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    mayooh07Z

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    mayooh07Z

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    ねこの日!!
    ねこまた善逸くんの炭善設定で、書きかけの話です🐈続きはありません

    ねこもふもふしたい…

    ねこを愛せよ(もっと愛して) 駆け寄ってきた金色のかたまりは、俺の腰あたりに飛び付いた。咄嗟に両腕を広げて受け止める。柔らかい体がぐにゃりと曲がって、俺の腕の中に収まった。
    「ただいま、善逸」
     彼の名は善逸。俺の猫だ。じゃあなぜ言葉を交わすことができるのかと言うと──彼は、猫又、というやつなのだ。

    「たんじろ、服冷たい……」
    「あ、ごめんな。コート冷たいよな、脱ぐよ」
     外の冷気をたっぷり含んだコートは、随分冷えてしまっていた。善逸は毛が豊かだが、つまりその分寒がりなようだ。俺の温かい手にいつも嬉しそうに擦り寄ってくる。
     俺は急いでコートを脱いで、セーター姿で再び善逸を迎え入れた。手を洗って、冷蔵品を冷蔵庫に入れて、ソファに座ってさあと腕を広げると、善逸が弾丸のように飛び込んでくる。柔らかく背中を撫でると、つやつやの毛並みが気持ち良い。黄色にオレンジ色が混ざったような善逸の毛は、本当に金色に輝いているようだった。


     いつから、とかどうやって、ということは善逸自身も分からないらしい。ただいつの間にか尻尾が分かれていて、不死の体と人間と同じ言葉を手に入れていたという。不思議な話だ。
     善逸は元々、隣の家の桑島さんのところの猫だった。しかし、桑島さんが腰を悪くしてしまい、施設療養を余儀なくされたとき、一番に心配されたのは善逸のことだった。

     善逸の世話をするのに、俺は真っ先に手を挙げた。既に家を出て一人暮らしをしていた俺は、善逸と一緒に暮らすのに何の問題もなかった。それに──きっと、善逸が猫又であることを知っているのは、桑島さんを除いては俺だけだった。
     桑島さんもそれを気付いていたのだろう、善逸の世話をさせてほしいと頼みにきた俺におおらかに頷いて、「炭治郎くんなら安心じゃ」と言ってくれた。善逸はしばらく寂しそうだったが、今ではすっかり、俺のところで伸び伸び過ごしている。

    「善逸、今日は夕飯はどうする?」
    「ううん、じゃあ炭治郎と同じものがいい」
    「分かった」
     じゃあ、ちょっと待っててな、と台所へ立つ。すると、善逸もとことこと後を着いてきた。おや、珍しい。いつもは、寒いからとホットカーペットの上でぬくぬくと丸まっているのに。
     この家で一番寒いのは台所だ。そこまで着いてくるなんて、今日はよっぽど寂しかったのか。
    「炭治郎、お願いがあるんだよお」
    「ん?何だ?」
     足元にくるりと尻尾が巻き付く。そのまま締め付けたり、緩めたりと忙しなく動く尻尾に、俺はさてはと思う。
    「今日はしっぽがさあ……うずうずするんだよう……」
     やっぱりか、と小さくため息をつく。最近善逸は、こういうことが多い。……可愛い猫の頼みを断れる訳がない。
    「分かった、ご飯の後でな」
    「にゃあ!ありがと!炭治郎!」
     そのまま足元でくるくると回る善逸をいなしつつも、どうにか八宝菜を作り上げる。善逸が好きな海鮮多めだ。味付けはちょっと薄め。
    「ほら善逸、運んで」
     盛りつけた皿を見せると、善逸はぷるぷると体を震わせ、待ちきれないとばかりに宙返りをした。
     ぽん!
     その瞬間、そこには五歳くらいの男の子の姿が現れる。
     ふわりと舞う金髪は、部屋の明かりを反射してきらきら光る。先程までいた猫の毛並みとそっくりだ。
    「おいしそう!早く食べよ、炭治郎!」
     うきうきと皿を受け取った善逸は、尻尾をふりふりしながらテーブルへと歩いていった。その頭の上には、綺麗な金色の耳がついている。

    「いただきまあす!」
    「いただきます」
     猫又の善逸は、こうして簡単に人間の姿になることができる。それはとても便利だし、すごいことだ。猫の姿の善逸もとっても可愛くて好きだが、子どもの姿の善逸ももちろんすごく可愛い。小さな紅葉みたいな手でぎゅっと抱きついてくるのも愛おしい。
    「ん〜、おいひいにゃあ」
     頬を緩ませてスプーンを口に運ぶ姿に、こちらも笑顔になる。
    「喜んでくれて嬉しいよ」
    「炭治郎のつくる料理は、ぜーんぶおいしい!」
     この可愛い猫は、一般的な猫のえさよりも人間のご飯を好む。しかし猫の姿では猫の消化器官でしかないので、ご飯を食べたいときは人間の姿に変化するのだ。
    「ごちそうさまでした!」
    「ごちそうさまでした。善逸、お皿運んでくれる?」
    「うん、運んだら……たんじろ、いい?」
    「……うん、いいよ」

     皿を水に浸けて、再びソファに座る。さっきとは違って、今度は子どもの姿の善逸が膝の間に座る。胸のあたりに小さな頭が寄りかかってきた。可愛らしい姿だが、最近の彼は少し……少し、俺には困った変化がある。
    「ねえたんじろ……」
     もぞもぞと動く善逸のお尻が、俺の太ももに当たる。俺は小さくため息をついた。
    「ねえ、しっぽ、うずうずするの……触って?」
    「……分かった、触るよ」
     ……この可愛い猫は、どうやら発情期が近付いているようなのだ。
    「たんじろおっ……!」
     俺が逡巡している間に、善逸は限界を迎えていたらしい。まろい頬がりんごみたいに赤く染まっている。
     俺は長いため息をついて、善逸の柔らかいところに手を伸ばした。
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    mayooh07Z

    MOURNINGワンライお題「月下」で書きたかったものです…きりの良いところまできたので供養します🙏
    ここから、枝で切った怪我を優しく治療してもらえた善逸は炭治郎に惹かれ、炭治郎もかっこよくギャップのある善逸のことが気になり、交流が続きます
    月下の出会い 強い風が吹いて、咄嗟に目を閉じる。瞼の裏で夜の闇が濃くなったのを感じ、それはすぐに月を隠している人物がいるからだと分かった。
     空高く跳び上がり、空を仰ぐ炭治郎と月の間に浮かんでいるのは──月下の美しい剣士だった。


    「炭治郎ちゃん、今日はもういいよ。それを片付けたら戻って休みな」
    「ありがとう叔母さん。でも、あと少しだから」
     目の前に広がる稲穂を抱え、鎌を入れる。今日はもうどれだけの稲を収穫しただろう。こうして稲作を営む縁戚の家に炭治郎が手伝いに来るのは、毎年の恒例だった。
    「そうかい?そうしたら、暗くならないうちに戻るんだよ」
    「うん、分かってる」
     炭治郎の家は、裕福ではない。父の炭焼きの技術は一級品だが、それでもそれだけで家族六人が食べていくにはぎりぎりだった。こうして炭治郎が、知り合いの家や親戚の家に手伝いに行き、小金を稼ぎだしたのは十を過ぎた頃からだろうか。数日間だけだが、泊まっている間はご飯も食べさせてもらえる。農家の繁忙期には猫の手も借りたい。そんなときに炭治郎は猫の手ならぬ虎の手並みの働きを見せ「炭治郎は働き者で素直で良い子だ」と、親戚中でも評判だった。
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