君にそういった人ができるのは良いことだと思うし。
あ、あとねサニー君のこと見すぎ。彼が君を見る前に逸らしてるし、彼自身も鈍そうだから気付いてないと思うけど。わかりやすすぎてヴォックスもミスタも苦笑いしてたよ」
言われてみれば思い当たる節しかなくて。
無意識でもそういったことをしていたことが、そしてそれを第三者は気付いていたことが、何となく気恥ずかしい。
つまり、僕は、サニーが気に、なっている。それは好き…ってことで。
初めての感覚に戸惑いもあるけれど。
これが好き、かぁ。
言葉を与えられた途端にふわふわしだす感情に心が擽ったくて面白い。
「シュウ先輩、この書類チェックしてもらっても良いですか」
「さ、サニー!?う、うんわかった見ておくね!」
前言撤回。
サニー相手だと心臓がドキドキして目も合わせられない。以前より彼のことが気になって仕方がないし、もしこれが恋心に因るものだと言うなら、こんなにもむずむずして仕事に支障をきたしそうなもの知りたくなかった。
午後からの仕事はあまり覚えてない。