おにぎり半分こしましょう【おにぎり】
月が照らす石畳を歩く。放課後から駆り出された任務を終え、寮に向かう途中で狗巻先輩と出くわした。
「お疲れ様です」
「こんぶ。すじこ?」
「はい。現場に向かったのが遅かったので。狗巻先輩は?」
俺も任務だった、と返す彼は手ぶらで随分身軽に見える。いつもビニールの袋を下げているイメージがあるものだから。
「高菜?」
「ああ、晩飯にしようと思って」
俺の手首にぶら下がっている袋を指さした先輩が、何買ったの? と問いを続けた。
「おにぎりです」
「ツナ?」
「何だったかな……何か、そぼろのやつです……見ます?」
ビニール袋にじっと視線を遣る先輩へ、袋の口を広げて差し出すと、その顔がパッと晴れた。
「ツナマヨ!」
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