深淵の緑 上『爆ぜろ!!』
呪霊の大群が、バスン!と大きな音を立てて一斉に爆ぜた。
狗巻先輩の呪言の効果だ。俺は先輩に指示されて、工場中に広がった呪霊をかき集めて、走り回った。
もう呪霊の気配はしない。全て排除できたようだ。
「よっし!いっちょあがり!!先輩お疲れ様!」
「だがなー。」
「わ、先輩喉枯れてんね、大丈夫?」
「じゃげじゃげ。」
先輩はポケットからノドナオールを取り出す。
キュポ、と開けて、そのまま容器を口につけてゴクリと飲み干した。
「うわぁ、相変わらずだけど…よくそれ飲めるね、先輩。」
「しゃーけ。」
そう言って先輩はピースして俺に笑った。
もう味に慣れたからなんともないよ、と言ってるようだった。
先輩とそんな話をしていたら、帳が上がって、すぐ近くには伊地知さんがいた。
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